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特集 | ソトコトが手がける講座・講演プロジェクト

「とやまつながるラボ」修了生インタビュー:富山に惹かれる理由を自分の言葉で表現したい。

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弊誌『ソトコト』は、地方自治体との取り組みでさまざまな「関係人口育成講座」を運営しています。富山県が舞台の「とやまつながるラボ」は、株式会社シーズ総合政策研究所と共同で実施している、受講生が富山との自分らしいつながり方を探すオンライン講座です(第3期となる今年度は現地実習も実施予定)。1期生の高橋知里さんは、もともと縁のあった富山とのつながりを一層深めるために受講しました。講座に何を求めて、何を得られたのか。オンラインインタビューで伺いました。

目次

ルーツのある富山への思いが伝わる言葉を探しに。

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富山のご自宅からオンラインインタビューを受けてくれました。
高橋知里さんは秋田県生まれですが、お母さんの出身地が富山県だったので、お盆やお正月にはよく富山に帰省しており、昔から特別な場所だったそうです。

講座受講当時は、仙台市の大学に通う大学院生でした。就職活動を行う中で富山での就職を意識するようになり、「とやまつながるラボ」の受講にもつながりました。

「最初は地域には特にこだわらず就活していました。けれど次第に、自分のルーツのある場所で働けたらと思うようになり、富山の企業を受け始めました。秋田出身で仙台の大学に通う私が富山で就活していると『なぜ富山で?』と度々聞かれました。おばあちゃんがいたから、馴染みのある場所だから、と答えるんですが、それだけでは納得してもらえないことが多かった。だから、富山への思いを自分の言葉で明確に説明できるようにしたかったんです」

富山県の移住促進サイトを見たり移住関係のお知らせが届くメールマガジンに登録していたりした中で偶然「とやまつながるラボ」の受講生募集案内を見かけ、受講を決めました。

「新型コロナウイルスの感染拡大によって遠出がままならない状況だったので、オンラインで人と出会う機会を求めていました。単発のセミナーはよくあったけれど、とやまつながるラボは3か月間で3回の連続講座。一緒に受講したメンバーと繰り返し集まれることが魅力に感じました。富山への思いを明確に言語化することを目標としていましたが、受講したからといってすぐに達成できたわけではありません。でも、この講座だからこそできた経験や知り合えた人たちがいたことが、自分にとってプラスになりました」

受講中同じグループで活動した3人と意気投合して、今でも富山県内で度々会っているそう。

「前回会った時は、スズの器など鋳物で有名な高岡市に行って、工場見学をしたり併設のカフェでお茶をしたりしました。実はまた来週も会う約束をしていて、南砺(なんと)市でひまわりを見たりワイナリーに行ったりする予定です。私が最年少なので、就職活動の時をはじめ、よく相談に乗ってもらったりもしています」と笑顔で言います。

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今年のゴールデンウィークに受講生仲間と行った、高岡市の鋳物メーカーの工場見学。(高橋さん提供)
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高岡市内の散策も楽しんだそうです。(高橋さん提供)

悩みながらも、富山での就職が決まる。

富山で就職したいという思いがあって受講を決めた高橋さん。就職活動中、つらい思いをしたこともあったとか。

「ある企業の面接で『富山に憧れがある』と話したら、『憧れだけじゃやっていけない』と言われて落とされたのが悔しかったです。県外出身者は富山に来ちゃいけないの?なんて思ったこともありました。でも『とやまつながるラボ』は、県外から富山とつながりたいという思いを大切にしてくれて、受け入れてくれる。そして『外から来る人が新しいことを持ち込んでくれる』と期待してくれている。そんな人の集まりだったから、自分も富山にいていいんだ、と思えるようになりました」と振り返ります。

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講座の最終回に発表した高橋さんの「とやまつながるプラン」。おばあちゃんへの思いと富山で就職したい思いがここにも表れています。
つらい経験をしながらも、富山への思いを大切にしながら進めた就職活動。努力の甲斐あって、この春、富山県の地元紙・北日本新聞社に就職しました。

