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サスティナビリティ

環境省「つなげよう、支えよう森里川海」アンバサダーが考える、“サステナブルな社会”への第一歩

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私たちの生活は、常に自然の恵みを受けて成り立っています。その豊かな恵みを遠い未来にまでつないでいくため、環境省が取り組む「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクト。2021年はアンバサダーたちとともに、国民一人ひとりのライフスタイルシフトを実現するためのアクションを考えました。今回はその集大成、アンバサダーによる多彩なアイデアが発表されたプレゼンの様子をレポートします!

森里川海ロゴ

森里川海ロゴ

目次

「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクトとは?

きれいな水や空気、安定した土壌、豊かな食料資源など、数々の恩恵をもたらす自然。私たちの日常生活には必要不可欠な存在です。

しかし、経済や社会を含めた様々な原因により、日本の自然は荒廃し続けています。近年は地震や台風などの大規模災害や、深刻な鳥獣被害、資源の枯渇など、私たちの暮らしにも大きな影響が出てきました。今のままでは、これまで私たちが享受してきたような自然の恵みを、未来の子どもたちに引き継ぐことも難しい状況になりつつあります。

そんな状況を変えるべく、環境省がスタートした「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクト(以下「森里川海」プロジェクト)は、「森里川海を豊かに保ち、その恵みを引き出すこと」「一人一人が、森里川海の恵みを支える社会をつくること」というふたつの目標を掲げ、その実現に向けて2014年から様々な活動を行っています。

Ogawa Organic Fes 2019

Ogawa Organic Fes 2019

「五感でオーガニックを感じる一日」をテーマに開催した「Ogawa Organic Fes」(2018)。
国際社会でも、2015年には「SDGs」を含む「持続可能な開発のための2030アジェンダ」や「パリ協定」が次々と採択されました。世界的な時代の転換期に直面する中で、日本でも2050年までに温室効果ガス(CO2)の排出ゼロが宣言され、実現に向けた取り組みがすでに始まっています。

しかし、これらを実現するためには、国民一人ひとり、そして国内企業の一社一社が、意識や考え方、ライフスタイルを変えていく必要があります。そこで動き出したのが、「森里川海」プロジェクトのアンバサダーたちによる「啓発アクション検討会」です。

日本全体で“ライフスタイルシフト”を実現するために

「啓発アクション検討会」は、持続可能なライフスタイルへの変革を、国民一人ひとりが「ジブンゴト化」しやすい社会を目指し、日本全体にそのムーブメントを起こすようなアクションプランを考えようとスタートしたもの。

各分野で活躍する多彩なアンバサダーが「ライフスタイル」「食と農・生物多様性」「住環境」「エンタメ・ファッション」という4つのグループに分かれ、2021年8月から全6回にわたり話し合いを重ねてきました。参加したアンバサダーメンバーは下記の通りです。

<参加アンバサダー>(※チームごとに五十音順)

● ライフスタイル
大葉 ナナコさん、岸紅子さん、佐々木依里さん、四角大輔さん

● 食と農・生物多様性
SHIORIさん、清水弘美さん、中島早貴さん、
室谷真由美さん、Yaeさん

● 住環境
奥村奈津美さん、高橋万里恵さん、TAROUTさん、
富永美樹さん、長沢裕さん、藤田承紀さん

● ファッション・アート&エンタメ
池田綾子さん、小原壮太郞さん、GAKU-MCさん、鎌田安里紗さん、
Shenさん、NOMAさん、二木あいさん、マリエさん、
MINMIさん、由利華さん

プレゼン発表会の場には環境省職員の方も数名参加し、各チームのプレゼンに聞き入っていました。ここからは、プレゼンと同時進行でまとめられたグラフィックレコーディングのイラストとともに、各チームが提案したプロジェクトの内容をご紹介します。

プレゼン発表会参加者

プレゼン発表会参加者

当日参加したアンバサダーのみなさん。

1. ライフスタイル

トップバッターを務めた「ライフスタイル」チームが掲げたのは「5S Lab FOR SUSTAINABILITY」というテーマ。

チームメンバーの4人を中心にアンバサダーが講師となり、オンラインセミナーやトークライブ、交流会などを開催し、日常の中でできるアクションを参加者へ提案するというものです。

テーマの中にある「5S」とは「SLOW」「SMALL」「SIMPLE」「SELF LOVE」「SMILE」のことで、この「5S」を学び、実践し、つながるラボ(=研究所)をつくることで、速さや効率に追われてきた現代のライフスタイルを見直し、そのゴールとして「大量消費、大量生産、大量廃棄からの脱却」を目指すことを掲げました。

中でも印象的なのは「5S」の中に「SELF LOVE」が入っていること。これは、社会や環境を優先するあまり、自分自身の心や他者への愛を置き去りにしないように、という意味を込めています。そして、「SELF LOVE」までの4つの「S」の実践が、世界の「SMILE」につながっていく。わかりやすい5つの英単語で構成された「5S」の考え方は、これからの行動や選択の基準として、多くの人に広まっていく大きな力を秘めているように感じられました。

