コブダイって、どんな魚か知っているだろうか? 大きいものだと1メートルを越えるという、ベラ科の魚だ。そんなコブダイに「頼子(よりこ)」と名付け、30年以上交流を続けている現役ダイバーの荒川寛幸(あらかわひろゆき)さんに、頼子との出会いや交流のきっかけについて話を聞いてみた。
写真:頼子と荒川代表 提供:波左間海中公園youtubeサイト
荒川代表が支える、コブダイ頼子の命
荒川代表は、網にかかったヤドカリをもらったり、自分で採取したりして1回に5個ほど頼子に与えている。
頼子と荒川代表
http://ryoheiito-photography.com/
人間とコブダイの絆
荒川代表「頼朝(よりとも)って名前のコブダイがいて、頼子もいたけど30センチくらいで小さいメスだったんです。だから頼子って名前を付けて頼朝と一緒にエサを食べさせていたんです。ある日、頼朝が縄張り争いで別の大きいやつとけんかして負けたんです。負けたと同時にその場所にいられなくなる。それで追っ払われちゃって、頼子が困っていたんです」
荒川代表「もう口の周りがぐちゃぐちゃになっちゃって、海底にある鳥居の下でうずくまっていた。エサも食べられない状態。歯は奥にいっぱいあるんですよ。それでサザエとかを砕くんだけど、前の歯はかみついたり何かを引っ張り出すだけの歯で、そこがぐちゃぐちゃになっちゃってたから、頼子のところにいってヤドカリを割ってあげて、本人見ていて口は開くけど食べることができないわけ。手で押し込んであげて、それを何度かやってるうちにお腹一杯になるでしょ。すると居なくなるんですよ」
荒川代表「薬を口の周りに毎日塗ってあげて。それを3カ月くらいやってるうちに治ってきて、それが現在の頼子なんですよ。だから何やっても怒らない」
傷を負った頼子にエサを与え、見守り、薬を与え続けるうちに、荒川代表と頼子は種を越えて心を通わせ合ったのだ。
頼子だけじゃない。荒川代表の海の仲間たち
荒川代表とザトウクジラ
http://ryoheiito-photography.com/
エサを食べるジンベエザメ
http://ryoheiito-photography.com/
18歳のころから潜りだして50年以上になる荒川代表が、定置網の仕事で波左間の海に初めて潜ったのは40年以上前。当時20メートル見えていた透明度が今は5メートルになり、熱帯性の死滅回遊魚が今は死滅せずに一年中いるという。海藻がうっそうとしていたが今は無くなり、大きなサンゴに変わっていった。波左間の海を見守り続けてきた荒川代表に、今願うことを聞いてみた。
たんたんと静かに語りながらも、強い意志を感じさせる荒川代表だが、頼子の話になると心なしか顔がほころぶ。頼子と荒川代表の交流は、CNNの「great big story」というyoutubeサイトでも紹介されている。
CNNの[great big story]というyoutubeサイトで紹介された荒川代表と頼子
荒川代表「みなさん、ありがとうございます。私も頼子もともに生きて行きます。エアードームでお会いしましょう。素晴らしい体験を約束いたします」
波左間海中公園:千葉県館山市波左間1012
http://hsmop.web.fc2.com/index.html
http://ryoheiito-photography.com/