1952年に創業、1959年の株式会社設立以来、衛生・環境・健康の向上を事業の柱とし、「ヤシノミ洗剤」などの製品で知られるサラヤ株式会社。今回、サラヤ株式会社と東京サラヤ株式会社が第13回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の経済産業大臣賞を受賞しました。ここでは同賞の授賞式の模様をお届けします。
「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞とは?
2008年に出版された『日本でいちばん大切にしたい会社』の著者で経済学者、『人を大切にする経営学会』会長の坂本光司氏と、氏の出身校である法政大学のほか、出版社などが共同で実行委員会を立ち上げ、賞はこれまでに13年の歴史があります。
この賞に選ばれるためには、過去5年にわたって人員整理(リストラ)をしていない、重大な労働災害を発生させていない、一方的なコストダウンなどの理不尽な取引を強要していない、障がい者の採用率が法定雇用率以上であるといった、厳しい審査基準を満たさなくてはなりません。この日も、表彰式に参加した企業の代表者や同省の審査委員からは「もっとも受賞が難しい賞ではないか」といった声が聞かれました。
『サラヤ』の生物多様性保全活動や衛生環境改善活動が評価され、経済産業大臣賞受賞へ。
●マレーシア・ボルネオ島での生物多様性保全活動
『サラヤ』の主力商品の一つである「ヤシノミ洗剤」。石油洗剤による水質汚染が問題視されていた1971年に発売され、以来、人と環境に優しい洗剤として愛され続けています。
しかし、1990年ごろから世界的な食用需要の増加などにより、「ヤシノミ洗剤」の植物原料のひとつでもあるパーム油の需要が増大。それにともなって主要原産国であるマレーシアのボルネオ島では熱帯雨林を伐採してのプランテーションが広がり、野生動物が絶滅の危機に瀕しているなどといった環境問題や社会問題へと発展していきました。
その事実を知った『サラヤ』はすぐに現地へ訪問。実際にはパーム油の85パーセントは食用に用いられていて、非食用の中でもヤシノミ洗剤の影響はごくわずかであることが判明しましたが、「少しでもパーム油を使っているならこの問題に向き合うべきだ」と行動を開始します。ボルネオ島の環境を保全するべく、農園によって失われた熱帯雨林だった土地を買い戻し、分断されてしまった森を再びつなげる“緑の回廊”プロジェクトや、同様に分断された森をつり橋でつなげることで、ボルネオの固有種であるオランウータンの生態を守る活動を2004年から続けています。
●アフリカ・ウガンダでの衛生環境改善活動
日本ではじめて薬用手洗い石けん液を事業化し、日本の衛生環境の向上をけん引し続けてきた『サラヤ』。2010年より開発途上国に目を向けて始めたのが「100万人の手洗いプロジェクト」です。
予防可能な病気により、1日に約16,000人もの子どもの命が失われている状況を改善するべく、対象となる衛生商品の売り上げの1パーセントを寄付し、ユニセフの手洗い促進運動に協力しています。石けんを使って正しく手洗いをすることで、100万人の子どもたちの命が守られると言われています(参考:世界子供白書2016)。
これらの国内にとどまらない環境保全・社会貢献活動を展開していることに加え、これまでも続けてきた、「人と環境に優しい製品づくり」、同様に「人に優しい事業経営」をしている点が複合的に評価され、今回の経済産業大臣賞の受賞につながりました。
従業員一人ひとりのWell-Beingの実現へ。『サラヤ』代表取締役社長・更家悠介氏のメッセージ
世界の「衛生・環境・健康」の向上に貢献することを使命とするサラヤグループでは、互いに連動し合うこれら3つのテーマで、商品・サービスなどの事業展開に取り組んでいます。同時に、従業員やその家族の「衛生・環境・健康」も会社の健全な成長を支える大切な基盤であると考えています。
国内外に多くの拠点を構える当グループでは、社員一人ひとりが、それぞれのルーツや個性を多様性として尊重し、「共に助け合いながら成長していくこと」、「健やかに安心して暮らせること」、「今より健やかな心身を目指せること」を目指し、従業員一人ひとりのWell-Beingの実現が自社の成長を推進する力になり、我々が関わらせていただく世界の人々の「衛生・環境・健康」に貢献すると信じ、今後も従業員一同団結し、邁進していく所存でございます。
「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞は、「人に優しい」取り組みを推進している企業・団体を表彰するものですが、世界規模で社会貢献活動に努め、多くの地域と人の「衛生・環境・健康」の向上を目指し続けている『サラヤ』は、まさに“あらゆる人に優しい”企業だと感じられました。