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連載 | DIGITABLELIFE〜ニューノーマル時代の生き方〜

デジタル変革を目指す企業が、迷走し暗礁に乗り上げている

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DIGITABLE LIFE〜ニューノーマル時代の生き方〜 ソトコトオンラインとMADUROオンラインの隔週クロス連載。Forbes JAPANウェブでもこの連載が読めます。コロナウィルスの感染拡大は、私たちの生活を変え、経済・社会にも大きな影響を与えています。私たちは「新しい日常」を模索し続け、リモートワークやワーケーション、ネットショッピングの利用など、デジタルを活用することを一つの解決策として生活に取り入れ始めています。第13回目である今回は、デジタル変革がなかなか進まないことについて解説していきます。

目次

デジタル変革を目指す企業が暗礁に乗り上げる 

 社会のデジタルシフトが進む中、私たちを取り巻く環境は大きく変わっていきます。企業もデジタルを積極的に活用しようとデジタル変革に取り組む企業が増えてきました。しかし残念なことに、DXバブル踊らされ、DXブームに乗る形になってしまい、デジタル変革に取り組むものの、迷走し暗礁に乗り上げてしまっている企業が増えてきています。私たちも、そういった企業から、相談されることが増え、そのケースを整理してみると、デジタル変革が迷走するケースは、大きく5つに整理されることがわかりました。 

大きく5つに整理される

1)経営者は掛け声ばかりで、担当者不在で全くすすまない 

 まず一つ目は、トップが「デジタル変革するぞ!」と意気込み、推進者も不明確なまま企画部や社長室などのサポート部門が担当するケースです。企画部や社長室は調整が主な業務であり、現場経験やシステム経験が少ないため、リーダーシップを必要とする変革業務は不得意です。いかにすすめるべきか色々な人の話を聞き、様々な部門を集め打合せを重ねるなどするようです。その結果、時間ばかりが過ぎ全く進まない状態が続いてしまうことが多いようです。 

2)専任部門を設置しても、ノウハウ不足で停滞 

 二つ目は、デジタル推進部、新規ビジネス準備室などの新設部門が担当するケースです。新設部門は変革をミッションとしていますが、変革の経験が不足しています。社内で会議を重ねても、同じ会社で同じ育ちの人が話し合っていますから、アイディアが浮かばず停滞してしまうことが多いようです。最近では外部人材を積極的に採用し活性化をはかろうとする企業も増えてきましたが、デジタル変革の経験を持つ人材は少なく、コンサル会社やシステム会社出身者を採用し、却って混乱を深めてしまっていることがあるようです。 

3)マーケ部門が盛り上げるが、全社的には何も変わらない  

 三つ目は、マーケティング部門が担当するケースです。デジタルマーケティングを手掛けるマーケティング部門は、デジタルに精通していそうに見えますが、事業やシステムを理解が浅く、コンセプトはつくりあげますが、広告以外の業務は他部門に丸投げになってしまいます。彼らはサポートとして広告代理店などを活用しますが、Web広告を増やし、高額なCRMシステムを導入したりします。結果的に、全社的に活用されることも無く費用がかさむことになることが多いようです。 

4)システム部門に任せ、開発・ツール導入が増えるばかり  

 四つ目は、システム部門が担当するケースです。システムの知識を持つシステム部門は、デジタルにも強いと思いがちですが、基本的には現場要件をシステム化するという受託型の仕事スタイルです。何をすべきか要件を求め、お抱えのシステム会社に相談し提案を求めようとします。しかし、システム会社の提案は、最新のシステムや流行のシステムの提案が多くなり、結果として、沢山のシステムツールを導入し費用がかさみ、現場を複雑化させてしまっていることが多いようです。 

5)変革するも長続きせず、全社定着に至らず自然消滅 

 五つ目は、ある程度デジタル変革が進んだとしても、長続きせずに、全社に定着させることができずに、自然消滅してしまうケースです。社内では難しいとコンサル会社やシステム会社に丸投げしてしまうケースですが、コンサル会社は調査能力・事例提示はしてくれますが、意外と業務やシステム経験に乏しくことが多い。システム会社もテクノロジー・システム構築はできますが、やはり業務やコンセプトづくりの経験が乏しいことが多い。結果として、欧米の先進事例の模倣や最新テクノジーの提案となってしまうことが多く、費用も高額なため継続が難しく、頓挫してしまうことが多発しているようです。 

 デジタル変革の迷走の原因と対処 

これらのデジタル変革が迷走し暗礁に乗り上げてしまうケースは、今、現実に多くの日本企業に起こっている問題です。なぜデジタル変革は迷走し暗礁に乗り上げてしまうのでしょうか。 

迷走する企業に共通しているのは、長期視点の「改革」を促すことができずに、短期的な視点の「改善」となってしまっていることです。短期的視点の「改善」を進めてしまった結果、多少の効率化効果は得られるものの、長期視点の「改革」によって実現されるデジタル変革とは程遠いものになってしまっているのです。 

デジタル変革を成功させるためには、「改善」ではない「改革」の強い思いを持って取り組むことが必要です。「改革」とは、従来のビジネスを一度否定して、ゼロからビジネスを組み立て直すことです。一度会社を潰して再度創業する「第二の創業」くらいの覚悟を持って取り組まなければ、デジタル変革は成功しません。 

そのためには、経営者は、デジタル変革を「第二の創業」としてとらえ、自らが時代の変化を認識して、自ら先頭に立ち、全社を巻き込み推進していくことが求められます。しかし、「デジタルに取り組む」と宣言をしながらも、経営者が自らデジタルを学ぶことも無く、部下任せ、外部企業任せにしてしまっている企業が多くあります。これではデジタル変革など進むはずはありません。経営者は、「デジタル変革=第二の創業」と考えて、創業者として自らが主体的に取り組むことが大切です。 

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