「農業はきつい、儲からない」という常識が、今、高知県で変わり始めています。京都に本社を置くテクノロジー企業「アドインテ」が、高知県本山町を拠点に未来型農業を本格始動。「データ×テクノロジー」で地方を救う、その挑戦の全貌を追います。
収穫サイクルが露地の1.5倍に!高知・本山町で始まる安定生産
「アドインテ」は、2025年7月のビニールハウス稼働開始を経て、高知県本山町で葉物野菜の本格販売をスタートしました。栽培の基本は、天候に左右されない薄膜型水耕法。レタス、ほうれん草、パクチーなど約6〜7種類の葉物野菜を中心とし、種まきから収穫までを約30日前後という短いサイクルで実現します。このスピードは露地栽培の約1.5倍にあたり、年間を通じた安定生産を可能にします。この「高回転・低負荷」なモデルは、持続可能な農業の鍵となります。

「データ×リテール」で実現するフードロスゼロの未来
アドインテの強みは、IT企業ならではのデータ分析力です。現在、IoTを活用してハウス内の温湿度や二酸化炭素濃度などの環境データを収集し、栽培管理に活かしています。将来的には、この生育データと、同社が培ってきたリテールメディアの知見、つまり小売側の購買データを連携させる計画です。これにより、AIを用いた生育状況や収穫量の予測が可能になります。「いつ」「どこで」「どれだけ」の野菜が必要かを正確に把握し、需給の地域格差や食品ロスといった構造的な課題を解決する農業改革を推進します。
「かがむ作業ゼロ」を実現!テクノロジーが変える農業の現場
この未来型農業モデルは、生産効率だけでなく、働く人への優しさにも徹底的にこだわっています。栽培ベッドの高さが最適化されているため、従来の農業で大きな負担となっていたかがむ作業がほぼなくなりました。これは、特に高齢化が進む農業従事者の身体的負担を大幅に軽減し、新しい雇用創出と雇用の安定化にも直結します。まさに「現場を知らなければ、農家に役立つ技術は作れない」という同社の現場主義の信念に基づいた開発です。

このモデルが高知から全国の地方に波及すれば、日本の農業のあり方が根本から変わる可能性を秘めています。


















