「ね」だけで会話が成立する方言、秋田弁講座!「ねねばねのにねれねねー」どういう意味?

「ね」だけで会話が成立する方言、秋田弁講座!「ねねばねのにねれねねー」どういう意味?

2022.06.20

最近、若い世代はあまり方言を使わなくなったと言われる半面、一部の地域の方言が可愛いと人気を呼んでいるそうです。秋田在住の私にとって、方言は日常生活の中に当たり前のように存在します。先日、ランチを食べに行った先で手が滑ってテーブルに派手にお水をこぼしてしまい、「すみません」と謝ったところ、返ってきた言葉が「なんもだー」(秋田弁で大丈夫。気にしないでの意。)その一言がなんとも温かく心に沁みました。そんな秋田弁はどんな方言なのでしょうか?、この記事では秋田弁の特徴や、よく使われる方言をご紹介します。

秋田弁ってどんな方言?

「秋田ふるさと検定」を運営する秋田商工会議所によると秋田弁は厳密には鹿角方言、県北方言、中央方言、県南方言、由利方言5つの方言圏にわけられます。

秋田県の主要な部分は秋田藩が納めていましたが、鹿角地域は岩手県を本拠地とする南部藩に、さらに、本荘由利地域は、本荘藩、矢島藩、亀田藩の3藩に属していたこともあり、それぞれ表現が異なる部分があるようです。

相手に対して尊敬語で「そうです」と話す場合、5つの地域で以下のような違いがあります。

鹿角方言 そーだんし
県北方言 んだっし
中央方言 んだっし、そーであんし
県南方言 んだんし
由利方言 んでござりあんし、んでがんし

秋田弁の特徴としては、表現に濁点が多いこと、発音時のイントネーションが標準語とは異なること、タイトルにもある「ね」のように、短い単語に複数の意味が含まれるなどが挙げられます。

「ねねばねのにねれねねー」の意味は?

では、本題。「ねねね」「ねね」。“ね”だけで成立する秋田弁の会話、呪文のような「ねねばねのにねれねねー」って、一体どんな意味なんでしょうか?

ある家族の夜の会話です。

父「ねねね」
母「ねねねね〜」
子供「ねね」
父「ねねね」
子供「ねね」
父「ねねばね」

文字にしてみると、一体なんのことやら…
「ね」がなんの意味を示しているかわかりやすいように、文節に区切って、解説します。

父「①ね/②ね/③ね」
訳【①そろそろ/②寝ないと/③いけない】

母「①ね/②ね/③ね/④ね〜」
訳【①そうね。/②寝/③ないと/④ね〜】

子供「①ね/②ね」
訳【①寝/②ない】

父「①ね/②ね/③ね」
訳【①寝/②ないと/③いけないよ】

子供「①ね/②ね」
訳【①まだ寝/②ない】

父「①ね/②ねば/③ね」
訳【①寝/②ないと/③ダメだ】

「ね」という1文字に、『寝る』と『〜しなくてはならない』『〜しない』の3つの意味がある上、『〜ですよね』の語尾の『ね』が加わって、こんなややこしいことになっているのです。

遠足の前夜などワクワクしすぎて眠れない時、
「①ね/②ねば/③ねのに/④ねれね/⑤ねー」
訳【①寝/②なくては/③いけないのに/④寝られ/⑤ない】

と早口言葉のように布団の中で呟くことになるのです。

「食べて」「来い」「かゆい」はみんな「け」でOK

秋田弁では、複数の意味を持つ言葉として「け」も有名です。「け」の一言に、「食べて」「(こっちに)来い」「かゆい」の意味があります。

「①まず/②これ/③け」
訳【①まずは、/②これ/③食べて】

「①こっちゃ/②け」
訳【①こっちに/②おいで】

「①こごらへん/②け/③が?」
訳【①この辺りが/②かゆい/③?】

普段の生活の中で、同じ「け」という単語を絶妙に使い分けています。

運転中はよそ見注意!目を奪われる秋田弁の看板

道路脇で見つけた秋田弁の看板

秋田県内の道路脇での交通安全を呼び掛ける看板も、まさかの秋田弁でした。存在感抜群です。ただ、県外出身者にとってはインパクトが強すぎて危険かもしれません。

観光PRにも方言は大活躍!

秋田県では、県の観光PRにも秋田弁が使われています。

秋田県庁の正面玄関にも「んだんだ」の文字

「んだんだ」は、【そうそう】
秋田では「んだ」は、質問に対する答えのYESとして、
また同意する意志を表す単語としても使われます。

〈YESバージョン〉
妻「今日遅くなる?」  夫「んだ、残業」

〈同意バージョン〉
友人1「あの子めんけなー」 友人2「んだなー」

語尾に「す」をつけると、敬語風に変化するという特徴もあります。

〈敬語バージョン〉
上司「あの新人やるな」  部下「んだすなー」

初対面でどちらが年上か分からない場合などは、とりあえず語尾に「す」を付けておけば安心です。

秋田県の担当者によりますと、『方言は各地の特有のものであることから、(県の観光PRに秋田弁を使うことは)秋田県らしさを感じてもらうには非常に有効だと考えている』ということです。秋田のイメージアップに方言が大きな力を発揮しています。

懐かしく温かい方言の魅力。
コロナ禍で故郷には帰省できず、身近な人とのコミュニケーションも希薄になっている今だからこそ、改めて故郷の方言で盛り上がってみませんか?

最後は秋田弁の挨拶で
「へばねー」
訳【またねー】

※方言の持つ意味に関しては、秋田生まれ秋田育ちのライター個人の解釈です。

文•写真 渡辺綾子