料理に入れると煮汁や出汁をたっぷり含み、とってもジューシーでおいしい、油揚げとがんもどき。お味噌汁や煮物に入れたり、酢飯を詰めていなりずしにしたり、日本人には馴染み深い食材のひとつですよね。今回は消費金額ランキングとあわせて、各地で愛される油揚げ料理を調べてみました!
消費金額ランキング、結果はこちら!
第1位 福井市(5,515円)
第2位 京都市(4,696円)
第3位 金沢市(4,464円)
(参考:総務省統計局「家計調査(二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2017年~2019年平均)」より)
不動の1位、福井市!
第1位は福井市でした! ちなみに全国平均は2,961円。福井市は平均より2,500円以上も多く購入しているという結果になりました。これは2017年〜2019年の統計データを平均したランキングですが、各年別の消費金額ランキングで見ても、福井市が不動の日本一を誇っています。
しかも、ここで言う“不動の”とは、その言葉通り“調査開始以来ずっと”ということ。昨年2月の福井県が発表した報道資料によると、家計調査が開始された昭和38年以来、連続で1位を獲得し続けているそうです! つまり55年以上もの間、不動の日本一ということになりますから、驚きです。
福井の油揚げは、厚揚げが一般的。
そんなふうに福井で油揚げが日常的に食べられるようになったのは、浄土真宗の信仰が盛んだったからと言われています。精進料理のなかでは、貴重なタンパク源として、油揚げを含む大豆製品が食べられていました。
福井の油揚げといえば、全国的に一般的な“薄揚げ”ではなく、分厚い“厚揚げ”を指します。それも、豆腐の外側を揚げたような一般的な厚揚げではなく、油揚げの中身がさらにしっかりと詰まったような感じです。形も長方形ではなく、福井では正方形のほうが一般的のようです。
食べごたえのある福井の油揚げは、外側をカリッと焼き、大根おろしやネギなどお好みの薬味を添えて、醤油で食べるのが定番なのだとか。そのままでもふっくらジューシーな油揚げだからこその一品と言えそうです。
このほかにも油揚げを使った伝承料理として、油揚げとお米を一緒に炊いた「油揚げごはん」や、まるごと煮物にした「油揚げの丸煮」などが福井県のホームページで紹介されていました。
また、お正月などによく食べられる「なます」も、福井市では油揚げを入れて作る地域もあるようです。意外な組み合わせのように感じますが、油の甘みも出ておいしそう。気になる方は、ぜひおうちで試してみては。
京都の「衣笠丼」、金沢の「いなりうどん」とは?
京都市のご当地丼「衣笠丼」
続いて、第2位 京都市で親しまれているのは「衣笠丼」。甘辛く煮た油揚げと九条ネギを卵でとじた、京都のご当地丼です。
「衣笠丼」という名前は、金閣寺の近くにある「衣笠山」が由来になっているのだそう。調べてみると、「丼に盛った姿が雪景色の衣笠山に似ていたから」という説をよく見かけましたが、ほかにも「三角に切った油揚げを山に見立てた」など諸説あるようです。
京都では、おそば屋さんなどの飲食店のほかにも、企業の社員食堂や学校給食などでも定番になっているメニューだとか。使う材料も少なく、家庭で手軽に作れるのも魅力的です。
金沢市の庶民の味「いなりうどん」
第3位の金沢市では、「いなりうどん」が庶民の味として親しまれてきました。全国的に知られている「きつねうどん」とは異なり、刻んだ油揚げをうどんに入れたものを「いなりうどん」と呼ぶそうです。金沢市ではこの「いなりうどん」が一般的で、逆に「きつねうどん」にはあまり馴染みがないという人も多いようです。
では、金沢市の「たぬきうどん」は、どのようなうどんか知っていますか? 関東で「たぬきうどん」といえば、天かすが入ったうどんが知られています。多くの方は、このうどんを想像されたのではないでしょうか。
しかし、金沢市で「たぬきうどん」といえば、さきほど紹介した、刻んだ油揚げが入った「いなりうどん」のつゆがあんかけになったものなのだそうです! 関東と関西で「きつね」「たぬき」の呼び方が違うことは有名かもしれませんが、金沢市ではさらにまた別の呼ばれ方がされているようです。これも独自の食文化が根付く金沢ならではのメニューなのでしょう。金沢へ足を運んだ際には、ぜひ「いなりうどん」や「たぬきうどん」も食べてみてはいかがでしょうか?
「きつね」「たぬき」の違いは、他の地域でも
油揚げ・がんもどきから少し話はそれてしまうかもしれませんが、うどんやそばの「きつね」「たぬき」の呼び方の違いは、他の地域でもさまざまあるようです。
これまで当たり前だと思っていた呼び方も「実はご当地ならではだった!」なんていうこともありそうです。ぜひ、みなさんの地域での呼び方も教えて下さい。新しい発見があるかもしれません!