富山県魚津市にある「中央通り商店街」の空き店舗を活用して店を開き、“地域の文脈”を大切にしながら活動を重ねてきた大野慎太郎さん。地域との関わり方や考え方の参考になる5冊をご紹介します。
ある老舗菓子舗が商品化し、富山県黒部市生地地域で古くから食べられていた「水だんご」というお菓子があります。米粉を使ったもちもちとした食感の団子にきな粉をかけて食べる「水だんご」ですが、2012年にその菓子舗が閉店することになりました。子どもの頃から慣れ親しんだ食文化を途絶えさせたくないという思いから製法を引き継ぎ、同年に『大野商店』として富山県魚津市の「中央通り商店街」の空き店舗を活用し、水だんご専門店『藤吉』を開店しました。併せて僕自身もまちづくりプロジェクトに参加するなど、地域の発信する活動も積極的に行っています。
(左から)1.『GIVE&TAKE─「与える人」こそ成功する時代』/2.『経営とデザインの幸せな関係』/3.横浜防火帯建築を読み解く─現代に語りかける未完の都市建築/4.はじめての指揮法─初心者のためのバトンテクニック入門/5.稼ぐまちが地方を変える─誰も言わなかった10の鉄則
大野慎太郎さんが選ぶ、ローカルプロジェクトのアイデア本5冊
商店街においてプロジェクトを進めるには、お客さま、お店やまちを考えながらビジネスをすることが必要です。けれども現実は店の運営に追われている人が多いのではないでしょうか。そこでおすすめしたいのが『GIVE&TAKE─「与える人」こそ成功する時代』。人間には、人に惜しみなく与える「ギバー」、真っ先に自分の利益を優先させる「テイカー」、損得のバランスを考える「マッチャー」という3つのタイプがいると説いていて、自分自身がどのタイプなのかを客観的に見つめるきっかけになりました。自分と向き合っている時間が長い人ほど、相手の立場になって考えられる深い客観性をもっていると思います。そのことが人と関わり、プロジェクトを進めるうえで役立ちました。著書の公式サイトには自分がどのタイプかが分かるクイズも載っています。
ローカルプロジェクトには、ビジネスの側面やコミュニティづくりなど、複数の要素があると思います。私自身がビジネスとコミュニティの間で、どうバランスを取るのか悩んでいた時期に出合ったのが『経営とデザインの幸せな関係』です。奈良県発の『中川政七商店』の13代目であり代表取締役会長の中川淳さんが会社のメソッドを公開しています。
何かに特化しブランド力をつけ、事業としていかに成り立たせるか、とても参考になりました。使命感で「水だんご」の販売を引き継ぎ、その後軌道にのってきた頃に読み、「やってきた方向性は間違っていなかった」と思えたのです。商店街やお店特有の商品をつくっている人、つくろうとしている人におすすめです。「とりあえずつくろう」ではなく、お客さまや地域のみんながハッピーになるように考えて商品づくりをすることを教えられ、自分のプロジェクトを磨くことができました。
ローカルプロジェクトには、ビジネスの側面やコミュニティづくりなど、複数の要素があると思います。私自身がビジネスとコミュニティの間で、どうバランスを取るのか悩んでいた時期に出合ったのが『経営とデザインの幸せな関係』です。奈良県発の『中川政七商店』の13代目であり代表取締役会長の中川淳さんが会社のメソッドを公開しています。
何かに特化しブランド力をつけ、事業としていかに成り立たせるか、とても参考になりました。使命感で「水だんご」の販売を引き継ぎ、その後軌道にのってきた頃に読み、「やってきた方向性は間違っていなかった」と思えたのです。商店街やお店特有の商品をつくっている人、つくろうとしている人におすすめです。「とりあえずつくろう」ではなく、お客さまや地域のみんながハッピーになるように考えて商品づくりをすることを教えられ、自分のプロジェクトを磨くことができました。
おおの・しんたろう●富山県魚津市出身。大学卒業後、京都府で楽器販売に携わった後、魚津市へUターンし家業の食品問屋を継ぐ。別事業で富山のソウルフード「水だんご」を継承し、専門店を経営。地域を発信する活動を商売と絡めながら積極的に行う。
記事は雑誌ソトコト2022年3月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。