「トヨタの森」を歩き、シカ肉ハンバーグを手作り。 カーボンニュートラルな暮らしを実践しよう!

「トヨタの森」を歩き、シカ肉ハンバーグを手作り。 カーボンニュートラルな暮らしを実践しよう!

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2022.07.19

2022年6月25日、愛知県豊田市にある「トヨタの森」で、小学生やその家族を対象にしたイベントレポート。

野生のシカ肉を食べることが、 温室効果ガスの削減につながる?

本イベントを主催する『トヨタ自動車』社会貢献推進部の國友淳子さんが、「鹿肉」と「カーボンニュートラル」という2つのキーワードについて、なるべくわかりすい言葉で参加者に語りかけていた。「皆さんが普段食べている牛肉、豚肉、鶏肉は、エサを与えて育てたり、肉となってスーパーに運んだりするときに、地球温暖化の原因とされるCO2(二酸化炭素)などの温室効果ガスがたくさん出ます。牛のげっぷに含まれるメタンガスも」。

「牛がげっぷするの?」と子どもたちからは笑顔も見られたが、実はメタンガスの温室効果はCO2よりもはるかに大きいと言われている。海外からのエサの輸入や糞尿処理も含め、畜産に伴う温室効果ガスの排出は深刻な課題なのだ。

そこで注目したいのが、シカ肉などのジビエ肉。自然のなかで生きる野生動物ではあるが、棲息環境の変化によって、人里に下りてきて畑の野菜を食べてしまうため捕獲されているが、その大半が廃棄されている現状があるという。またCO排出でみると、獲ったジビエ肉は、飼料を与え、遠くから船やトラックで輸送されて私たちの手もとに届く牛、豚、鶏肉と違い、COの排出を幾分抑えることができる。 

一方、カーボンニュートラルとは、人間の活動によって排出されるCO2などの温室効果ガスの量を、環境技術を用いたり、ライフスタイルを変えたりすることで減らしつつ、森林保全など環境活動に取り組むことで吸収量を増やし、プラスマイナスゼロにすること。「牛肉や豚肉を減らし、シカ肉を食べる機会を増やすのもその一環です」と國友さんは話しながら、野生動物が暮らす「トヨタの森」の森歩きへと参加者をいざなった。

右/参加した家族。左/規格外のタマネギを手に、温室効果ガス削減につながる食材の選び方を話す『トヨタ自動車』の國友さん。
食肉の生産に伴う温室効果ガスの排出量を示した東京新聞の記事。

森を歩き、生き物とふれあう。 シカ肉を食べ、獣害を考える。

インタープリターの「がっちゃん」こと川田奈穂子さんの案内で、森歩きを楽しんだ参加者。散策道沿いに生い茂っている木の葉っぱを手に取りながら、CO2を吸収し、O2(酸素)を出していること、やがて落ち葉となって土に還り、森の循環をつくっていること、昆虫や鳥、ムササビやイノシシなど多様な生き物が木や土、水や光とともに暮らしていること、手入れされている森とそうでない森の違いなど、「トヨタの森」で起こっている自然現象をわかりやすく伝えた。「切られた木の幹からたくさんの細い枝が伸びています。これ、昔話に出てくる『おじいさんは山へ柴刈りに』の柴です。かまどや風呂の焚付に使っていました」と、里で営まれていた昔ながらの暮らしがカーボンニュートラルであることを紹介した。

シカやイノシシを撃つ狩猟も、昔から受け継がれる生業の一つだ。森歩きを終えた参加者は、豊田市足助地区などで狩猟を行い、そのジビエ肉を提供する山里カフェ『Mui』を営む清水潤子さんの狩猟体験やジビエ肉の取り組みに耳を傾けた。

「シカやイノシシが増えた理由のうち一つ挙げるなら、棲息環境の変化です。手入れがされずに森が荒れることで獣が棲みにくくなると同時に、侵入しやすい里の田畑ではおいしい野菜や果物が食べ放題。高齢化と後継者不足によって生じる耕作放棄地も獣のかっこうの隠れ場所。そんな里に罠を仕掛け、山で銃を撃ってシカやイノシシを仕留めています。けれども、本当は人と獣が棲み分けられる環境を取り戻し、私の仕事がなくなることが夢であり、目標です」と語った。

