コロナ禍で今までの当たり前が大きく変化し、働き方や暮らし方を見直す人も多いのではないでしょうか。今回取材したご夫妻は、田舎へ移住し、古民家でセルフリノベーションやDIYを楽しみながらスローライフを送っています。コストを抑えながら理想の暮らしを叶えているお二人のお話は、今の暮らしや働き方に疑問を感じている人にとって参考になるものでした。
セルフリノベーション・DIYでスローライフを送るご夫妻
もともと住んでいた関西都市部から、兵庫県中東部に位置する丹波篠山市へ移住したゴウさん、マナミさんご夫妻。移住前に仕事を辞め、現在は在宅でできる仕事で生計を立てています。ご自宅は安く購入した築40年の古民家。リフォームやセルフリノベーションをしながら、日々自分たちの居心地のいい空間づくりをしています。ブログやSNS、Youtube、ラジオでは、移住やセルフリノベーション・DIYの体験談を発信しており、特にYoutubeはチャンネル登録者数1.46万人(2021年5月時点)と人気です!
今回はお二人に、脱サラから移住までの道のりや、一から始めたセルフリノベーションのこと、初心者でもカンタンにできるリノベーションやDIYの方法などを伺いました。
結婚を機に退職&移住!そのきっかけとは
31歳で当時の仕事を辞めて田舎へ移住したお二人ですが、最初から移住を考えていたわけではなかったのだそう。
ゴウ 30歳に差し掛かって、人生を見つめなおすタイミングとして今がチャンスかなと思ったんです。今の生活を一度リセットして、場所や時間にとらわれない働き方をしたいと考えました。近い将来に結婚することを考えていたので、それであれば、好きなタイミングでお互いの地元に帰ることができたり、色んな場所を巡りながら仕事をしたりできれば素敵だなと思っていました。
退職に向けた準備をしていた時期から新型コロナウイルスの感染が拡大。思い描いていたプランは白紙になってしまいました。外出自粛の日々を過ごす中、考えは少しずつ変わっていきます。
ゴウ 始めたばかりの仕事以外は、ずっとすることもなく家にいて、でも高い家賃は払い続けなければならないことに疑問を感じるようになりました。そのうち窮屈な生活を続けるくらいだったら、田舎に引っ越す選択もアリかなと思うようになったんです。もともと場所や時間にとらわれない働き方をしたいと思っていましたが、生活コストの安い田舎で暮らしながら働くのも楽しいかもと考えをシフトしていきました。
そして二人で話し合い、「固定費を下げたい」「山や川、海が近くにある環境で生活したい」「子育てがしやすい環境で生活したい」「都会での生活や人との関係に疲れた」と田舎暮らしをする目的を明確にしていきました。
100万円で築40年の古民家購入!自分に合った家の見つけ方
田舎への移住を決めたお二人は、次の条件で移住地と物件を探し始めました。
・自然豊かで静かなところ
・スーパーや病院などは困らない程度にあること
・子育てしやすい環境
・車で約1時間くらいで都市部に出られること
最初は家を購入する予定はなく、賃貸物件を探していたそうですが、なかなか条件に合う物件が見つからない日々が続きます。
マナミ この家を見つけるまで20件くらいは見に行きました。賃貸も意外と高くて、丹波篠山市は移住者も多いし立地的に人気なのか、前の家賃とそんなに変わらなくて。自治体が管理しているお試し住宅も検討しましたが、条件に合わなかったり、応募したら落ちたり……。それで購入物件も見てみたら、意外と500万円以下の物件もあることが分かったんです。
視野を広げて購入物件も検討したことで、今の物件と縁があり購入することに。なんと100万円で購入できたのだそう。
ゴウ 市町村の運営している空き家バンクに登録されていた物件で、350万円くらいで掲載されていました。それまでに見た物件は状態が悪いものが多かったのですが、ここは状態も良く好印象。内見には物件の持ち主さんも同行してくれたのですが、早く手放したいとおっしゃっていたので、交渉して100万円で購入することになりました。
購入した古民家は築40年とまだまだ住める状態なため、少なくても10年程度は住むつもりだそう。ただ、今後家族が増えた場合は手狭になる可能性があるため、引っ越しや多拠点生活をする可能性もあるとおっしゃっていました。物件を選ぶ際は、自分たちの将来を見据えながら様々な選択肢を想定しておくと良さそうです。
5つの田舎を回り、20件以上の物件を見て移住したお二人に、移住地と物件探しのポイントも伺いました。古民家の購入だけでなく、賃貸物件やお試し住宅など、選択肢はいろいろあります。以下のポイントを参考にしながら、自分たちの目的に合った場所を選んでみてくださいね。
《移住地を決める時のポイント》
・田舎暮らしをしたい目的を明確にする(家族と条件を一致させておく)
・目的が達成できる田舎を探す(いくつか候補を出す)
・実際に訪れてみる(生活圏内にあるものや距離感、空気感を味わう)
・移住者に向けた補助金があるか確かめる
・先住移住者がいるか確認する(慣れていない地域はウェルカムな雰囲気でないことも)
・可能であれば移住者とコンタクトを取ってお話を聞く
《物件探しのポイント》
・物件に求める条件を明確にする(予算、築年数、立地など)
・空き家バンクや地域密着型の不動産、不動産ポータルサイトなどで幅広く探す
・自分たちでセルフリノベーションしたい箇所や、業者にリフォームを依頼したい箇所を明確にする
・どのくらいの修繕費用がかかりそうか確認(雨漏りの有無や水回りの状態など)
・地域密着型の不動産からは、地域の情報を聞ける可能性も(移住者慣れしているか、地域の管理費用はどうかなど)
古民家をリフォーム&セルフリノベーションで理想のくつろぎ空間へ
今では様々なセルフリノベーションに挑戦したり、家具をDIYしたりしているお二人ですが、もともとDIYやリノベーションは未経験。古民家に引っ越すことが決まり、最初は必要に駆られて始めたと言います。
マナミ 最初は慣れない作業で大変でしたが、慣れてくるとスムーズにできますし、やりがいや出来上がった達成感、愛着も湧いてきて。今では自分たちで何でも作れそうな気さえしています(笑)
お風呂やトイレなど、自分たちでできない部分は工務店に依頼し、その他はセルフリノベーション&DIYでおしゃれに変身。工務店に依頼したリフォームの総費用は約500万円だったそうですが、市の補助が100万円あったため実質400万円に。その他、セルフリノベーション・DIYの総費用は約50万円。手作りの温かみとセンスを感じるご自宅の様子を、次からご紹介していきます!
