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映画と生理。タブーに挑んだ映画3選

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タブー視されてしまうことも多い「生理」というテーマをストーリーに織りこんだ、オススメ映画をご紹介。米映画『青い珊瑚礁』、インド映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』、日本映画『生理ちゃん』と、それぞれテイストは違いますが、日常に当たり前に存在している「生理」という存在を見て見ぬふりせず、しっかりと描いている3作品。国によって異なる生理への考え方などが学べるのもポイントです。
※ネタバレ注意です!

目次

圧倒的に美しい初潮シーン

1980年に公開された映画『青い珊瑚礁(原題:The Blue Lagoon)』。元々『青い珊瑚礁』は1908年に発表されたアイルランド人作家の小説で、1923年、1948年にイギリスで2度映画化されました。さらに、1991年には現代版の続編が作られ、アメリカではTVドラマとしてもリメイクされるなど、人気が衰えることのない名作のひとつ。

中でもおすすめは1980年公開版で、主演したブルック・シールズ(当時14歳)が圧倒的に美しい!と伝説的な作品として知られています。

物語の主人公は、イギリスからアメリカ・サンフランシスコに向かって南大西洋を航海するアーサーと息子のリチャード、そしてリチャードの従妹のエメライン。航海中に火事が起こり、リチャード(8歳)とエメライン(7歳)は、同船していた水夫のパディと共に、先に小舟で避難を試みます。帆船は沈没してしまい、アーサーとはぐれてしまった3人は、ある島にたどり着きます。その島で、パディから生きる術を教わりながら救助を待つのですが、ある日、パディが変死してしまいます。残された2人は助け合いながら生き延び、成長し、やがて愛し合うように。そこから、子供が生まれたり、救助船とのすれ違いがあったりと、ハラハラ、ワクワクな展開に……。

この作品の中で、特に注目してほしいのが、ブルック・シールズ演じるエメラインが初潮を迎えるシーン。小さい時から、文明社会から離れた自然の中で育ったエメラインには、月経の知識などもちろんありません。ですが本能的に何かを感じとり、経血のついた布をリチャードに見つからないよう、滝でひとり、洗うのです。まさに絶景といえる幻想的な滝を背景に、少女から女性に向かう間(はざま)ならではのイノセントな美しさと、恥じらいと戸惑いを持った複雑な心境を表現するこの場面。月経というものを、神聖かつリアルに表現した、とても印象的なシーンだと思います。

ちなみに、女性のカラダの変化に気がつかないリチャードに対しエメラインが不機嫌になるシーンもあるのですが、これがPMSの症状に見えたりもして面白いのではないかと思います。

実話に基づく信念を貫いた男のサクセスストーリー

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次にご紹介するのは、2018年公開のインド映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』。

主人公は、愛する妻と楽しい新婚生活をおくる修理工・ラクシュミ。妻が乗りやすいよう自転車を改造したり、玉ねぎを切りながら涙する妻を見て、おもちゃを自動玉ねぎ切り器に作りかえたりと、妻を喜ばせることが生きがいのようなピュアな男性。

ある日、ラクシュミは妻が生理中に不衛生な古布をあてていることを知り、市販のナプキンを買います。ですが妻は、ナプキンは高価すぎると拒否。そこで、自らナプキン作りを始めるのです。ですが、保守的な田舎町では変態扱いをされ、アクシデントが重なり妻とも離れ離れになってしまいます。失意のラクシュミですが、諦めることなくひとり都会でナプキン作りの研究を続けます。苦労の末ナプキン製造機の試作が完成すると、偶然出会った進歩的で都会派の女性・パーリーの協力もあり、ナプキン作りは軌道にのっていきます。

インドの農村部などでは未だに、生理は汚らわしいもの、恥ずかしいもの、生理中の女性は家の外で過ごさなくてはならないなど、昔ながらのしきたりが残っている場所もあります。

ゆえに、「愛する妻が、不衛生な古布を使うことで、感染症などの病気にかかっては嫌だ。妻を病気から守りたい」というラクシュミの純粋な気持ちは誤解されてしまうのです。ですが、ラクシュミはどんな困難にぶつかっても立ち上がり、信念を貫きます。そしてナプキン製造機が完成すると、今度はナプキン作りの技術を女性たちに教え、女性の雇用を増やし自立支援へとつなげていきます。

実話が基になったこの映画は、コミカルでいて、私たちが考えるべき社会問題も織り込まれた、見どころに溢れた作品です。

ラクシュミが国連に招待され、たどたどしい英語でスピーチするラストシーンは、涙なくして見られない感動が詰まっています。この作品を通し、差別や偏見、貧困、不十分な月経関連の情報などの社会問題について考えるきっかけになることでしょう。

生理がしゃべる!? コミックが原作の実写版

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最後に日本から、生理をテーマにした作品です。その名も2020年公開の『生理ちゃん』。手塚治虫文化賞短編賞も受賞している小山健のコミックが原作の実写化映画です。

主人公を演じた二階堂ふみやオタク役で存在感を発揮した伊藤沙莉の演技力の高さにも注目が集まった作品ですが、生理を擬人化するという技法で、タブー視されがちな生理をポップに表現したことが何より衝撃的。

二階堂ふみ演じる米田青子は、出版社で働く雑誌編集者。月に一度、大事な時に限って、ピンクの物体が迫ってきます。それが生理ちゃん。生理ちゃんは、大きな体で重くのしかかり、アロマを焚いて眠気を誘ったり、強烈なパンチをお腹に入れてきたり。

ある日、生理は重いし、上司からは怒られ、ぐったりしている青子にトイレで声をかけてきた同僚。そんな同僚の生理ちゃんはポーチサイズで、彼女の生理はとっても軽いタイプのよう。

さらに、青子が働く出版社のビルで清掃員をしている山本りほは、SNSで毒を吐く毎日。彼女の生理も重いらしく、大きな生理ちゃんをゴミの運搬カートに乗せ、がまんしながら仕事を続けます。

女性たちの仕事、恋愛などの日常を描いた作品なのですが、そこには、それぞれ個性のある生理ちゃんが寄り添っています。

作品を観た女性たちは、共感できる部分が多く、生理を体感したことのない男性たちにとっては「そんな感覚なのか!」「人によって違うんだ!」など学べる要素も多いと好評の作品です。

タブー視されがちな生理をストーリーに織り込んだ映画3作、いかがでしたか?美しかったり、コミカルだったりと表現法は様々ですが、観る人が生理を嫌悪感なく受け入れられるよう工夫され、生理は生活に当たり前のように存在するもの、きちんと理解することが大切というメッセージが込められているように感じます。今までと違った視線で生理やPMSを学びたい時など、ぜひ映画をチェックしてみてくださいね!
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丸山彩(まるやま・あや)●東京都出身。某出版社での雑誌編集を経て、フリーランスの編集・ライターに。美容、女性のライフスタイルをテーマにしたカタログ・広告・webなどの制作を多く手掛ける。

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