出会いの数だけ心のふるさとが増える。ふるさとには「忘れられない味」が誰にでも、ひとつはあるのではないだろうか。私の場合15年前に初めて食べた「こづゆ」がそれだ。旦那さんのお母さんが育った場所、福島県会津に伝わるおもてなしの郷土料理「こづゆ」をご紹介します。
会津人のおもてなしの心が詰まったあったか汁
「こづゆ」は農林水産省選定「農山漁村の郷土料理百選」で選ばれた福島県の郷土料理です。ホタテの貝柱で一晩だしを取り、豆麩(まめふ)、にんじん、里芋、しいたけ、キクラゲ、糸こんにゃくなどを加え、薄味に味を調えたお吸い物を、会津塗りの椀でいただきます。材料を並べてみました。おばあちゃんが作ってくれた味をこれから自宅(北海道)で再現したいと思います。
食材の種類は家庭によって少し変わる場合もありますが、カラフルで具沢山ながらアッサリとした優しい味で何杯でも食べられてしまう。個人的には短く切った糸こんにゃくと、きくらげの食感が好きです。「おかわりを何杯しても良い」という風習があり、会津人のおもてなしの心が具材同様にに温かく詰まっている料理です。
ルーツは会津藩のご馳走料理として生まれたそうです。別名「かいつゆ」とも呼ばれ、ほたての出汁が効いています。会津は豪雪地域としても有名で、冬季は150センチを超える積雪を記録する年もあるほど。現代のように除雪機能も発達していなかった明治時代、会津ではこの汁ものをたくさん食べて身体を温めていたに違いないでしょう。現在も正月や冠婚葬祭などの特別な日には欠かせない料理となっている。縁起が良いよう奇数の7または9種類の具材を加えることが特徴です。
現在80歳を超えた主人の祖母は「孫が、彼女を連れてくるで、まずはこづゆだと思ったでな。さっちゃん(私の名前)たくさんくえよー!」最初の訪問でそう言ってくれました。そして汁が空になる前に再びお椀に具を追加してくれたことを思いだします。
これまで、会津へは3度の訪問をしています。その度に「こづゆ」を用意してくれるおばあちゃん。なかなか会えない今だからこそ、味で繋がる時間を大事にしよう。小学生になった子どももこの味が大好きです。
こづゆに出会った場所、福島県下郷町ってどんな場所?
出典元:下郷町役場
下郷町は、福島県会津地方の南部に位置します。周囲は那須山系などの山々に囲まれ、町のほぼ中央を南西から北東に阿賀川(大川)が貫流し、国指定天然記念物「塔のへつり」に代表される雄大な渓谷が形成されています。面積の約87%は森林に覆われる緑豊かな町です。本町の気候は、日本海側の影響を強く受け、夏は高温多湿で朝晩は涼しく、冬は降雪量が多い積雪寒冷地帯となっています。
町内には多くの観光客が訪れる「大内宿」や「湯野上温泉郷」があります。詳細は下郷町の観光協会のホームページからご確認ください。
「大内宿」は、江戸時代に半農半宿の宿場だったのですが、現在でもその雰囲気をよく残していて、田園の中の旧街道沿いに茅葺き民家が並んでいます。湯野上温泉は阿賀川(大川)をはさんだ山間の温泉郷で、旅館や民宿が点在し四季折々の渓谷美を楽しめます。東京、仙台からはJR、車、共に約3時間となっています。
あなたの心のふるさとはありますか? 懐かしさと一緒に思い出すのは何でしょうか。