グラフィックレコーディング_ライフスタイル

グラフィックレコーディング_ライフスタイル

2. 食と農・生物多様性

続いて、「未来の子どもたちが幸せに健やかに生きられる社会」を目指す「食と農・生物多様性」チームは、「みんなで農と里山体験、そして地球にやさしいごはん」と題したプロジェクトを提案。その具体的な取り組みはふたつあります。

ひとつ目は、Yaeさんが暮らす里山「鴨川自然王国」(千葉県鴨川市)を舞台にした、農業体験。かつて、日本人が当たり前に営んでいた持続可能な暮らし方を体験し、里山でいきいきと育った野菜や山菜を食べることで、人間も自然の一部であることを実感してもらおうというもの。そしてこの体験を通じて、今の時代に合った新しい持続可能な暮らし方を考えてもらうことを目指します。

そしてふたつ目は、公立小学校で初めてヴィーガン給食を取り入れた東京都八王子市立浅川小学校校長・清水弘美さんの経験を活かし、公立学校でのプラントベース給食を提案し、その魅力を伝えていくというもの。プラントベース食品を学校給食に取り入れることで、脱炭素推進につながるとともに、食の多様性を知り、肉や魚以外の選択肢があることを知ってほしいという思いが込められました。

どちらの活動も、みんなで食べるおいしいごはんを通じて、自分と自然のつながりを見直す体験です。プレゼン後には、現在の食品ロスに対する問題意識の高まりもあり、「より多くの人に共感してもらえるのでは」という期待の声も寄せられました。

グラフィックレコーディング_食と農・生物多様性

グラフィックレコーディング_食と農・生物多様性

3. 住環境

続く「住環境」チームが提案したのは「心のふるさとづくり応援プロジェクト」。豊かな自然が残る地域と縁を持つことで、森里川海のつながりを守るライフスタイルを意識してもらおうと考えました。

そこで、メンバーが具体的に提案したのは、旅を通じてその土地の人とつながる「暮らす旅」。その土地の食材や木を使い、地元の方と一緒に食事をしたり、サウナを楽しんだり、焚き火でコミュニケーションをとったり、あるいは地域の森の手入れ体験や防災、SDGsを学ぶ旅のアイデアも出されました。

メンバーが考案した多様な旅は、どれも地域と楽しく繋がれそうなものばかり。地方との関わりが多いという環境省の方からも「ぜひ実現に向けて、積極的に関わっていきたい」という声も寄せられました。

そして、この「暮らす旅」を通じてメンバーが目指すのは、「“ふるさと”は自分でつくってもいいんだね」という価値観を世の中に広めること。ふるさとのように大切に思える場所があれば、その地域を守るために意識や行動が変わっていく。実際に、生まれ育った場所以外にもホッと落ち着ける“心のふるさと”を持つメンバーならではの提案となりました。

グラフィックレコーディング_住環境

グラフィックレコーディング_住環境

4. ファッション・アート&エンタメ

そしてトリを飾った「ファッション・アート&エンタメ」チームは、コロナ禍によって多くのコンサートやフェスが延期や中止を余儀なくされ、大量のグッズが廃棄されてしまったことに着目。「みんなで共創する多様なサステナブルフェス&グッズ」と題し、アーティストやフェスグッズのサステナブル化を提案しました。

具体的には、MINMIさん主催の野外フェス「FREEDOM淡路島2022」において、サステナブルな素材や、地域の資源・伝統技術によって作られたもの、リデザイン・リメイク・アップサイクルによって製作したものなど、これまでにない新たなグッズを企画、開発し、販売すること。さらに、そのグッズも無駄な生産をなくすため、受注販売の方法をとるアイデアも出されました。

「FREEDOM淡路島2022」をきっかけに、他のアーティストやフェスグッズにもこうしたサステナブルな商品や取り組みが広まっていくよう、その価値と魅力を伝え、横展開していきたいという目標を掲げています。

さらにフェスの中では、自然とのつながりを感じられる呼吸や瞑想のワークショップを行ったり、来場者と一緒にフェスの曲を作り合唱するなど、フェスへの参加を通じて、来場者一人ひとりの行動や意識が自然と“サステナブル”に近づいていくような新しいフェスの姿を目指します。

音楽やアートを通じて、五感を使い、楽しみながら“サステナブル”を理解できる取り組みに、「心で納得して行動に移すことが大事だからこそ、とても期待しています」と環境省の方も大きな期待を寄せていました。

グラフィックレコーディング_ファッション・アート&エンタメ

グラフィックレコーディング_ファッション・アート&エンタメ

来年度の実施に向けて

以上で、全チームの企画が出揃いました。どのチームも、自然とのつながりや“サステナブル”について楽しく学べる企画ばかり。みなさんは参加してみたいプロジェクトはありましたか? 

今回、4つのチームが提案したアクションプランは、来年度の実施に向けて動き出しています。実施については「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクトの公式ホームページでもお知らせしますので、ぜひ今後の活動にもご注目ください!

取材・文:Miho Aizaki

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