忘れてならないのは、仕留められたシカやイノシシの約9割が廃棄処分されている事実。「尊い命はきちんといただく。シカ肉も野菜も、残さず食べてくださいね」と子どもたちに語りかけ、清水さんが仕留めたシカの挽き肉でハンバーグを家族みんなでつくり、「トヨタの森」の手入れで出た薪をくべた窯で焼き、「いただきます」と山や里の恵みに感謝しながら、シカ肉ハンバーグや規格外野菜を使ったスープを完食した。

右/キノコが栄養を吸って軽くなった木を持つ男の子。左/フウノキの葉の匂いをかぐ女の子。
右/狩猟者の清水潤子さん。中/自身の生い立ちや狩猟者になった経緯も語った。左/興味津々に話を聞く親子。
右/「シカ肉ハンバーグ、おいしい?」「うん!」。左/シカの挽き肉をこねる男の子に「上手だね」と声をかける清水さん。
脂が少なく、鉄分も多くてヘルシーなシカ肉ハンバーグ。CO2も削減!

ワークショップで得た気づき。 みんなの「宣言」を実践しよう!

昼食後、カーボンニュートラルな暮らしを考えるワークショップが行われた。

「シカ肉もそうですが、どんな肉や野菜を選ぶかによってCO2などの温室効果ガスの排出を減らすことができます。たとえば」と、インタープリターの小出恭章さんがクイズを出した。「国産の豚肉と、アメリカ産の豚肉。温室効果ガスを減らすにはどちらを選べばよいでしょう?」。

輸送のことを考えて、参加者のほぼ全員が「国産の豚」に手を挙げた。ところが、小出さんはこう解説する。「豚を育てるためにはたくさんのエサが必要で、エサ用トウモロコシはアメリカなどから輸入しています。豚肉1キログラムを生産するのにエサは6キログラムも必要。おや? 船で豚肉を1キログラム運ぶのとエサを6キログラム運ぶのとでは、エサのほうが多くのCO2を排出してしまいます。つまり、アメリカのエサで育ったアメリカ産豚肉を輸入したほうが、カーボンニュートラルな暮らしに近いとも言えるのです」。もちろん単純に試算した結果だが、参加したある家族の父親は、「食材のつくられ方をよく知ってから買わなければという気づきを与えられました」と答えた。

ワークショップの最後には、参加者が一組ずつ「宣言」を発表。小学生の男の子は「猟師になりたい!」と宣言し、会場を和ませた。「トヨタの森」も取り組むSDGs(持続的な開発目標)の目標年は2030年だが、子どもたちが環境活動に従事するのはそれ以降かもしれない。「子どもたちが『宣言』を実践し、SDGsを超えてまさに持続的に活躍できる場を、私たち大人が整えていかなければ」と清水さんは参加した大人たち、さらには読者の皆さんにメッセージを呼びかけた。

ワークショップの様子。家族の食事をカーボンニュートラルの視点で見直す。
「宣言」を発表する家族。「猟師になりたい!」と言ったのは左の男の子。
窯で焼いたシカ肉ハンバーグを前に記念撮影。「食べ物と温室効果ガス」の関係について考えた。

「トヨタの森」
豊田市市街地から約8キロ。矢作川と巴川に挟まれた丘陵地帯に広がる「トヨタの森」は、1997年にオープンした、まちのそばの大自然です。総面積約45ヘクタールの広大な敷地は、多種多様な動植物のかっこうの住処であり、コナラやアベマキなどを中心とした雑木林の谷部には水田跡もあり、かつて生活に必要だった薪などを採取していた、いわゆる里山として利用された森です。誰もが自由に散策でき、インタープリターが案内し、生命の尊さや多様性が学べる自然体験プログラムや、大人も子どもも心に残る楽しいイベントも多数開催しています。
公式サイトはこちら

text by Kentaro Matsui photo by TOYOTA