奈良県の南部と東部地域の総称を「奥大和」と呼びます。この奥大和地域から、持続可能な生活や地域づくりを学ぶ、全4回のオンライン講座「奥大和サスティナブルデザインスクール」が2022年1月~3月に開催されました。奥大和へフィールドワークに“出かける”第2回の様子をレポートします!
目次
まずは、奥大和を知る。
奈良県の奥大和地域は、山々や高原、澄んだ川など美しい自然が広がる。その中に集落が点在し、伝統的な習わしや行事、手仕事が代々受け継がれていて、文化的にも豊かな地域である。この奥大和地域と都市部在住者をつなぐ講座、「奥大和サスティナブルデザインスクール」(主催:奈良県)が昨年に引き続き今年も開催された。
自然と共存をしながら暮らしている奥大和の人々から学ぶことで、受講生たちが自分の暮らしを見直し、奥大和地域との関わり方を考えていく。講座はオンラインでの開催で全4回。今年の1月から3月にかけて行われ、全国からたくさんの参加申し込みがあった。
講座のメイン講師は弊誌編集長の指出一正。メンターとして受講生と“伴走”するのはライターの小久保よしのさん。小久保さんも奈良県の魅力を知り、首都圏から移住した一人だ。自身の経験談や今の暮らしぶりを伝えながら、受講生たちが奥大和地域と向き合う背中を優しく後押しした。
下北山村を、聞く、見る、食べる。
講座第2回のオンラインフィールドワークは、奥大和地域の南端にある下北山村のコワーキングスペース『SHIMOKITAYAMA BIYORI』から1日をかけて配信された。下北山村には豊かな自然環境、特産品、観光スポットなど素晴らしい資源がある。地元住民と移住者がうまく溶け込み、ともに生活を営む。一方で、急激な過疎化によって、遠くない未来に村の存続が危ぶまれる地域だ。下北山村地域振興課の堀内亮介さんから村の紹介があり、「村外の方も含めて村の将来を本気で考える必要があります」と受講生に自分ごととしての関わりを求めた。
その後は下北山村に移り住んで活躍する方々をゲストに、村の魅力や地域との、仕事、そこでの生活、仕事、地域との関わり方についてお話ししていただくことに。デザイナーの山岡伸子さんと、うつ病などで離職・休職されている方向けの宿泊型転地療養サービスを行う森田沙耶さんにお話しいただいた。下北山村へUターンした山岡さんと、Iターンをした森田さんは村へ来た理由として、「ほかの地域から来る方を受け入れる下北山村の温かさ」を挙げる。森田さんは、「『都会の生活に疲れた方が利用する施設です』と住民に事業の説明したとき、『ここで、休んでいったらええよ』と言ってくれたことが印象的です」と語った。
午後は下北山村で一軒宿とカフェを営む小野正晴さん・晴美さんご夫妻、草野涼さん・みなみさんご夫妻のお話を伺う。この2組がなぜ下北山村を選び移住したのか、それぞれの視点で下北山村の魅力とここでの子育て・仕事についてお話ししていただいた。奥大和で新たな挑戦をした小野正晴さんの言葉「動き出すなら早いうちに!」に刺激を受けた受講生たちからは質問や意見がたくさん出てきた。
講師の指出は、「便利な世の中で、原初に帰って心の豊かさが保てる場所が奥大和であり、その地域と出合えたのはとても貴重なこと。現地に行ってそれを感じてほしい」とオンラインフィールドワークを締めくくった。受講生たちは今の自分は何をしたくて、奥大和地域に対して何ができるか、自分と奥大和地域の未来を考えるきっかけとなった。今回の講座での現地訪問は叶わなかったが、その分、受講生たちのワクワク感が高まっている。
ソトコトYouTube
「ソトコトYouTube」では「奥大和サスティナブルデザインスクール」のアーカイブ動画を配信中!
photographs by Takahisa Fukui 、text by Mioko Ito (SOTOKOTO)
記事は雑誌ソトコト2022年5月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。