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立科町の地域ワーケーションに、企業が殺到する理由とは⁉ 社員の仕事意識はどう変わる?【ローカル×ワーケーション⑥】

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【ソトコト×日本ワーケーション協会連載】ソトコトと日本ワーケーション協会がコラボして、各分野、各地域で活躍するワーケーション推進者をゲストに迎えて、毎回対談。ワーケーションにおける現在地や未来の展望を語ります。
第2回目(中編)。前回の第2回目(前編)に続いて、今回は中編。引き続き、立科町の地域ワーケーションを推進する渡邉岳志さんをゲストに、企業が立科町の地域ワーケーションに期待すること、立科町の独自性についてお聞きしました。

企業ワーケーションは個人参加でなく、チーム参加が大原則!

ソトコト 優秀な人材流出を防ぐために、企業は立科町でのワーケーションや研修に何を求めているのですか?

渡邉 1つは会社に対して、社員が心理的安全性に包まれること。もう1つは、社員の新しい視野や新しい意識が芽生えることです。

ソトコト もう少し具体的に教えてください。

渡邉 ワーケーションは個人参加でなく、チーム参加が大原則。普段の仕事や生活では行くことのない地域で、普段会うことのない地域の人と話すこと。そこで、気づいたこと、学んだことをチームでシェアすること。チームで共有することで、共同意識が生まれて心理的安全性が宿ります。新しい地域での出会いで、社員の新しい視野や新しい意識も芽生えます。結果、個人の仕事に対する視点が高まります。

ソトコト 確かに! わかりやすい説明ありがとうございます。

渡邉 だからこそチーム全員で立科町という全く知らない地域に行き、感じたことや出会いをその場で共有する。「ここでは本音で話していいんだ」という安心感に包まれながら、それぞれが「普段の仕事の枠の外側」にある新しい視野を吸収できる。立科町でのワーケーション、研修することで、個人の視点をレベルアップできる…企業が求めているのが、まさに社員個人のレベルアップなんです。

ソトコト それは、普段のオフィスの中では、できないことですか?

渡邉 ずっと毎日同じ環境で仕事や生活をしていると、ローテーション化してしまい、新たな気づきがなくなってしまう…当たり前の毎日、当たり前の環境になって、仕事や人生の意味を考えなくなってしまう。だからこそ、非日常的な、知らない地域、環境に身を置くことで、違う視野が生まれてくる。新しい発想、普段とは違うアイデンティティが出てきて、ワーケーション、研修でそれと対話していくことで、さらに新たな視点が生まれてくる…これは次回3回目の、このソトコト連載のゲストに出てくるワーケーション社労士の方も言ってました(笑)

立科町での企業ワーケーション合宿の様子。
コロナ禍後の働き方の変化で、
チームでのオフサイト合宿が重要に!

地域らしさは皆無だからこそ、立科町の企業ワーケーションは100種100様!

ソトコト なるほど、知らない地域でチームメイトと過ごし、それを共有することで意識が変わる…立科町でしかできないワーケーションメニューって何があるんでしょうか?

渡邉 ないです!(キッパリ)

ソトコト え⁉(驚愕)

渡邉 ビックリされましたか?(笑) 私が伝えたかったのは、ありがちな画一的なワーケーションメニューは不要ということです。「リンゴ狩りをする」とか「自然体験をする」といったメニューは他の地域にもありますよね!そんなメニューは、どの地域でも同じような内容になってしまいます。大事なのは、ワーケーションに参加したチームメンバーが、立科町で何を感じたか? どんな体験をしたか? 人それぞれに立科町で宿る感情、体験は100種100様。それぞれの立科町ストーリーが生まれます。だから画一的なワーケーションメニューを作るのではなく、立科町での人それぞれの受け止め方を大事に考えます。

