豆腐とヨガで休息を。インドで出会った2人が南房総に立ち上げた心と体を癒す場所

豆腐とヨガで休息を。インドで出会った2人が南房総に立ち上げた心と体を癒す場所

千葉県南房総市の最南端、白浜町に移住した安藤壮(たけし)さんと未夏さん。ここは、旅の資金を稼ぐために壮さんが住み込みで働きに来た町でした。東京に暮らす未夏さんと旅に出ることを止めて、移住を決めた理由は何だったのでしょうか?ヨガやヘルシーな食事を取り入れて、心身ともに休息できる場作りをスタートさせた安藤夫婦に話を聞きました。

インドで将来の夢を語り合い、南房総で踏み出した最初の一歩


壮さんと未夏さんは、それぞれ瞑想(めいそう)体験を深めるためにインドの“アシュラム”に滞在していました。アシュラムとは、携帯やテレビなどの情報から一線を置き、野菜中心の食事やヨガを通して生活を改善するための修行をする僧院のことをいいます。そこで出会った2人は、意気投合。おいしい料理とヨガと瞑想を楽しめる休息の場をつくり、海外にも拠点を持ちたいと将来の夢を語り合います。帰国後結婚した2人は、次の旅へ向けて仕事に励みました。


農業やコック、豆腐作りなど、食べ物と向き合いながら仕事を続けてきた壮さん。世界に出るとき、和食と洋食の両方ができれば強みになると思い見つけたのが、和食と洋食を扱うホテルでの仕事であり、白浜町との出会いでした。


白浜の海とSUP
美しく穏やかな白浜の海は、SUP(スタンドアップパドル)に最適。(c)SUNAO Retreat 奥白浜

2015年5月から、3食寮付きでホテルの仕事をスタート。

安藤壮さん(以下壮さん)「忙しい仕事の合間を縫って町を歩いてみると、海あり山ありのロケーションが素晴らしく、訪れたカフェやお店の人たちの丁寧な暮らしぶりに共感してここから世界を目指したいと思うようになりました」


家探しを始めて3日後、住宅兼店舗物件を紹介してもらい、東京でヨガを教えていた未夏さんと白浜町で合流。SUNAO Retreat 奥白浜の前身である「白浜豆腐工房」を、2016年5月にオープンしました。


白浜生絞り豆腐
千葉の有機大豆を使用し、手作業で絞って作られた口当たりまろやかなお豆腐。(c)SUNAO Retreat 奥白浜

苦悩の2年間。契約更新できずに再び家探し


移住して良かったことは、「全部だね。全部良かった」と壮さん。その一方で「物件が決まらなかった2年間はつらかった」と過去を思い返し壮さんは話してくれました。


壮さん「お店を立ち上げてやっとこれからってときに、事情があって契約していた家を2年後に出ていかなきゃいけなくなりました。なかなか他の物件が見つからなかったときは、全部諦めてもう白浜を出ようかと思いました。移住してきて個人事業主で立ち上げ、金銭的な問題が全然まわらないし。子どもも生まれて間もなかったし」


壮さん「2年間ずっと家を探していました。この辺りの雰囲気が好きで、散歩しながら家を探していたら、リトリート施設に使えそうなこの物件が目に入ったんです」


白浜の物件
壮さんの目に入った、600坪の敷地を持つ物件(c)SUNAO Retreat 奥白浜

壮さんは物件の近所の人たちに声をかけ、大家さんを探していることを伝えましたが、連絡がくることはありませんでした。連絡をくれたのは、家を探していると伝えていた友達から。白浜に物件を持っている人を紹介してくれたので住所を確認すると、壮さんが探していた、あの場所の持ち主だったのです。


SUNAO Retreat 奥白浜を設立


リトリート施設立ち上げのために、2人は物件取得に向けて動き始めました。


安藤未夏さん(以下未夏さん)「娘の愛南(あなん)が保育園に入って時間に余裕ができたので、商工会の人に相談に乗ってもらって事業計画を立て『南房総市創業支援セミナー』に参加しました。商工会の紹介で、日本公庫から融資も受けられることになったんです。もし南房総への移住と起業を考えている人がいたら、南房総市創業支援セミナーをぜひお勧めしたいです。受講したことで、融資を受けるのにも役立ちましたから」


広い土間の空間
薪ストーブや薪風呂を備えた広い土間の空間。(c)SUNAO Retreat 奥白浜

2020年11月「素直な自分にもどれる場所」として名付けた、SUNAO Retreat 奥白浜の事業をスタートさせました。できたての豆腐料理を堪能し、自然に触れながら自分を見つめられる場所。現在はオフグリッドの小屋を建設中で、庭は食べられる森を目指して整備を進めています。


ウッドデッキでヨガ
晴れた日はウッドデッキでのヨガや、SUP体験が可能。雨の日は室内でのヨガ、生絞り豆腐作り体験も。(c)SUNAO Retreat 奥白浜

「移住したてのころは本当につらかった」


移住当初はペーパードライバーで、まだ車の運転ができなかった未夏さん。妊娠後はつわりがひどくて何もできず、出産後もどうしたらいいのかわからない状態で、本当につらかったといいます。それが一変したのは、この奥白浜に引っ越してから。


未夏さん「こっちに来てから土いじりを始めました。腰が痛いと感じながらも土に触れていると、気付いたら痛みがとれていました。自然の力はすごいと思います」


室内でヨガ
室内で行うヨガクラス(c)SUNAO Retreat 奥白浜

未夏さんが行うヨガクラスは、祈りの言葉を唱えてからヨガをして、瞑想へと導いていきます。


未夏さん「都会の生活や日常のストレスがある生活をしていると、無意識に感覚を遮断しなければいけなくなることがあります。ここに来て、ふだん閉じている感覚を思う存分開いていってほしい。そこから気づきがあるのではないでしょうか?」


本格的なインドカレー
「ヨガとカレーの日」は、ヨガのあとに壮さんが作る本格的なカレーを味わえます。(c)SUNAO Retreat 奥白浜

おいしい料理とヨガと瞑想を楽しめる、休息の場を白浜に立ち上げた壮さんと未夏さん。2人にとって、これはまだまだ始まりです。日本を飛び出して、SUN(太陽)とAO(青空)が広がる海外へと、SUNAO Retreatの拠点作りはこれからも続くようです。

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