「熱いうちに半殺し!?」でモチモチ食感の絶品鍋。今こそ郷土料理であったまろう!

「熱いうちに半殺し!?」でモチモチ食感の絶品鍋。今こそ郷土料理であったまろう!

「まずは半殺し、早くやってしまえ」そう言われ手渡されたのは、刃物でも木刀でもなく一本のすりこぎ棒。目の前には炊き立てホカホカのあきたこまち。さあ、力の限り潰していくのです。

「半殺し」でモチモチのだまこ鍋は、秋田の家庭の味


冬になると、スーパーにきりたんぽの材料だけを集めたコーナーが出来る秋田では、きりたんぽそのものを手作りする家庭は少ないように思います。もちろん一から作る方もいるのでしょうが、家庭の台所で杉の串にすりつぶしたご飯を巻きつけて焼き色をつけて…となるとかなりの手間。忙しい現代のお母さんたちは、鍋に入れるだけの袋入りきりたんぽを購入することが多いようです。


スーパーのきりたんぽコーナー
充実の品揃え。スーパーの一角にあるきりたんぽの具材を集めたコーナー(いとく新国道店)

 一方、ご飯を潰して家庭で気軽に作ることが出来るメニューが、だまこ鍋です。きりたんぽ鍋とだまこ鍋の具材はほぼ同じ。だまこが丸くてきりたんぽが細長いぐらいの違いで、どちらも新米を贅沢に使います。

それでは、我が家のだまこ鍋の作り方をご紹介しましょう。


だまこもち


だまこ鍋の作り方 我が家流


まずは炊き立てのあきたこまちを潰します。これが結構な重労働。だいたい6割から7割ぐらいまで潰し、米粒の食感がわずかに残る程度の状態を秋田では「半殺し」と呼びます。「半殺し」が連呼される過激な台所は物騒な空間ですが、潰し加減によってだまこの食感が変わってしまうので、ここは気の抜けない大事な作業です。


炊き立てのご飯を潰す
すり鉢を出す手間を惜しんで炊飯器の釜の中でご飯を潰す。時短という名の「ひやみこぎ」(秋田弁でものぐさ)

程良い具合になったところで、手を水で濡らし、潰したご飯をコロコロと丸めて塩水にIN。この丸めたご飯をだまこ餅と呼びます。餅というぐらいなので食感はモチモチ。きりたんぽとは歯応えが微妙に違うように思います。
また、昔からだまこ餅を塩水に漬けることで煮込んでも崩れにくくなると言われています。


ご飯を丸める
アツアツのご飯を手早く丸める作業は、ベテランからお手伝いの子ども達まで総力戦。

だまこ鍋の具材


いよいよ、具材とだまこ餅を鍋で煮込んでいきます。あくまで個人的な見解ですが、だまこの食感を追求する秋田県民もスープにはそれほどのこだわりがない人が多いようで、その証拠にきりたんぽ鍋で使うパック入り比内地鶏スープをスーパーで購入する姿をよく見かけます。比内地鶏の出汁は、普通の鍋スープよりコクがあって美味しいのでおすすめです。もちろん、一般的な醤油ベースの出汁でもOKです。


きのこやゴボウ、しらたき、ネギ、鶏肉(この日は比内地鶏と普通の鳥もも肉を同量用意)を入れてひと煮立ちさせてから、だまこ餅を投入。


鍋に具材を入れる


さあ、いい感じにお鍋がグツグツ煮立ってきました。


ここで、だまこ鍋に欠かせない重要なアイテム、セリが登場。この時期使うのは、ただのセリではありません。普通のセリに比べて根っこの部分が異常に長い、その長さはもはや長老の髭レベルです。


セリをまな板の上で切る
根っこが長すぎて、まな板からはみ出すほど

この美しく長い根っこは、農家の皆さんが手塩にかけて育てたからこそ出来たもの。さらに出荷する際に冷たい水で丁寧に洗って下さっているのです。これこそが、秋田県民が愛してやまない雪深い県南部の湯沢市で収穫される「三関のセリ」です。食感はシャキシャキ。秋田では葉っぱよりも根っこが愛されていると言っても過言ではありません。
最後にこのセリを鍋に投入してサッと煮れば、アツアツだまこ鍋の完成。やはり秋田こまちの美味しさを味わうならこれに限ります。


ここでちょっと裏技をご紹介。その日にだまこ餅を全部食べ切らずに残しておけば、次の日に比内地鶏スープしみしみ、口溶けホロホロのだまこ餅が楽しめます。これが超絶に美味しい鍋の翌朝のお楽しみです。


出しが染みただまこ


1人分を簡単に作りたい方は、炊きたてのご飯を何枚か重ねた厚手のビニール袋に入れ、鍋つかみをした手でビニールの上から潰す方法もあります。また最近は、真空パックに入っただまこ餅も市販されているようです。


市販のだまこもち


お家時間が長い今だからこそ、郷土料理の素朴な味が心に沁みます。寒い夜は秋田名物だまこ鍋で、心も体もポカポカにあったまりませんか?

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