群馬県最北の都市沼田市には、日本一美しいといわれる河岸段丘があり、地質学的にも注目されています。河岸段丘とはどんなものでどのように誕生したのか。タレントのタモリさんも称賛する、その魅力やビュースポット、そして新しくオープンした河岸段丘カフェもあわせてご紹介したいと思います。
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河岸段丘は長い年月をかけて生み出された大地のアート
河岸段丘とは川沿いにみられる階段状の地形のことで、地球が長い年月をかけて生み出した天然のアートです。沼田市周辺では赤城山の誕生で盆地に大きな湖ができ、年月をかけてここに土砂などが溜まり、扇状地が誕生しました。
10万年ほど前になると、水が流れて浸食作用を起こし深い谷が作られます。この谷を流れる川が土砂を運び、谷が土砂に埋められ、幅の広い川原が作られていきました(堆積作用)。さらに地殻変動などで土地が盛り上がると、川の流れが早くなり地面を削る力(下刻作用)が強まります。
このような侵食と堆積そして下刻が繰り返されることで、かつての川原は大地として残り、川が徐々に下がっていき、何段もの河岸段丘が作られていきました。何万年、何十万年という歳月をかけて地球が生み出した壮大なるスケールのアートともいえるでしょう。
沼田のほかにも、函館段丘や十日町盆地・立川段丘・秩父盆地・長瀞渓谷・松本盆地など数多くの河岸段丘が日本には存在し、それぞれ特徴的な地形を見せてくれます。
日本一美しい沼田の河岸段丘の魅力
3つの川沿いにみられる沼田の河岸段丘
沼田の河岸段丘は薄根(うすね)川・利根川・片品川と3つの川沿いにあります。
まず、川場村の武尊山(ほたかやま)が水源となる薄根川の河岸段丘は、沼田公園などからみることができます。次に、奥利根が水源となる利根川は、みなかみ町を流れる赤谷(あかや)川と合流するエリアで河岸段丘がみられます。そして片品村の黒岩山が水源となる片品川の河岸段丘は最も大きく、そして美しいと言われています。
典型的な特徴が現れた姿形とスケールの大きさから「日本一美しい河岸段丘」ともいわれ、福岡県出身で地質学好きなタレントのタモリさんが訪れて、称賛したことでも知られています。
沼田の河岸段丘が教科書に載る理由
沼田で見られる段丘の中でも片品川沿いの河岸段丘は教科書や地図帳に載るほど有名です。
というのもその段数は7段もあり、市街地がある段丘面の「沼田面」は15平方キロメートルもの広さを誇り、断丘崖にも高さがあり大規模。また段丘1段の形もくっきりしていて美しいことから、教科書などにも取り上げられているのです。
タモリも愛した河岸段丘の街ならではの急坂
沼田の市街地(沼田面)は河岸段丘の最上部にあり、アクセスするのに坂道を登ることになります。数多くの坂道がありますが、その中でも沼田駅正面から続く心臓破りの「滝坂」の様子がこちら。
1924年に開業したJR上越線沼田駅前から滝坂が始まります。Googleマップの徒歩で計測したところ、沼田駅から頂上の下之町まで続くおよそ1.1kmの坂道で、車道と歩道があります。
こちらの階段は滝坂旧道の歩道で、急な階段が続きます。登ってみると相当息が切れてしまい、河岸段丘の街沼田ならではの洗礼を受けたかのようでした。
ちなみに沼田駅から市街地の高低差は約70mもあるのだそうです。河岸段丘とともに坂道が好きなタモリさんの心を捉えて離さない、沼田を代表する急な坂道です。
ビューポイントから河岸段丘を見てみよう
沼田市公式HPで紹介されているビューポイントを中心に、美しい河岸段丘を眺望できるビューポイントをご案内しましょう。
沼田公園ビューポイント
沼田市街地にある沼田公園は1532年に作られた沼田城の跡地で、現在は本丸と捨曲輪、二の丸、三の丸の跡が残されています。園内では動物も飼育され、散歩や散策にもぴったりのスポットです。
公園の北側に河岸段丘のビュースポットがあり、三峰山や武尊山、彼方には谷川岳が連なります。
眼下には薄根川が流れ、草木の合間から、薄根川沿いの河岸段丘がみられます。
道の駅白沢展望台
