革製品の生産工場で貧しい人々の「働く」場を増やす
自社のプロダクトを通して環境保全や地域・社会の課題解決に取り組むエシカル(ethical)ブランドに注目が集まっている。多くのブランドが新たな取り組みとしてエシカルなプロダクトの製造・販売を始めるなか、『Business Leather Factory(ビジネスレザーファクトリー)』は2014年の設立以来、雇用を通してバングラデシュの貧困問題の解決に取り組む、言わばこのジャンルの先駆者。創業当時わずか2名だった自社工場のスタッフは2016年には450人を超えて、さらに貧しい家庭環境の人や労働差別にあいやすい女性を採用することで着実にその企業フィロソフィーを実践している。
なぜバングラデシュで革製品?
バングラデシュで年に一回開催される宗教的なお祭りで処分される大量の牛革。そこに着目して、本来廃棄されるはずだった牛革を革製品に加工する工場を設立。資源の有効活用と革製品の製造に携わる雇用を創出した。決して大量生産はできないスキームゆえに、まずはインターネットでの販売をスタート。しかし、品質の高さとリーズナブルな価格設定で多くのファンを獲得した。日本全国の空港や商業施設でのポップアップショップ展開を経て2015年6月には福岡に直営店をオープン。現在(2019年4月)は全国に14店舗を展開しエシカルな革製品を提供している。
シンプルで飽きの来ないデザインと多彩なカラーバリエーション
名刺入れやペンケースといった小物からビジネスバッグまで、ビジネスに特化したラインナップをそろえるビジネスレザーファクトリー。本革を使用した品質の高さはもちろんのこと、ユニセックスでシンプルなデザインも魅力だ。またブラックやダークブラウンといったベーシックな色だけでなく、ピーコックブルーやサクラピンクといった10色以上の華やかなカラーバリエーションも人気の秘密。同じ色ですべてのアイテムをそろえるファンも多いとのこと。自社でデザインから製造、販売まで行うため、顧客ニーズをスピーディかつ的確に商品化できることも同社の特徴だ。
『Business Leather Factory(ビジネスレザーファクトリー)』が目指す未来
本革製品を通して世界中の「働く」を明るく
バングラデシュの工場では、これまで働くことができずに苦しんでいた貧しい家庭環境の人々が、家族のような仲間とともに、夢や希望を持ちながら、革職人として働いている。工場は、単に職場としてだけではなく、住居や教育・医療サービスなども備えたコミュニティとしても機能し、他の工場のロールモデルとなる「働く場所」を目指しているという。また高品質・低価格な本革商品を提供することで、顧客の「明るいワークスタイル」を実現することもゴールだとか。
今後はバングラデシュだけでなく、牛皮を有効活用できていない他の地域でも、このビジネスモデルを展開していく。「世界中の『働く』を明るく」するの実現に向け、ビジネスレザーファクトリーの挑戦はまだまだ続く。