築40年の古民家が大変身!
和室だった部屋は、畳をフローリングに張り替え、木の温もりが感じられる居心地の良いリビングに。
昔ながらの砂利が敷き詰めてあった庭は、フロアデッキやウッドフェンスでガーデニングができるおしゃれな庭へ変身!
寝室も和室からシンプルですっきりとした洋室へ。ベッドも手作りしたのだそう。
特に気に入っているという洗面台は、約4万円でDIYしたもの。
ゴウ 自分たちで棚を作って、洗面ボウルを乗せて、割と安く綺麗にできたと思っています。
DIYに協力的な工務店にお願いし、洗面台を作りたいことをあらかじめ伝えておくことで配管の接続を後日依頼したのだそう。協力してもらえそうな工務店を選ぶことや、自分たちでやる部分と依頼する部分の線引きをしっかりすることがカギとなりそうです。
失敗も思い出や味に
最初は慣れない作業も多く、失敗することや上手くいかないこともたくさんあったと言います。
マナミ 失敗も、なんだかんだ振り返ってみたら思い出やね~みたいな。友達にも面白おかしくしゃべれるし、上手くできなかったときは、「いい味や」って言うようにしていて。
自分たちで手作りしたものは、愛着が湧き、作った時の失敗も味や思い出に変わるところが魅力。時間が経っても作った時の苦労や達成感が思い出されそうですね。
初心者でもカンタンにできるセルフリノベーションやDIYの方法をご紹介!
初心者でもできる!簡単DIY&セルフリノベーション3選
様々なDIYやセルフリノベーションを実践してきたお二人に、初心者でもカンタンにできるDIYやセルフリノベーションの方法を伺いました。
簡単DIY&セルフリノベーション①100均で買ったすのこで棚をDIY
一つ目は、100均のすのこで作るラック。費用を抑えて簡単にDIYを楽しめます。
マナミ 棚を作る時にすのこを使うとすごく便利。すのこさえあればあっという間に棚ができるので、まずはすのこを使ったDIYから始めるといいかもしれません。
▼Youtube動画「【DIY】100均のすのこと木材で可愛いミニラックづくり」
簡単DIY&セルフリノベーション②襖に壁紙を貼る
二つ目は、襖に壁紙を貼るDIY。備え付けのドアを活かしつつ、壁紙を貼るだけでおしゃれな雰囲気になります。
マナミ これだけでだいぶ印象が変わるのでおすすめです!
壁紙を貼るだけで和の雰囲気から脱却!もともと和室の襖だったとは思えないほど綺麗に。
▼Youtube動画「築40年のボロボロ襖が生まれ変わる/DIY素人夫婦の挑戦」
簡単DIY&セルフリノベーション③壁に漆喰を塗る
三つ目は壁の漆喰塗り。もともとは砂壁で和の雰囲気だったリビングの壁に、白の漆喰を塗っています。白の漆喰を塗ることで部屋が明るい雰囲気に大変身。
材料はホームセンターで買うことができるため、初心者にもおすすめ。部屋の雰囲気ががらっと変わります。
お二人のYoutubeチャンネルから動画でさらに詳しく見ることができるので、ぜひチェックしてみてくださいね!
変化を楽しみながら手づくりする、ちょうどいい暮らし
都会暮らしをしていた時は情報過多になったり、仕事の忙しさに追われてしまったりすることも多かったそうですが、田舎へ移住してからはバランスが取れ、ちょうどいい暮らしができていると言います。
マナミ 毎日穏やかに過ごせていて、健康になったなと感じます。体もそうですが、どちらかというと心の面。ご近所さんとの付き合いや家族との時間も増えて、幸福度上がったよねって話はよくします。
今後は地域に貢献したいという思いから、空き家を活用したコワーキングスペースの運用にも挑戦していくのだそう。「変化していくのが楽しい」と笑顔で話すお二人の姿が印象的でした。
「都会の喧騒から離れて静かに暮らしたい」「コストを抑えながら理想の空間で暮らしたい」と感じている人には、田舎移住は良い選択肢の一つになるはず。当たり前が大きく変わり、暮らしや働き方を見直す今だからこそ、自分たちに合った場所や住まいを探してみてはいかがでしょうか。
今回ご紹介した他にも、Youtubeや各種SNS等では、移住やセルフリノベーション、DIYの体験談が見られるので、ぜひチェックしてみてくださいね!
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