子どもの教育をきっかけに移住を決意した人、やりたいことを邁進するために地域で家を借りた人、二拠点が今の暮らしの形に定着している人。少し前をいくニュー・移住者のみなさんに、それぞれの暮らしをより詳しく知るための質問に答えていただきました!
Case3. 二拠点7年目
結婚を機に、愛知県西尾市と香川県・小豆島町の二か所に生活の拠点をおいている宮本貴史さんと黒島慶子さん。それぞれの地域で生業を持ち、お子さんも生まれるなかで、どのように二拠点の暮らしをつくり、継続してきたのかを伺いました。
Q:結婚後も二拠点で暮らすという選択はどのように決まったのですか?
A:お互いの仕事を尊重すると自然な選択でした。
知り合う前から、私は小豆島、貴史さんは幡豆に仕事の基盤がありました。「二拠点で暮らそう」と貴史さんから提案をもらったことで安心して交際・結婚へと至りました。基本は私が幡豆に通うスタイルで、短ければ1週間、長いと2か月ほど滞在します。子どもが生まれてからは減ったものの、仕事柄出張もあるので、その合間を縫って幡豆に行くなど、通う頻度は流動的です。(黒島)
慶子さんは小豆島や香川県に根付いて仕事をしているので、それを結婚で奪うのは彼女にとっても、地域にとっても大きな損失だと思いました。また、僕自身も幡豆から離れて暮らすことは考えられなかったので、互いの場所を行き来する二拠点は自然な選択でした。(宮本)
Q:行き来するペースはどのように決めていますか?
A:仕事の状況と保育園の空きを考慮し、無理がないように決めています。
1か月半くらい前には予定を立てます。仕事の都合も多少ありますが、大変なのは娘の保育園の申請とやりくり。保育園に正規入所できるのは、一か所だけのため、もう一つの拠点では「一時保育」を有料で利用する必要があります。ただし、一時保育は、利用したい日の空きがなければほかの保育園をあたらなければいけないので、パズルを組み合わせるように、今日はこの保育園、明日はこちらの保育園と利用しています。幸い、娘は先々で友達をつくり、楽しく通ってくれています。ただ、1、2月は1年の中でも忙しい糀づくりがあり、働く人が増えるため、保育園に通う娘が病気をもらってくるといけないなと、その時期は小豆島にいるようにしています。(黒島)
僕は自分で運営しているシェアハウスで暮らしているのですが、シェアメイトや『みやもと糀店』のインターン、忙しい時のお手伝いなど人員構成が常にアメーバのように変わる環境。慶子さんが仕事でいないときは、みんなに育ててもらっている感覚です。(宮本)
Q:10年後も今と同じ暮らし方をしていると思いますか?
A:今、二拠点を変える予定はないのですが、その時々の最適解を見つけます。
2025年に娘が小学校に進学します。漠然と幡豆の小学校に行くと考えていたのですが、娘と話すと「(お母さんと多く一緒にいる)小豆島の小学校に行きたい」と言うので、その予定です。この後も、娘の進学や親の介護、それぞれの仕事の広がりなど状況は変化し、二拠点の比重も違ってきます。そこで大切なのは二拠点をやり遂げることではなく、互いが納得のいく仕事や暮らし方を話し合うことだと思います。(黒島)
娘が小学校で幡豆に来ると思っていたので初めは寂しかったのですが、夏休みはずっとこちらで過ごすとすると、通年で同じくらい一緒にいられることがわかり納得しました。幡豆の夏はものすごく暑くて、夏の1か月くらいは長野県のどこかで過ごしたい思っていて、それが実現できれば三拠点ですね。約7年間この暮らしを続けてきて思ったのは、一緒にいることだけが家族、というわけでもないこと。関係ができていればどんな形でも家族なんだと思っています。(宮本)
『みやもと糀店』・宮本貴史さんと、「醤油ソムリエール」・黒島慶子さんの、移住にまつわる学びのコンテンツ。
Website:Google
地域や子育てのリアルな情報をどう得たらいいかわからないことも多いので、まず身近にいる人たちやママ友に聞きます。そのうえで気になったキーワードでいろいろと検索すると、欲しかった情報に辿りつくことができます。(黒島慶子さん)
Website:Totie(トティエ)
小豆島には移住体験ができる2つの住宅と、就労者のためのシェアハウスの施設があります。小豆島の暮らしが知りたい、島暮らしを体験したいと考えている人はまず、移住支援を行っている『Totie』
に連絡するのをおすすめします。(黒島慶子さん)
Website:さかさま不動産 西尾市支局
『さかさま不動産』は、家を借りたい人の夢を掲載し、応援したい貸主を募集するという不動産の情報サイトで、西尾市局はまちのことをよく知る2人が運営しています。暮らしの相談も含めて連絡してみるといいと思います。(宮本貴史さん)
text by Reiko Hisashima
記事は雑誌ソトコト2024年5月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。