「就職活動の途中から、一つの土地に根差して、その土地のために活動している会社がいいなと思うようになりました。マスコミへの就職に関心があったし、おばあちゃんが取っていた新聞でもあるので、就職が決まった時は本当に嬉しかったです」

現在は新聞記事に見出しを付けて紙面レイアウトを完成させる「整理記者」の仕事をしています。

「富山県って、読み方が難しい地名が多いんですよ。知らない場所や、行ったことのない場所がたくさんありますが、整理の仕事をしていると地名も自然と覚えられるのがいいですね。購読者の方々に届く紙面を最終的に作り上げる部署なので、責任重大。自分の組んだ紙面が掲載されると、責任の大きさに緊張しつつも、やりがいを感じます」

富山とのつながり、これまでとこれから。

「富山への思いを言葉にしたい」と「とやまつながるラボ」を受講した高橋さん。探していた答えは出たのでしょうか。

「やっぱり簡単なことじゃなくて、悩み、言葉を探しながらの就職活動でした。講座と就職活動が終わってからも、自分で納得のいく言葉をずっと考え続けています」

そう言いつつ、今の高橋さんの言葉で、丁寧に話してくれました。

「富山は、ビジネスや経済において、新しいものに対する感度が高いなと思います。例えば、近年SDGsへの取り組みが注目され始めていますが、富山県はスーパーのレジ袋有料化を2008年の時点で取り入れているんですよ。時代に対する先見の明があるんだな、富山に暮らす人は時代を生き抜く力を持っているんだな、と感じ、そんなところに惹かれます。でもそれだけじゃなくて、富山への思いは大好きなおばあちゃんの存在抜きには話せないですね。私が高校3年生の時に亡くなったのですが、お盆やお正月に帰省した時に、地元のお店でケーキやパジャマを買って待っていてくれたり、一緒に白玉団子を作ったりした楽しい記憶が残っています。着ている服がおしゃれで、詩吟や茶道など多趣味。そんな大好きなおばあちゃんが暮らした富山が大切だと思うし、自分もそこで暮らして富山のことをもっと知りたいんです」

大切な人との幸せな思い出の場所であること。それが地域への愛着に大きく寄与していることが、高橋さんの中でより明確になってきました。

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おばあちゃん(写真中央)と魚津市の魚津埋没林博物館に行った時の思い出の写真。右が高橋さん、左が妹さん。(高橋さん提供)
「とやまつながるラボ」は、高橋さんのようにもともと富山とつながりのあった人はもちろん、初めて富山と関わる人の参加も歓迎しています。今後受講を考えている人に講座の魅力を語るとしたら? と高橋さんに聞いてみました。

「ゆるい雰囲気で、ゆるく富山や人とつながれる講座。肩の力を抜いて参加するのがいいですよ。いろいろな温度感の人が参加しているから、富山に対して熱い思いを持っている人が来てもいいし、なんだかちょっと富山が気になるというだけで参加してもいい。あ、でも、『講座を通じてこれを達成したい』っていう目標があると、より充実した時間を過ごせるかもしれません」

高橋さんが「とやまつながるラボ」で新たに得られた「富山とのつながり」が、今後どう発展していくのか、楽しみですね。新聞社で働き、言葉を通じて富山に関わることを選んだ高橋さん。きっとこれからも、新聞社での仕事や様々な人との出会いを通じて、富山への思いが伝わる言葉を探し続けるのではないでしょうか。

「とやまつながるラボ」第3期受講生募集中

高橋さんが受講した「とやまつながるラボ」が、現在第3期生を募集しています!

今年度はオンライン講座に加え、1泊2日の現地実習もあり一層充実した内容となっています。高橋さんの体験談を読んで気になった方は、ぜひ受講をご検討ください。

富山と自分らしくつながりたい皆さんの参加をお待ちしています。

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