農産物の流通で毎年大量に生まれる「規格外品」。形が悪い、キズが付いているという理由だけで、低評価や廃棄の危機に瀕する野菜や果物が、いま脚光を浴びています。普段は避けられる「個性」を「最高のハロウィンメイク」と見立てる仕掛けを深掘りします。

個性が価値に変わる日。

農産物の流通過程において、大きさや形、表面のキズなどが原因で市場に出回らない「規格外品」が少なくありません。しかし、熊本の農家「ハナウタカジツ」は、この問題を逆転の発想で解決しようとしています。彼らは、普段はデメリットとされる曲がった野菜や傷が付いた果物を個性と捉え、ハロウィンの日にこそふさわしい「ユニークさ」として価値を転換するメッセージを発信しました。

この収穫の秋を祝う日、規格外の「個性」は、最高の「ハロウィンメイク」として堂々の主役になるのです。

規格外＝低品質ではない！農家が伝える「多様な面白さ」

ハナウタカジツは、以前から農産物の「多様な物語」を伝える活動に注力してきました。その象徴が、みかんの生育過程で生まれる「間引きみかん」の活用です。通常は廃棄される間引きした実を常連の消費者に送付し、「ハチミツ漬け」や「みかんポン酢」といった手しごとを体験してもらいました。

「規格外だから低品質」という社会の思い込みを越えることが、ハナウタカジツの最大の目標です。農産物の多様な面白さを伝え、生産から食卓までを通して、果物・野菜の生育の物語に思いを馳せてほしいと訴えます。

全国の仲間たちと広がる「もったいない工房」の輪

この「個性を価値に変える」取り組みは、熊本のハナウタカジツだけでなく、全国の農家へと広がっています。例えば、岐阜県の「Koike lab.」は、規格外・傷物野菜を加工する「もったいない工房」を運営。青森の「アップルギフターズ」は、少しの傷のあるりんごを家庭用として販売しています。規格外品を単なる「ロス」ではなく「可能性」として捉え直す、この新しいトレンドは、日本の農業と食卓に大きな変化をもたらすでしょう。