アメリカ発酵カルチャーのリーダーであり、ジェームズ・ピアード賞(料理界のアカデミー賞)受賞者でもあるサンダー・エリックス・キャッツ氏による発酵レシピ本。自らを「専門家というより独学の発酵オタク」だと語るキャッツ氏による発酵食レシピがもりだくさん。「手本にしていた醸造法の複雑なステップや、厳密な殺菌法のせいで、やる気が失せてしまった」「ビネガーとは簡単にいえば酸っぱくなってダメになってしまったワインだ」など、他の発酵レシピ本とは一味違う語り口は、難しいことは考えず気軽に発酵に触れてほしいというキャッツ氏の発酵愛ゆえのこと。レシピ本としてだけではなく読み物としても、興味深い1冊。
★ザワークラウト、味噌、サワードウ・ブレッド…。アメリカ発酵食シーンのリーダーによる、最もベーシックで最もカウンターカルチャーな発酵D.I.Yガイド。
★アメリカにおける発酵食シーンのリーダー。
★某有名ミュージシャンと日本語カタカナ表記が似ているが、もちろんまったく別人。
★『天然発酵の世界』『発酵の技法』の著者でもある。
★キャッツ氏が最も注目しているのは、Wild Fermentation=野生発酵。大量生産された食品より、生命に満ちた発酵食品を重んじ、さらには、微生物のはたらきを完全にコントロールする発酵より、古代から人類が行ってきた野生発酵(Wild Fermentation)を愛する「発酵リバイバリスト」だ。
★小さめB6版、写真たくさんのオールカラー、144ページ。
★原書は、キャッツ氏の処女作『Basic Fermentation』。コピー機で印刷した ZINE としてスタートし、のちにオレゴン州ポートランドのパンクでD.I.Yな出版社「マイクロコズム・パブリッシング」からリリースされ、いまも版を重ねる。
★掲載レシピはザワークラウト、塩水のピクルス、サワードゥ・ブレッド、味噌、甘酒、インジェラ、エチオピアの蜂蜜酒、ヨーグルト、チーズなどなど。まさにベーシックかつシンプルな発酵の工程を記述。
レシピというより、野菜、米、豆、乳製品、糖分のある材料などが、時間を経て、どのように変化していくかを見つめるための一冊。読めば、キャッツ氏のワークショップを疑似体験できる。★「ザワークラウトを作るとき、ぼくは塩の量をはからない」なんてキャッツ氏は書く。数値に頼るのではなく、食べ物の状態やテクスチャー、その変化に注目するのが、発酵D.I.Yの醍醐味であり、基本なのだ。
★天然酵母のパン作りや、ナチュラルワイン、野生酵母でつくるビールなどに関心がある人なら、シンプルな記述の行間が読めて、さらにオモシロいかも?
★”fermentation”には「発酵」の意味だけでなく「混乱」「騒動」「扇動」の意味もある、なんてアジるページも!
以上、出版元リーフレットより抜粋。
サンダー・キャッツの発酵教室
出版 ferment books
単行本 2018/10/26発売
著者 サンダー・エリックス・キャッツ (著), サンダー・E・キャッツ (著), Sandor Ellix Katz (著), 和田侑子(翻訳), 谷奈緒子 (翻訳)