女性にとって月経は思春期の頃に始まり、50歳前後で閉経を迎えるまでの長い付き合いとなる人生のパートナーです。そのパートナーとの付き合いのなかでは、さまざまな悩みも生じます。
「生理になると日中も眠い」「腹痛が辛い」「腰が痛い」「ナプキンでかぶれる」「経血の量が多く漏れが心配」「気分が沈みがちになる」などなど……。症状も悩みも千差万別です。
そこで今回は、月経中の困り事のなかでも特に多くの女性が訴える「甘い物を過剰に食べてしまう」という悩みへの対処法を、管理栄養士で公認スポーツ栄養士の高須希代さんに伺いました。
生理前や生理中になると、甘い物が無性に食べたくなる!
排卵後から生理前にかけての時期になると、女性の体内では『エストロゲン(卵胞ホルモン)と『プロゲステロン(黄体ホルモン)』という2つの女性ホルモンが多く分泌されます。そのひとつである『プロゲステロン』は『インスリン』という膵臓で作られるホルモンに影響を与えるのです。
『インスリン』には血糖値を調整する働きがあります。人が何かを食べると、その食べ物に含まれる糖分が分解され体内の血糖値が上がるのですが、血糖値が上がりすぎるのを防いでくれるのが『インスリン』の役割。『インスリン』が分泌されることで血糖値を下げ、血糖値を正常な値へと調整する仕組みになっています。
生理前に分泌が盛んになる『プロゲステロン』には、この『インスリン』の効きを悪くする作用があるのです。そのためこの時期になると、『プロゲステロン』の影響で効きが悪くなった分を補おうと、体内で『インスリン』の分泌量が増え、その結果、血糖値が通常より低くなってしまう人がいるのです。
生理前や生理が始まったころに無性に甘い物が食べたくなるのは、『インスリン』の分泌量が増えたことにより、身体が低血糖状態になっているせいではないかと考えられているのです」
「タンパク質のおやつ」は良いことだらけ!
そんなときのおやつとして、私のおすすめはタンパク質の軽食です。タンパク質は血糖値を上げることもなく、疲労軽減効果や美肌・美髪を作る素にもなるので一石二鳥です。
口寂しくなったときには、スルメや枝豆、ゆで卵などを食べてみてはどうでしょう? また、今はスムージーのように美味しく飲めるプロテインもさまざまな種類が発売されているので、試してみてもいいかもしれません」
洋菓子より和菓子!ドライフルーツやナッツもおすすめ
甘い物が食べたくなったら、洋菓子ではなく、油分の少ないお団子やせんべい、寒天などの和菓子を口にしてみてください。他にも『インスリン』の分泌量増加の影響で下がってしまった血糖値をゆるやかに上げるのに最適なのが、ドライフルーツやナッツ類のおやつです。
また、どうしても菓子パンや小麦を含む洋菓子などを食べたくなった場合には、小麦が使われているのものではなく、全粒粉やライ麦が使用されている物を選ぶようにしてみてください。シリアルも生理時のおやつにおすすめですよ」
過剰な我慢や罪悪感からくるストレスは、ホルモンバランスをより乱してしまう原因になりかねないので厳禁です。工夫しながら適度におやつを食べて、憂鬱な生理期間を上手に乗り切りましょう。
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●管理栄養士、公認スポーツ栄養士 。東京都内の心療内科クリニックで15年間にわたり食事カウンセリングを行う。5000通り以上の食事記録をもとにアスリートへの食事指導も。現在はフリーランスの栄養士として、スポーツ栄養サポート、各種学校での指導、講演、レシピ開発などに携わる。