【自転車旅入門:自転車選び】 はじめての自転車旅におすすめの自転車は?  開発と販売のプロに聞いてみた

【自転車旅入門:自転車選び】 はじめての自転車旅におすすめの自転車は? 開発と販売のプロに聞いてみた

2022.10.08

自転車旅を目的に、はじめて本格的な自転車の購入を決めた筆者(女性)。初心者ゆえに、数ある種類のなかからどの自転車を選ぶべきか、非常に悩んだ。同じように悩んでいる人たちに少しでも役立つよう、日本人にぴったりの自転車を開発している『ライトウェイプロダクツジャパン株式会社』と、自転車を含めたアウトドアスポーツのハードとソフトを提供している『アウトドアショップZEN(ゼン)』、自転車のプロたちに話を聞いてきた。

自転車初心者の女性が長旅をするなら、 どんな自転車がおすすめ?

そもそも、私のような自転車初心者の女性が1か月ほどの自転車旅に出かけるのはレアなケースのようだ。少し状況を単純化して、「ビギナーが扱いやすい自転車は?」と聞かれたなら、「ビギナーは乗ることだけを考えて、メンテナンスはお店にお任せといった判断で十分だと思います」と教えてくれたのは、『ライトウェイプロダクツジャパン株式会社』の村上佳子さん。

旅に出ることが前提となると、自分でメンテナンスを行わなければならず、メンテナンスの範囲を相当に広げる必要が出てくるからだ。

どんな旅をするかにもよるが、キャンプツーリングなら積載のしやすさ、ブレーキの利きはかなり重視する。『ライトウェイプロダクツジャパン株式会社』が取り扱う自転車のなかだと、ドイツのブランドである『BOMBTRACK』のツーリング向けバイクは、安定性の良いフレーム、耐久性、積載などの使い勝手を考えたパーツ構成など、よく考えられた構造になっているという。

BEYOND 1グロッシーメタリックブラック
BEYOND 1グロッシーメタリックブラック。身長の目安は150センチから対応。 写真提供:ライトウェイプロダクツジャパン株式会社

本格的なツーリングバイクはそろえられないけれど、旅がしたいという人には、「自転車用トレーラー」という選択肢もあると、村上さんが教えてくれた。自転車への脱着が容易で、積載量が増えるため「ミニベロ」でキャンプツーリングをするのにも重宝するようだ。子どもを乗せるタイプもあり、子連れでキャンプツーリングを楽しむ女性もいるらしい。

テイルワゴン V2
テイルワゴン V2は、愛犬とともにサイクリングを楽しめるトレーラー。犬と一緒にサイクリングやキャンプだなんて、憧れてしまう。写真提供:ライトウェイプロダクツジャパン株式会社

そして、初心者の自転車旅は特に、「信頼できて相談できるショップの存在があるかが重要になってくる」と、村上さんは言う。

村上さん:宿泊を伴う長期のキャンプツーリングはビギナーの範ちゅうには収まらないかと思います。当然、消耗も激しいですし、途中の考え得るトラブルに対応し、何をやってどこからは撤退すべきか、と判断するには比較的高度なスキルが必要になってきます。もしそれをビギナーがやろうとするのなら、それらを判断し、メンテナンスも行えるサポートを随行させるのがベストな選択ではないかと思います

自転車は軽車両の一つなので、法律を守って運転する責任がある。長旅に出るときは特に、事故やトラブルにならないよう事前に対策を考えておくことが大切だ。

「ビギナーが自転車旅をするときにどんな自転車を選べばいいか」アウトドアショップZEN

私にとって「信頼できて相談できるショップの存在」である、アウトドアショップZENのオーナー薛(せつ)雅春さんに自転車選びについて聞いてみた。薛さんの文章をそのままこちらに記載させていただくことにする。

アウトドアショップZEN
アウトドアショップZENの薛雅春さん。『自転車パスハンティング』著者。雑誌『ニューサイクリング』で10年間記事・写真を担当。写真はクロスバイクをレンタルして沖縄を走ったときのものだとか。ふだんはドロップハンドルをメインに自転車のハンドメイド工房「東叡社」やパリの手作り自転車「アレックス・サンジェ」のランドナーなどに乗っている。旅先ではレンタサイクルも利用して、サイクリングを楽しんでいるそうだ。 写真提供:アウトドアショップZEN

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薛さん:
現在、スポーツ用自転車は車種がたくさんあって、どれを選んだらいいかビギナーは迷ってしまいます。ロードバイクやマウンテンバイクでも旅はできるけれども、それぞれ舗装路、悪路に特化した性能なので、変化のある路面に対応できるその中間が欲しいところです。それは主にタイヤの太さに関わってくることです。

また、旅の規模にもよりますが、荷物積載にも対応した台座を備えているかもチェックポイントです。大きなザックを背負って走っている人がいますが止めた方がいいです。過度な荷重は座面への加圧がひどくなり、身体へのダメージが大きく長距離には不向きです。また、背中がラジエターになっているので、必要以上に体温をあげてしまいます。路面状況以外にも、積載荷物量が多いほど太めのタイヤが欲しいところです。

ギヤは軽いローギヤを備えた段数の多い変速システム(段数が多いほど、隣のギヤとの落差が少なく、疲れにくいです)が有利ですね。 

BEYOND 2 グロッシーメタリックルートビア
BEYOND 2 グロッシーメタリックルートビアは、ドロップハンドル、650Bの太いタイヤだ。写真提供:ライトウェイプロダクツジャパン株式会社

ハンドルがドロップハンドルかフラットハンドルかも悩むところです。ドロップハンドルの利点は、乗車姿勢を低く保てて、空気抵抗を少なくできること(楽に走れるということ)と、いろいろな個所を握れるので上体のストレスを軽減できることです。フラットハンドルの利点は楽なポジションで走れること。ドロップハンドルは利点があるものの、自転車に乗るカラダが出来ていないビギナーには、最初ちょっときついかもしれません(数か月で慣れると思いますが)。また手の小さい人にとってはブレーキレバーの開きがきついかもしれません(そこをアジャストできるブレーキレバーは安価な製品だと機能がないかもしれません)。

長距離にはドロップハンドルが有利と言われていますが、50㎞くらいのツアーだったら問題ないのではないでしょうか? 実際1か月に渡る長いツアーをフラットハンドルで過ごした鍋田さん(⇐筆者のこと)はどうだったのでしょう?

シェファードシティ
今回の自転車旅で私が使用した、フラットハンドルのシェファードシティ。写真提供:ライトウェイプロダクツジャパン株式会社

昔だったらフランス発のツーリング用自転車である「ランドナー」という車種が該当していましたが、今は絶滅危惧種で、変わる物が出てきています。具体的には予算が少なければクロスバイクから近年の新しい車種で砂利道と舗装路両方の走行を視野に入れた「グラベルロード」、グラベルロードよりも積載能力が優れている「アドベンチャーロード」、荒れた路面を走破でき、積載能力が優れている「オールロード」などが旅自転車に向いていると思います。
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実際、私の旅の相棒となった「シェファードシティ」の紹介と、フラットハンドルでの旅についてどうだったのかという質問の答えについては、後編で紹介しようと思う。

写真:ライトウェイプロダクツジャパン株式会社、アウトドアショップZEN、鍋田ゆかり
文:鍋田ゆかり
自転車旅Instagram:charitabi_charilife
取材協力:ライトウェイプロダクツジャパン株式会社アウトドアショップZEN
※順不同