年間184万5千人が訪れる、日本有数の透明度を誇る北海道・支笏湖。この美しい湖に、観光客の99%以上が「環境保全に貢献できていない」という課題が存在していました。この構造的な問題に挑むのが、環境省「エコツーリズム大賞」最高賞を受賞した事業者です。「楽しかった」という旅の思い出を「湖の未来を守る力」に変える、北海道初の“ある仕組み”が10月8日よりスタート。誰もが支笏湖のサポーターになれる、その画期的なモデルを深掘りします。
見過ごされてきた「183万人の可能性」。99%の観光客は何をすべきか?
支笏湖は、その圧倒的な透明度で国内外の観光客を魅了しています。 しかし、2024年度の推計によると、年間来訪者約184万5000人のうち、環境保全協力金を利用したアクティビティ参加者は1万7979名。環境保全に直接貢献しているのは、わずか0.97%に過ぎませんでした。 実に約183万人、つまり99%以上の人々が、湖の恩恵を受けながらも保全活動への「参加機会」がない状態だったのです。 この「環境保全参加ギャップ」こそが、持続可能な観光への最大の課題でした。
【北海道初】お土産購入が自動で寄付になる「全員参加型モデル」
この構造的な課題を解決するため、「支笏ガイドハウスかのあ」が北海道初となる常設の「寄付型お土産」販売を10月8日から開始しました。 販売される全17種類の商品(350円〜8400円)には、売上の5%が「支笏湖環境保全協力金」として自動的に組み込まれています。 観光客は、お土産を選ぶだけで、意識せずとも地域貢献に参加できる仕組みです。 これにより、今まで参加機会のなかった183万人を巻き込む「全員参加型モデル」が実現します。

このモデルを主導するのは、環境省「第20回 エコツーリズム大賞」で最高賞の大賞を受賞し、代表の松澤直紀氏が北海道観光大使も務める「支笏ガイドハウスかのあ」です。 天候に左右されがちなアクティビティ協力金とは異なり、観光客の消費行動と連動した安定した資金源を確保します。

「自分事」になる受益者負担。寄付金の使い道も明確に。
この「寄付型お土産」は、観光客の意識を「お客様」から「環境を守る当事者(パートナー)」へと変える機会を提供します。 協力金は、支笏湖運営協議会へ引き継がれ、以下の活動に使途が明確化されています。 具体的には、湖畔および周辺地域の清掃活動の継続的実施、そして国立公園内の動植物保護やマナー向上を目的としたフィールドパトロール活動などです。 購入金額の一部が何に使われるかを知ることで、「自分事」として捉える新しい受益者負担の形が確立します。

支笏湖ブルーを未来へつなぐ。
販売される主力商品には「MiiR 23oz Narrowmouth(5720円)」や「支笏湖ブルー・キャンバストート(S:1400円、M:1550円)」など、支笏湖の思い出を持ち帰れるライフスタイル商品が並びます。


この「支笏湖モデル」は、支笏湖の課題解決に留まらず、同様の課題を抱える全国の国立公園や観光地のロールモデルとなることが期待されています。
※価格は全て税込です。