特産品や名物を使った地方ならではのカレーは各地で見かけるが、岡山県総社市の“そうじゃ地食べ公社”が2016年から販売しているのは、「そうじゃ小学校ライスカレー」。総社市の小学校給食で出されたカレーを再現したレトルトカレーで、今は廃校になった学校も含め、現在は全17種が販売中だ。今回はその中から4種類を食べ比べし、味や食材をレポートする。また、開発した総社市にプロジェクトの背景なども取材。
総社市の小学校のカレーを再現。その数なんと17種類!
総社市は岡山県の中南部にある市。国指定文化財「備中国分寺五重塔」や桃太郎伝説に深い関わりのある「鬼ノ城」などが有名だ。そんな総社市を全国にPRしようと、“そうじゃ地食べ公社”が2016年に販売をスタートしたのが「そうじゃ小学校ライスカレー」。総社市にある小学校の”給食カレー”を再現し、レトルト商品として総社市役所やオンラインショップ、市内スーパーなどのほか、羽田空港に設置されている自動販売機でも販売している。テレビなどでも取り上げられて人気を呼び、現在ではその数なんと17種類!これだけ種類があるといろいろ食べ比べてみたくなる。
4種類を食べ比べてみた
今回はその中から4種類を食べ比べした。それぞれの小学校の写真が掲載されたレトロなパッケージデザインも目をひくが、はたしてその味は?
総社小学校ライスカレー
まずはこちら。プロジェクト開始の2016年、一番初めに開発されたのが「総社小学校」のカレー。パッケージによれば、なんと40年以上も前の味を再現しているという。確かにまず見た目から、黄色味の強いルーにゴロゴロと大きな具材が懐かしい感じだ。具材は牛肉・ジャガイモ・人参・玉ねぎと至ってベーシック。さてその味は、スプーンでほおばると、まろやかさと甘味が口いっぱいに広がる。りんごペーストが入っていて、子どもたちも食べやすいテイストに仕上げられており、一皿ペロリと完食してしまった。
池田小学校ライスカレー
続いて紹介するのは、「池田小学校」のカレー。2017年から発売されており、牛肉・ジャガイモ・人参・玉ねぎに加え、3種類のきのこ(ヒラタケ、マイタケ、マッシュルーム)が入っているのが特徴だ。袋をあけた時から、きのこ特有の香ばしい香りがふわりと漂う。食べてみると、きのこの風味はもちろん食感も面白く、牛肉とも相まってどこかビーフシチューのようなテイスト。辛さは中辛で、程よくスパイシーだ。お店で出されていても良さそうな贅沢な味わいで、これを食べていた池田小学校の子どもたちがちょっと羨ましい。
常盤小学校ライスカレー
次はこちら、2016年から販売されている「常盤小学校」のカレー。牛肉・ジャガイモ・人参・玉ねぎの基本的な具材で、見た目も「総社小学校」のカレーと似ていて、ゴロゴロと具が大きくオーソドックスなカレーといった感じだ。しかし味は中辛で、ひと口目からピリッと辛さが広がる。それほど強烈な辛さというわけではないが、しょうがペーストが入っており、食べ終えるとじんわり汗が。「総社小学校」のカレーがちょっと物足りないと感じる大人には、こちらをおすすめしたい。
総社中央小学校もみじカレー
最後は2018年に第16弾として発売された「総社中央小学校」のカレー。具材は他と同様に牛肉・ジャガイモ・人参・玉ねぎが入っているが、「もみじカレー」という名の通りルーの色が赤いのが特徴。パッケージには「シリーズ史上最も辛い」と書かれていて、ちょっとドキドキしながら食べてみると…。確かにピリッとした辛さはあるが、子どもも食べられる程度に抑えてあるのか、それほど強い辛さではない。トマトペーストやしょうがペースト、にんにくペーストなどが使われていて、辛さというより味に深みがあるように感じる。
今回は4種類を食べ比べてみたが、どれも味にしっかりこだわっていてボリュームもちょうどよく、300円のレトルトカレーとは思えない美味しさだった。では、この「そうじゃ小学校ライスカレー」シリーズは、どのようにして誕生したのか。開発した総社市に取材した。
昔の“給食カレー”の味をどうやって復活?
かつての栄養士を探し出して味を再現
2016年から販売が開始された「そうじゃ小学校ライスカレー」。開発の目的は総社市のPRだった。それにしても、なぜ小学校のカレーをレトルトで販売することになったのか。担当する総社市産業部農林課・宗田さんに話を聞いた。
宗田さん「総社市の学校給食は昭和22年12月8日から開始され、昭和40年代までは各小学校それぞれで給食を作る自校式を採用していました。この歴史ある学校給食の中で、いつの時代でもカレーは子どもたちに最も人気のあるメニューのひとつです。当時の学校給食カレーの味をレトルトカレーで再現することで地域の名物になるのではないかと考え、商品化したものが『そうじゃ小学校カレー』です」
とはいえ総社市にあるそれぞれの小学校で出されていたカレーを再現するのは、簡単なことではないだろう。その味は一体どのようにして復活できたのか。
宗田さん「当時の栄養士さんを探して昔なつかしの味を再現したり、地域から愛されるカレーとなるよう地域の方々と話し合ったりと、試行錯誤を繰り返しました。また、当時市内にあった15校の小学校と、共同調理場になってからできた2校についても、地域や現在の小学校と話し合った結果、計17校の開発に成功しました」
羽田空港では自動販売機で販売されている!?
そんな「そうじゃ小学校のライスカレー」は、総社市役所やオンラインショップ、市内のスーパーなどで購入できるのだが、なんと2018年には東京に進出。それもなんと、各地から多くの人が訪れる羽田空港に自動販売機を設置して販売されているとか。
宗田さん「総社市を全国へ発信しようと、2018年6月より羽田空港第2ターミナル出発ロビーに、そうじゃ小学校カレーの自動販売機を設置しています。この自動販売機は市単独での設置は総社市が初となっています」
売上の一部は地元の小学校へ寄付
この自動販売機の設置は話題になり、テレビ番組などでの紹介も増加。しっかりPRの役割を果たしていると言える。
また実は、このプロジェクトでは売上の一部を市内の小学校に寄付している。
宗田さん「『そうじゃ小学校ライスカレー』の売上1個につき、20円を現在の小学校区の各小学校へ応援金として贈呈しています。2020年度は22,260個分の445,200円で、総額については第1回から第5回の合計として、138,809個分の2,776,180円を贈呈しました」
各学校では備品の補充や修理などに使われており、とても喜ばれているという。
宗田さん「使われ方は多岐に渡りますが、過去のものではデジタルカメラや一輪車など、2020年度購入のものでは額や体温計、加湿器などが購入されています」
カレーを食べることで地域の小学校などを応援することができ、未来ある子ども達の役に立つことができるのだ。
コロナ禍でなかなか地元に帰れない総社市出身者はもちろん、他市や他県の人も、この機会に是非「そうじゃ小学校ライスカレー」を食べてみてほしい。その懐かしい味わいは自身の子ども時代やふるさとを思い出すきっかけになるかもしれない。
【そうじゃ小学校ライスカレーは以下で購入可能】
●公式オンラインショップ
「そうじゃ地食べオンラインショップ」
●楽天市場
「倉敷文具RUKARUKA 」
●販売場所
〈総社市内〉
総社市役所
国民宿舎サンロード吉備路
市内スーパーなど
〈岡山県内〉
クラブン株式会社(倉敷文具)運営「うさぎや」各店舗
〈東京都〉
羽田空港第2ターミナル出発ロビー自動販売機
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