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リサイクル活動を通じて、人と人のつながりを創造する。

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~Social Good in TOHOKU~ 2011年3月11日に東日本大震災があった東北の“いま”を伝えるコーナーです。東北で生まれているソーシャルグッドなプロジェクトや地域で活動する人々を紹介します。

「詰め替えパックはゴミじゃない!」という貼り紙とともに、設置された回収ボックス。宮城県石巻市では、市役所をはじめ、市内60か所以上で、洗剤やシャンプーなどの使用済み詰め替えパックを回収している。これは、使い終わった詰め替えパックに、技術や知恵、アイデアを加えることで、新たな価値を創りだそうという「リサイクリエーション」の取り組みだ。「リサイクル(再生利用)」と「クリエーション(創造)」を組み合わせた造語で、『花王』が考えたもの。2015年から始まったリサイクリエーションの活動は、現在、神奈川県鎌倉市、徳島県・上勝町、宮城県・女川町および石巻市、北海道北見市の5地域で展開されている。

石巻市では、一般社団法人『サステナブルデザイン工房』が活動の主体となっている。東日本大震災後、ボランティア活動のため石巻市に入った押切珠喜さんが立ち上げた団体だ。瓦礫撤去を行う中で、生活用品をはじめ、瓦礫となってしまった圧倒的な物量に驚き、大量生産・大量消費によって成り立ってきた社会に疑問を抱いた押切さん。「持続可能な社会の創出こそが復興ではないか」と思い至り、その実現に向け、『花王』のリサイクリエーションへの協力をきっかけに、『サステナブルデザイン工房』を設立した。

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石巻市立釜小学校で、小学5・6年生を相手に、SDGsとリサイクリエーションに関する環境授業を行う押切さん(右)。
『使ったら捨てる。この当たり前を変えたい』を合言葉に、リサイクルを通じて、人と人、人と地域とのつながりを“創造”したいと活動しています。この『クリエーション』がおもしろいんですよ。リサイクルを突き詰めていくと、いろいろな現象や思いがけない出来事が起こり、新たな出会いやつながりが生まれます」と押切さんは話す。リサイクル活動で生まれたご縁から、持続可能な暮らしにつながる地域の知恵を収集して記録に残す、「石巻のもう一つの宝を探す」という勉強会を開催したり、石巻市内の小学校でSDGsに関する講演を行ったりと、活動の幅が広がっている。

「とにかく楽しみながらやるということを大事にしています。リサイクルを切り口に、石巻でおもしろいことが次々と起こっている。自分の専門外の依頼もありますが、その先に何が起こるかが楽しみなので、引き受けるようにしています」と押切さん。最近では、太陽光パネルを回収して砂状に処理・再生利用する取り組みをコーディネートする仕事が入ってきている。太陽光パネルの再生利用を含め、リサイクルでは各分野のプロフェッショナルをつなぐ人がなかなかいないため、押切さんのこれまでの経験が、「人と人をつなぐ」というクリエーションに役立っている。「日本は物理的な資源に乏しい国ですが、人という資源は豊富なので、それをどう生かすか、つなぐかを考えながら、これからも活動していきます」と、押切さんは抱負を述べた。

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地域の人を交えて行われた「石巻のもう一つの宝を探す」勉強会第6回の様子。
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回収した詰め替えパックを再生樹脂にしてつくったブロックで遊ぶ子どもたち。
text by Makiko Kojima photographs by Sustainable Design Kobo

記事は雑誌ソトコト2023年3月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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