最近は料理のレシピを調べるときも動画サイトを見たりする。だって、つくる様子がそのままわかるし、料理しながら文字をじっと読む必要がないから便利なんだもん。そんな私が、久しぶりにどっぷりハマってしまったレシピ本が、「旅して見つけて、我が家の定番になった地方ごはん」これは楽しい。読むのが楽しいレシピ本なんて、いつぶりに出会ったんだろう…?まさに「旅するようなレシピ本」旅好き・料理好きにはたまらない、この本の魅力を少しだけご紹介!
ワクワクと期待感。旅のはじまりを感じる目次
目次が楽しい本は読んでも楽しい。そんな持論をもつ私は、書店で本を買う前に必ず目次をチェックする。
「旅して見つけて、我が家の定番になった地方ごはん」
このキャッチーなタイトルに負けない、いや、期待を上回るほどのワクワク感を掻き立てるこの目次は秀逸以外に言いようがない…
北海道から沖縄まで、全国各地の都道府県名が並べられていて、その下には著者の愛情を感じられる一言説明と一緒にレシピ名がずらり。ついつい、お腹が空いてくる。
「この先に、どんなまちの、どんな料理が並んでいるんだろう?」
そんなワクワクと期待感はまるで「旅のはじまり」。さあ、次のページに進んでみよう。
レシピと一緒に届けられる旅先のエピソードと風景
この本をなぜ「旅するようなレシピ本」と紹介したかというと、レシピ本の主役でもある料理レシピの紹介部分に理由がある。ペラっとめくると、それはそれはぎっしりと書かれた文字たち。
何がそんなに書かれているのかというと、著者が実際に各地に足を運んでその料理と出会った時のエピソードだ。
地元の市場の活気ある様子、その地域の食文化が家庭料理になっていることを感じた体験、ならではの味わい方…「ただレシピ通りに作るのではなく、その地域の空気・臨場感・魅力を感じて欲しい」そんな著者の愛情が伝わってくる読み応えのあるレシピ紹介が90ページ以上にわたって続いている。
レシピ本というよりも、もっぱら読み物。私は目次で興味を持った料理のページを開いては、じっくりと文章を味わってから作る。そんな楽しみ方をしている。
心なしか、一度も行ったことはないけれどもその地域のことに詳しくなれたような、そんな気分を味わいながら毎回食卓に座っている。
著者は全国を旅するフリーの料理研究家 渡辺あきこさん
著者はNHKの「きょうの料理」など、有名メディアでも数々のレシピを紹介されている料理研究家 渡辺あきこさん。
各地の郷土料理を研究されていて、メディア出演や講演会、料理教室の合間を縫っては日本各地に足を運んでいる。このレシピ本を読めば、その頻度や回数、何よりも旅先へかける愛情が半端ないことがよくわかる。
きっかけは秋田県での家庭料理の取材。
その地域で有名な料理上手なお母さんのご家庭で、普通の旅では出会えないような家庭の日常の料理に出会い、今まで知らなかったはじめての料理・はじめての味との出会いに感動したそう。
地域の食文化や家庭ならではの味を残して伝えていきたいという想いから、このレシピ本は書かれている。
「今日はどこの料理にしよう?」旅するように今晩の献立を考える楽しさ
地域のエピソードから料理の作り方までとても丁寧に書かれているこの本。
しかも前書きや最後の補足も含めると全部で96ページ!
なかなかの分量、そして読み応えのあるレシピ本だが、「今日はこれをつくろう!明日は…どっちにしようかな?迷うなぁ…」などキッチンで独り言を呟きながら、ひとつひとつきちんと読んでからつくりたくなる魅力がある。
家族や友人など、大切な人と一緒にこのレシピ本を眺めながら、今晩の献立を決めてみてはいかがだろうか?
きっとその地域を訪れてどこかのご家庭でご馳走になったような、そんなローカルな旅気分が味わえるに違いない。
旅して見つけて、我が家の定番になった 地方ごはん
著:渡辺 あきこ
発売日:2010年08月07日
定価 : 本体1,500円(税別)
シリーズ:講談社のお料理BOOK
渡辺あきこさんプロフィール
料理研究家。東京都出身。和食を基本とした家庭料理のレシピを、雑誌、テレビ、自身の書籍等で発信している。
また、日本各地の郷土料理の研究をライフワークとし、料理教室や講演会等、忙しい日々の合間をぬって、各地に足を運んでいる。
伝統の知恵とともに、日本の味を伝え続けている。
また最近はラジオ番組で、海外へ日本の家庭料理の作り方や食文化について発信するなど、グローバルに活躍中。・NHKテレビ「きょうの料理」「あさイチ」に出演。
・ラジオ番組NHK WORLD-JAPANの「日本の家庭料理を作ろう Let”s Cook Japanese」に出演し、英語など17言語でレシピを公開。
・朝日新聞・朝日新聞DEGITALの「料理メモ」にレシピを連載。
引用:日本うま味調味料協会「レシピ〜うま味の活用〜渡辺あきこ先生考案 うま味でほっこりおうちのごはん」(2020/7/6閲覧)