【ソトコト×ヤモリの空き家エコノミー連載】第2回目(中編)。日本の各地域を再生して、地域を活性化、関係人口を推進していくプロジェクトが「ソトコト×ヤモリの空き家エコノミー」。毎回ゲストを迎えてソトコトと一緒に対談。
日本の築古戸建ての再生賃貸事業を手掛ける株式会社ヤモリ代表の藤澤正太郎さんが毎回、ソトコトと一緒にゲストを招いて、日本の各地域の空き家から推進する地域活性化、関係人口作り対談。前回の第2回目(前編)に続いて、中編として、福島は会津でGIRO米を作っているジローラモさんと一緒に、空き家×農業が生み出す、空き家エコノミーと地方創生の可能性を探ります。
470万円で買い200万円でリノベしたが、色合いのまとまりがない⁉
藤澤 2軒目の空き家に到着です。この物件は470万円で購入して、200万円ほどでリフォームしました。既存の構造を残しながら、床や壁をきれいに仕上げて、すぐ住める状態にしています。
ジローラモ 1階のリビングダイニングは、広くて明るくて、窓の外の緑もいい。全体的な印象はすごくいいですね。ただ、僕がリノベーションしていたら、ちょっと違う感じにします。

藤澤 ジローさんがリノベーションしていたら、どんなところが変わりますか?
ジローラモ まず、リビングの出窓の枠下のアルミ複合板ですね。僕ならこれは使わない。ちょっと安っぽく感じる。 木材を使えば、家の温かみが引き出せると思います。コストもそんなに変わらないだろうし、全体のナチュラルなトーンとも馴染みます。
藤澤 確かに。リノベする時の内装の素材選びは、空間全体の雰囲気に影響しますよね!
ジローラモ そう。この家は清潔感もあるし、広いし、窓の外に緑が広がり、ところどころ和なテイストもあって、全体的な雰囲気は悪くない。床や壁、キッチンのトーンに統一感があれば、もっと良くなります。特に、色合いをまとめることが、すごく重要。それだけでセンス良く変わります。

リビングや寝室…単体で見るとカッコいい!しかし全体的にチグハグ感があるのは、なぜ⁉
藤澤 次に1階バスルームです。浴槽はそのまま使っています。
ジローラモ 風呂場と洗面所のギャップが気になります。リビングもダイニングも現代風に整ってるのに、バスルームに入ると古臭い感じがする。特に洗面所はきれいに内装を整えているのに、明るすぎる感じが逆に安っぽい。浴槽は昔のままで落ち着いたトーンなので、余計ギャップが目立ち、違和感がある。LDK→洗面所、洗面所→風呂場の動線の中で、洗面所の内装をもっと落ち着いたトーンにすれば、動線が自然なグラデーションになります。
藤澤 なるほど。他の空間とバランスをとる意識が必要なんですね。
ジローラモ 2階の寝室も、1階のリビングもダイニングも単体ではカッコいい。でも、全体感で見ると、あれ?と思っちゃう。それぞれの空間に全体的な一貫性があると、家の中の動線が繋がり、住む人の満足度も全然変わってきます。

藤澤 すごく勉強になります。今回は限られた予算の中で工夫しました。庭付き一軒家で広さ100数十平米で、月10万円以下…つまり9万円台で貸し出しします。
ジローラモ その賃料は安い!
藤澤 この広さの新築だったら、到底敵わない家賃設定です。こういう「埋もれていた空き家」を探し出し、再生活用することで、全国の地域を活性化させたい。これがソトコト×ヤモリの空き家エコノミーのプロジェクトです。ジローさんのGIRO米と連携できたら、もっと面白くなると思います。
ジローラモ ぜひGIRO米プロジェクトと一緒に、農家と地域を元気にしていきましょう!
後編
地方創生の次の担い手になるために、GIRO米を作るジローラモと空き家プロジェクトのヤモリが取り組むべきこととは⁉【空き家エコノミー⑥】
【パンツェッタ・ジローラモ プロフィール】
プロデューサー、実業家。雑誌LEONの表紙でもお馴染み。イタリアにいた頃は歴史的建築物を修復する建築士だったジローさん。最近、福島は会津に中古住宅を購入し自らリノベーションし、会津でGIRO米を作っています。GIRO米は、ジローラモ氏が主宰する有機米プロジェクト。単にお米を作って販売するだけでなく、地域と人が繋がる場を創造し、日本の地方創生を推進。
【藤澤正太郎プロフィール】
株式会社ヤモリ代表取締役。2011年に慶應義塾大を卒業後、三菱商事株式会社に入社。インフラ事業の海外案件とアセットマネジメントに従事。南米チリに4年間駐在。その後、NY本社の不動産ユニコーン企業であるKnotel IncのJapan GMを務める。2018年に株式会社ヤモリを創業し、日本の中古戸建て市場の活性化を通じた地方創生を目指す。