「道の駅白沢」は赤城山とその北面の雄大な景色を望むロケーションにあります。地元の農産物やお土産などを販売する直売所と、日帰り温泉があり観光客で賑わいます。
温泉施設の隣には展望台があり、目の前に赤城山と眼下に片品川沿いの河岸段丘が見られます。また日帰り温泉内からも見られますよ。
利根沼田望郷ラインのビューポイント
利根沼田望郷ラインは、川場村から沼田市白沢町に抜ける雨乞山の中ほどを走る道です。標高が高いため、周辺の街の風景や赤城山や彼方には子持山などの山並みも眺望でき、ドライブにもぴったり。
利根沼田望郷ラインの一際眺望の良い場所には河岸段丘ビューポイントと展望台があり、彼方にくっきりした美しい河岸段丘が見られます。
左奥に見えるのは、子持山です。また、この他にも雨乞山頂や国道120号沿いにある飲食店、子持山頂などからも河岸段丘を眺望できるとのことです。
【河岸段丘ビュースポット詳細情報】
沼田公園
住所:群馬県沼田市西倉内町594
道の駅白沢展望台
住所:群馬県沼田市白沢町平出
利根沼田望郷ライン
住所:群馬県沼田市白沢町高平
「河岸段丘カフェ」で景色を眺めながらこだわりのスイーツを堪能
河岸段丘と赤城山そして片品川沿いの風景を楽しみながらのんびり美味しいスイーツを堪能できる「河岸段丘カフェ」が誕生したということで早速お邪魔してみました。
ロケーション・お店の様子
沼田市を走る国道120号沿い、片品川沿いの河岸段丘を一望できる場所にあります。
2023年9月にオープンし、沼田名物「河岸段丘」を眺望しながらお食事やスイーツ、ドリンクを楽しめます。
店内にはソファー席やテーブル席、そしてカウンターがあり、のんびりした時間を過ごせます。
メニュー
カウンターのショーケースにはたくさんのスイーツが並びます。
メニューがこちら。各種アップルパイや、チーズパイ、タルト、ロールケーキ、河岸段丘プリンなどがあり、どれも美味しそうで迷います。
ドリンクの種類も豊富で、ハンドドリップコーヒーやカフェラテ、ティーラテなどのカフェメニューをはじめフラッペやジュース、ソフトドリンクもあります。
イートイン、テイクアウトの両方で利用可能ですよ。
ランチメニューは数量限定で、サラダやキッシュ、ローストビーフそしてスープなど、種類豊富なお料理が乗ったランチプレートを楽しめます。プラス300円でフラッペ以外のドリンクもセットで提供してくれます。ランチを楽しみたい人は早めの時間に行くのがおすすめかもしれませんね。
絶景とともに自慢のアップルパイを堪能
窓際の席で赤城の山並みと河岸段丘を一望しながらアップルパイをいただきます。
プレートには大きなアップルパイにバニラアイスが添えてあるので、パイと一緒に堪能できます。
サクサクとしっとり食感の両方を楽しめるパイ生地に、旬の芳醇なりんごがサンドされています。
シャキシャキ感の残るリンゴにはしっかりシロップが染み込んでおり、キャラメルとシナモンがさりげなく香ります。リンゴの甘味、酸味と程よくマッチ。歯ごたえも感じることができますよ。
また、ハンドドリップコーヒーは丁寧に1杯ずつ落とすので、豊かなコーヒーの風味を堪能できます。コーヒー好きにはたまらないコクが深く、芳醇な味わいです。
青空の下、河岸段丘や自然眺めながらいただくスイーツとコーヒーのカフェタイムは、まさに至福のひとときです。
アップルパイ キャラメルシナモン 470円(税込)
ハンドドリップコーヒー 480円(税込)
【店舗情報】
河岸段丘カフェ
住所:群馬県沼田市久屋原町1488-10
TEL:0278-22-0555
営業時間:10:30〜17:30 ランチタイム 11:30〜14:30
定休日:火曜日定休
おわりに
日本一美しいと称される沼田の河岸段丘をご紹介しましたがいかがでしたか?
教科書にも載り、タモリさんにも称賛された大地のアートは壮大で圧巻の光景を放ち、ビューポイントやカフェなどから河岸段丘の美しさを存分に堪能できます。山々に囲まれ、四季折々の自然も堪能できる群馬県沼田市。観光とともに日本一美しいといわれる河岸段丘を楽しみに、また沼田名物の急坂登頂もぜひチャレンジしてみてくださいね。