ソトコト まさにハコやモノでなく、ヒトですね! 体験型ですね! 結果、他とない企業ワーケーションとなり、他とない地域のPRにも繋がります。

渡邉 そうなんです! ワーケーションって地域の独自性が大事というのが一般的ですが、私はNO! 個人の独自性が大事。例えば、リンゴ農家さんというハコやモノではなく、Aさんという個人、つまりヒトでメニューを作る。立科町以外の地域にもリンゴ農園さんはいらっしゃいますが、Aさんは他の地域にはいない。その個人体験が大事で、地域は二の次。個人の体験はヒトそれぞれで、捉え方もヒトそれぞれ。それが結果、地域の独自性にもなると思っています。

ソトコト よくある話で、知らない地域のファンになるには、観光地を巡るよりも、その地域のヒトと出会うこと…そのヒトに会いにその地域に足を運ぶことは、関係人口でとても大事なこととソトコトでは考えています。ソトコト編集長も、関係人口で大事なのは、地域に観光案内所を作るよりも、ヒトとヒトが出会う関係案内所を作ることと言っています。

渡邉 例えば、立科町には保母さんからリンゴ農家に転向した方がいらっしゃいまして、その方の話がとにかく面白い。だからリンゴ農家のセミナーじゃなく、その方の個人的な話。ご本人の口から、保母さんを辞めて、ここまでの紆余曲折を語ってもらうんです。

ソトコト それは聞きたいです。なんで保母さんがリンゴ農家に?って。

渡邉 そうなんです。現場も同じで、そのセミナーの中盤からワーケーション参加者からの質問攻めになるんです。その人自身のキャリアを通して、自分の仕事キャリアの悩み相談でもあるんです。

ソトコト 人それぞれ、みんな迷いや悩みはありますよね!

渡邉 そうやってワーケーション参加チーム全員で話をして、全員で共有することでチーム感が醸成され、新しい視野が生まれます。ワーケーションが終わった後も、それが続いていき、個人の視点が高まり成長していく。企業が期待する効果だと思っています。

立科町ワーケーションの資料。
地域の事業者個人のストーリーこそが独自メニュー。

立科町のワーケーションメニューで大事なことは、地域性よりヒト主体!

ソトコト 立科町のワーケーションで、ここまで確かに地域性や観光要素はゼロですね。

渡邉 あ、でも夜に星を見に行きたいって言われたら、一応場所は教えます、私は途中で帰りますけど(笑)。

ソトコト 参加者の独自性ですね!

渡邉 そうです。私が一緒にいたら、観光説明になります。でもワーケーション参加者だけなら、それぞれが星と会話し始めます(笑)。いつの間にか参加者同士が星をネタに話し始めて、チーム感が生まれています。

ソトコト わかります! 会議室よりも、居酒屋でカウンターで横並びで飲みながらの方が、本音が出る感じですね!

渡邉 まさしくそれです! 夜空を見ながらポツッと「実はさ、うちの娘が受験で声かけづらいんだよね」「わかるわー」みたいな。そういう会話のクッションみたいなものを提供する…立科町ワーケーションのガイドとして、ヒト主体が重要だと思います。(後編に続く)

立科町にある女神湖では満天の星空が望める。
雄大な自然が、ワーケーション参加者同士の
自然なコミュケーションを醸成。

前編
企業に立科町ワーケーションを提案! 地域PRにもなるワーケーションとは⁉【ローカル×ワーケーション⑤】

【渡邉 岳志プロフィール】
株式会社信州たてしなDMCで、立科町のワーケーション「立科WORKTRIP」を推進。元々は広告代理店に勤務。その後、立科町に移住し、地域のワーケーション推進業務に従事。ワーケーション利用者の要望に沿ったプランを最小のやりとり&最速で、これまで延べ1,500名の企業合宿型をコーディネート。ワークマシマシ、成果がっつりの開発合宿、オフサイトミーティング、アイデアソンなど、企業に稟議を通しやすいワーケーションを企画、提案。

【一般社団法人日本ワーケーション協会プロフィール】
ワーケーションを通した「多様性が許容される社会実現」を目指し、2020年7月に発足。300を超える会員(自治体・企業・個人)とともに、様々な取り組みを行っています。

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