旅行の楽しみといえば、何を思い浮かべるだろうか?私は観光地よりも昼食や夕食の情報ばかりを集めてしまうほど、旅行においては「食」を一番楽しみにしている。そんな私が先日、島根県を旅行している時に、あるご当地バーガーに出会った。ご当地バーガーの基本はパテと野菜とバンズという、一般的なハンバーガーとほとんど変わらない。それなのに食材の組み合わせや味付けに各地域の特色が出ることに、とてもおもしろい食べ物だなと感じた。今回は、私が旅行後にどうしても忘れられなかった味を紹介する。
島根の山奥に行列ができるご当地バーガー
島根県のほぼ真ん中に、三瓶山(さんべさん)という山がある。周辺にはキャンプ場や登山道などが整備されていることもあり、土日や大型連休になると中国地方などから多くの観光客がここ三瓶を訪れる。
広島市内からだと車で2時間近くかかるこの山奥に、土日には行列ができるほどの人気バーガーがあった。その名も「三瓶(さんべ)バーガー」だ。
2020年8月には1ヶ月で約7800個も売れたというこのご当地バーガーは、週末の夕方には8種類あるハンバーガーすべてが完売するほどの人気ぶりだ。
旅行後につい思い出してしまう味
ご当地バーガーは、その地域の新鮮な食材で作られているのが魅力の一つだろう。
三瓶バーガーも地産地消にこだわっていて、三瓶山の形に見立てたバンズに、レタス・玉ねぎ・パテを挟むという、とてもシンプルなハンバーガーだ。
それなのに旅行後もその味を忘れられなかった理由が、「炭火で焼かれたパテ」にある。
島根県産の牛肉・豚肉を使ったパテは、つなぎは一切使わない、肉感たっぷりのパテ。それを注文を受けてから炭火で焼き上げるため、一口食べた途端に炭の香りと肉のうまみが口の中にぶわっと広がったのだ。
ちなみに使用する炭も、近くにある木工体験施設・三瓶木工館から調達しているそうで、そこまで地産地消を徹底されていた。
そしてジューシーな炭火パテを引き立てるのが、玉ねぎの存在だ。
ほどよい辛みのおかげでハンバーガー全体が重くなりすぎず、ペロリと食べられる。
道中では、県外からツーリングで訪れたバイカーたちの姿もよく目にした。
おいしく手軽に地域グルメを楽しめるところが、ご当地バーガーの良さなのかもしれない。
またあの味に出会えるよろこび
ちなみにこの三瓶バーガーは、東京・下北沢にも出店している。
地方グルメは一度運命的な出会いをしてしまうと、現地に行かないと食べられないことも多い。
それもまた良いところではあるが、今は特に「移動や旅行は迷うなぁ・・・」という方もいるかもしれない。
でもそんな方がご当地グルメを通じて地域とつながり、手軽に旅行に行った気分になれるなら、それもまた小さな地域貢献なのではないだろうか。
実際に三瓶バーガーはご当地バーガーの中では珍しく、東京にも出店している。その影響もあるのか、Instagramで検索してみると実は1000件以上の投稿が見つかった。
「ここおいしかったよ!」
そんな声が自然と広がることで、自分の知らないところでその地域に貢献していることだってあるのかもしれない。
今回訪れた大田市は、三瓶山のような山地だけでなく、日本海にも面しているおもしろいまちだ。
世界遺産・石見銀山、世界一大きな砂時計があるミュージアム、歩くとキュッ、キュッと音が鳴る砂浜「琴ヶ浜」など、例年だと国内外からの観光客がこの地を訪れる。
そんな知識だって、まずはご当地バーガーを入口にしてみるのもアリかもしれない。
ご当地バーガーから始める「ローカル」だ。
(ご紹介した商品は記載当時の情報のため、在庫状況などが異なる場合があります。また価格は店舗によって異なります。)
▼取材協力
三瓶バーガー(公式HP)
三瓶バーガー(東京・下北沢店HP)
▼参考
島根県大田市観光サイト
仁摩サンドミュージアム(世界一大きな砂時計があるミュージアム)