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特集 | ウェルビーイング入門

ファッションデザイナー|玉木新雌さんが選んだ、ウェルビーイングを感じる5冊

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ファッションデザイナー・玉木新雌さんのつくる衣服は、老若男女問わず愛されています。デザイン性の高さもさることながら、多様性を受け止めてくれる寛容さ、幅広さにあふれた玉木さんの服づくりに影響を与えた本を紹介します。

目次

玉木新雌さんが選んだ、ウェルビーイングを感じる5冊

玉木新雌
(左上から時計回りに)1.『シャネル、革命の秘密』/2.『マリメッコ展─デザイン、ファブリック、ライフスタイル』/3.『EARTHおじさん46億才』/4.『地球人のための超植物入門─森の精が語る知られざる生命エネルギーの世界』/5.『羊の人類史』 

 今は播州織の産地である兵庫県西脇市で『tamaki niime Shop & Lab』を開き、伝統の織物を使った服などをつくっていますが、自分が死んだあともずっと続いていくブランドってどうしたらできるんだろうって、成功したブランドの本を読み漁っていた時期がありました。『シャネル、革命の秘密』もその一冊。世界的ファッションブランドを立ち上げたココ・シャネルの本は何冊も出ていますが、これは服の話よりも、彼女がどういう生き方をしたかにフォーカスして書かれた本。私も「新雌。“新しいメス”」と名乗って、女性のための新しい服、自分が自分らしくいられて、他者との違いを表現できる服を目指していましたから、100年以上も前に価値観にとらわれない女性の服を目指し、男性社会と闘い続けたシャネルの人生からは学ぶことは多かったです。

『マリメッコ展 —デザイン、ファブリック、ライフスタイル』。これは本の中にテキスタイルが掲載されているのが気に入っているのと、うちも生地からつくっているので、共感する部分が多かったので。『マリメッコ』のすごさって、あの柄を見れば誰もが”マリメッコ“ってすぐ分かるところだと思うんですね。ブランディングとして非常に優れている。『tamaki niime』も、ロゴよりもモノで伝えたいなって想いがあるし、いつかショールの柄で『マリメッコ』を超えたいと本気で思ってます。

 ただ、どういうブランドであるべきかの前に、もともとは結構“自分”だった。尖っているか、他者とどう差別化するか。でもそれじゃあ売れない(苦笑)。同じ織物でも「老若男女みんなに胸張って言えるものってなんだろう」って考えた先に行き着いたのが、ほかと比べてどうかではなくて、つくる意味、デザインの理由に真剣に向き合うことだった。コットンの栽培を始めたのもそのころです。自分で畑を耕して初めて、衣類と農業がつながりました。同時に、生きること、仕事をすること、衣服をつくることが、責任を伴ってすべてリンクしているんだって理解できたときに、透明性が大事だと気づけたんです。自分たちのものづくりも、自信を持って見せられるよう、Labを公開したり、体験を通して知ってもらえるような環境を整えたりしました。それにもまず正直であること。そして心を込めてつくらなかったら、相手に伝わらないと思うんです。届ける側が100パーセント納得して、かつ楽しめていたら、着る人も同じく楽しめる。それが衣服における幸せというか、ウェルビーイングの一つの形かなって思っています。

▶ ファッションデザイナー|玉木新雌さんの選書 1〜2
▶ ファッションデザイナー|玉木新雌さんの選書 3〜5

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