房州(ぼうしゅう)弁とは、千葉県南部の南房総エリアで話されている方言です。移住者の私にとって全く意味が分からなかったこの3つの方言。今となってはこの虫と出くわすと当然のように使う、ある意味お気に入りの房州弁「ヘイハチ」「グンソウ」「ハガチ」についてご紹介します。
逃げ足の早い黒い物体、「ヘイハチ」の正体は
温かくなってくると、ヘイハチを目にする機会が多くなります。しかも家の中で。一般的に台所にいることが多いでしょうか。台所で黒い物体といえば、ピンときている人もいるはず。
答えは……
そうです、「ヘイハチ」はゴキブリのことです。ゴキブリと聞いただけで、誰でもイメージが浮かぶと思うので、あえて写真は掲載しません(笑)。
「うちのばーちゃん、ゴキブリ出ると『平八郎閣下のお出まし!』って叫んでた」という地元房州人の話があります。「ヘイハチ」「平八郎」「平八郎閣下」と、人によって多少呼び方は変わるようです。
「グンソウ」がヘイハチを捕まえた!?
南房総に来た人がグンソウに出会うと、まずその大きさに驚きます。都会では目にすることがなく、私は南房総に来て初めてグンソウを見ました。大きいものは手の平サイズ。手の平サイズの虫って、なかなかいないですよね。どんな虫か想像つきましたか?
答えは……
アシダカグモです。いきなり手の平サイズのアシダカグモが現れたら、びっくりしますよね。でも、だからといって殺してはいけません。なぜなら、グンソウはヘイハチを食べてくれる益虫だからです!
ヘイハチが大の苦手な私は、グンソウがヘイハチを食べてくれると知ってから、家の中にグンソウを見つけるとうれしくなりました。しかも、他のクモのようにクモの巣を張らないのもうれしいポイントです。
ウソか本当か分かりませんが、「昔、平八郎という大泥棒がいて、有能な軍曹が捕まえた」という話を地元の人から聞いたことがあります。実際、嫌われ者のゴキブリを捕まえて食べてくれる軍曹は、みんなのヒーローです。
「ハガチ」に噛まれる!?
ハガチに噛まれると、相当痛いらしいです。噛まれた瞬間激痛が走り、そのあと腫れあがるのだとか。外でも見かけますが、家の中で噛まれたという話をよく耳にします。
見た目の色は、黒とオレンジでしょうか。姿は細長く、漢字では「百足」と書きます。そろそろ答えが浮かびましたか?
答えは……
ムカデです。田舎暮らしで気をつけなければいけないのは、靴を履くときです。必ず靴をひっくり返して、中にハガチがいないか確認しましょう。
「確認せずに靴を履いたら、中にハガチがいて噛まれた」
「手袋をはめたら激痛がして、中にいたハガチに噛まれて手が腫れた」
という話はよく聞きます。あとは、「寝ているときに天井から落ちてきて、噛まれた」という人もいます。
南房総で「ゴキブリ」「アシダカグモ」「ムカデ」を見つけたら、房州弁を使って伝えてみてください。房州人ならすぐに反応してくれるでしょう。