オニのパンツで世界を豊かに

オニのパンツで世界を豊かに

2021.07.19

クラリネット奏者の黒川紗恵子さんが下着ブランドを立ち上げたのは今から3年前。 日本では古くからある下着「襦袢」(ジュバン)と、童謡「オニのパンツ」で謳われているような“つよくていいパンツ”を掛け合わせ、「JUBAN DO ONI (ジュバンドーニ)」と名前をつけました。 「♪鬼のパンツはいいパンツ♪ はこう、はこう、オニのパンツ♪」 彼女の考える身も心もゆるむ新しい時代のオニのパンツとは??

ほしい下着がない!


黒川紗恵子


かれこれ、20年くらいまえのこと。自分に合った下着を見つけるのは、簡単なことではありませんでした。どんなに大きな下着売り場で探しても、流行りのものしか置いてない。そのことに心底おどろき、落胆して、
「これはもう、将来、自分でつくるしかないかな」なんて友人に話していたとか。


実際に下着をつくりはじめたのは、それから15年ほど後のこと。普段は音楽の仕事をしていますが、演奏の仕事だけでは収入は不安定でした。かといって、その場限りの仕事には惹かれずにいたところ、自分の好きな仕事を複数持ちながら楽しく生きている周りの先輩たちのことを思い出し、
「仕事はひとつでなくても」と背中を押されました。


そうして、自分が「欲しい、必要だ」と感じている下着をつくるのはどうだろう?と、音楽の仕事と両立しながらパンツをつくることに決めました。


経験ゼロから、理想のパンツをつくる


ジュバンドーニのリブ
本来ゴムを用いるウエスト部分に“リブ”を使っている。ゆるいテンションの幅広リブはしっかりおなか周りを包みながら、それでいて締め付けや食いこみを感じさせない。脚の付け根にも、通常よりゆるめのゴムを使用。

それからは、手探りで理想のパンツの形を考えてゆく日々が続きました。
市販のパンツを買い、パーツごとに解体。その型を取って、そして実際に縫製して形を確かめる。その繰り返しです。
洋裁経験もパターンの知識もありませんでしたが、なんとか思い描く理想のパンツをつくれるようになるまで5年という時間がかかりました。


自分の感覚を表現し、それをだれかの役に立てる。ものづくりの目指すところは、パンツも音楽も共通していると思っています。


洋服や食べ物には、いろんな選択肢がありますよね。ひとの好みって、本当に多種多様。だから、できるだけ多くのなかから選びたいものです。でも、下着の選択肢はまだまだ少ない。特定のものを選ばされることに窮屈を感じているひとが、いまだ大勢いるはずです。
だから、ジュバンドーニをつくることで選択肢をひとつ増やしてみました。それを選びたいひとが、選びたいときに、そこにあるように。
「選べる」ことは、暮らしを、ひいては世界を豊かにしてくれます。より多くのひとが自由に選べる豊かな世界。ジュバンドーニが、その一助になればと思っています。


経験ゼロから、理想のパンツをつくる
左)縫い目が表側になっているのも特徴。縫い目が肌に当たらないので、かゆみなどの原因となる刺激を防ぐ。はいていることすら忘れるというのは、ジュバンドーニ体験者が多く口にする感想。
右)3周年を迎える今年、直穿きできるウールパンツも新しくラインナップに加わった。

JUBAN DO ONI 
http://www.jubandooni.com