自分に合った働き方と暮らし方って?二段階移住を経て身につけた実践する方法

自分に合った働き方と暮らし方って?二段階移住を経て身につけた実践する方法

2021.11.21

社会人1年目、関東から香川県高松市へ移住してきたありんこさん。フリーのフォトグラファーとして活躍するかたわら、シェアハウスの運営もしています。現在は、夫と一緒に築100年の古民家を購入しリノベーション中で、高松市から東かがわ市へ「二段階移住」。やりたいことをやるために、自分に合った働き方、暮らし方をしてきたありんこさんにお話を伺います。

ありんこさん:平成3年神奈川生まれ。フォトグラファー・写真家。23歳のときに都会の人混みから逃げて、おだやかな瀬戸内の香川県へ移住。そのあと空き家再生で香川県高松市内に小さなシェアハウス(ALINCO houseとCo ALINCO house)をつくって運営中。

バックパッカーとして日本各地を旅した学生時代

学生時代、日本各地や海外を旅していたありんこさんがはじめて香川県を訪れたのは、大学4年生。青春18切符を使って瀬戸内地域を旅していたときです。

ありんこさん「最初に訪れたときには、特に思い入れがあったわけではありませんでした。香川は瀬戸内海があって、島へのアクセスもいい。それにほどよく街があるんです。暮らしやすそうでいいところだな、と思いました」

神奈川県出身で東京の大学に通い、都会暮らしをしてきたありんこさん。田舎暮らしへの憧れをぼんやりと抱いており、大学卒業後は関東を離れて単身香川に移住して教師として働くことに決めます。

ありんこさん「都会は刺激が多くて。満員電車とか、賑やかすぎる街とか。ここで一生暮らしていくのはきっと無理だろうな、と感じていたんですよね。いつか田舎に暮らしたいと思っていました。

それで神奈川と香川の二つの教員採用試験を受けることにしました。香川は、旅行がてら受けてみようと思って。運よく二つとも受かったので、香川に移住して働くことに決めました。永住は考えていなくて、ふらっと行ってみるか、くらいの気持ちでした」

今しかやれないことをやるために

働きながらも、バックパッカーをしているときに始めたカメラを本格的に生業のひとつにしようと、勉強に励むようになります。また、「空間づくり」をしたいと思い、その事業計画も進めていました。

ありんこさん「祖母や旅で知り合った友だちが亡くなってしまって。そのとき、人はいつかは死ぬんだ、と改めて気づかされたんです。だったら今しかやれないこと、やりたいことをやろうと思うようになりました。

バックパッカー時代、ゲストハウスや安宿によく宿泊していました。そこでは、年齢もバックグラウンドもばらばらの人たちが集まっていて、偶然その場に居合わせた人が友だちになれるんです。なんとなく心地よさを感じましたし、人がゆるく集まる空間をつくってみたいと思うようになりました。

リノベーションの得意な不動屋さんに、私がしたいことを長文で書いてメールを送ったんです。すると、小さな空き家物件を紹介してくれて。10年ローンを組んで購入しました」

およそ半年間かけてリノベーションを行い、2017年、香川県高松市内にシェアハウス(ALINCO house)をつくりました。教師を3年間働いて辞め、フォトグラファーとしての事業とシェアハウス運営、そのほかこまごまとしたお仕事をもらいながら独立します。

シェアハウス(ALINCO house)
シェアハウス(ALINCO house)
2軒目のシェアハウス(Co ALINCO house)
2軒目のシェアハウス(Co ALINCO house)

ありんこさん「不安は常にあります。でも、フォトグラファーもシェアハウス運営も、歳をとってからだとできません。やりたいことをやりたいと思ったタイミングでやろうと思っています。

夫は会社員ですが、以前から個人事業でフォトグラファーとしての仕事をしていました。技術面を含め、どうやって仕事をもらっていくのか、聞くことができたのはありがたかったです」

「フォトグラファーとして撮る写真と、趣味で撮る写真は分けて考えている」と言うありんこさん。

ありんこさん「仕事では、カップルフォトやウェディングフォトなど、もらったイメージに沿うように考えて撮っていきます。趣味では、いいなと直感的に思ったワンシーンを撮りますね。一枚の絵として成り立つような写真が多いです。

自然があって、近くに人の暮らしが感じられるような写真です。人は映すのですが、匿名性のある感じというか」

田舎への二段階移住を実践

現在は、2020年8月に購入した、東かがわ市引田にある築100年以上の古民家のリノベーションの最中です。

ありんこさん「コロナ禍を機に、夫も香川にいる時間が長くなり、一緒にリノベーションをしています。会社員の仕事はコロナ禍を機にリモートワークとなったり、個人事業の仕事はインバウンドの観光客向けのものがなくなったりしたので。

いつかはやりたいと思っていた田舎暮らしを実現できてすごく嬉しいです。民泊もしてみたいですね。

まず高松に移住して、それから東かがわに移住して、結果的に二段階移住になりました。街にも田舎にも拠点ができて、行き来ができるのでとてもいいなと思っています」

リノベーションの様子を、YouTubeで公開しているありんこさん。年配の方が見てくれることが多いそう。

ありんこさん「『癒された』『なつかしい気持ちになった』といった声をもらっています。見た人が少しでも、プラスの気持ちになったり、興味をもってくれたりしたら嬉しいですね。TwitterやInstagramなど、SNSでも発信をしています。たくさんの人に届けていきたいです」

夫と二人でリノベーションをしています。
夫と二人でリノベーションをしています。

苦労のかたちを選ぶ

今後も、「空間づくり」を形を変えて続けていきたいと言います。

ありんこさん「運営しているシェアハウスは、狭くて快適とは言い難いんですよね。あるとき、50代の方からお問合せをいただいたことがあるのですが、住みづらいからおすすめできません、とお断りしてしまったんです。

よくあるシェアハウスやゲストハウスは、雑魚寝やドミトリーで、何人かで一室を使うといったイメージがあると思います。ですが若い人だけではなくて、幅広い年代の方に使っていただくために、ソーシャルレジデンスやソーシャルアパートメントのような、広い場所をつくりたいです。年配の方で、人との関わりがほしい、でも一人の時間もほしい、という方は多いと思うんですよね。

最近は施工関係の勉強をしていて、夫は電気工事士、私は宅建士の資格を取りました。今ではシェアハウスの運営で経験も増えてきたので、快適な空間づくりをしていきたいと思います」

都会から田舎へ移住して、フリーランスとして働く。これまでしてきた暮らし方、働き方の選択を振り返ります。

ありんこさん「もちろん苦労はしてきました。ですが、都会で生きていく苦労より、今の苦労の方がいいかな、と思いますね。都会も田舎も、会社員もフリーランスも、良い悪いではなく、自分の生き方にあった苦労の仕方を選ぶといいと思います」

「やりたいことはできるうちにやっておいたほうがいい」自分に合う働き方と暮らし方を選んできたありんこさん。お金や仕事、人間関係、いろいろと私たちを縛るものはあっても、一回きりの人生をどう使うか、自分のやりたいことは何なのか、改めて考えて一歩踏み出すきっかけをもらいました。

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【取材・文:宮武由佳】