町の特産物を擬人化する試みは、いまやめずらしくない。でも、そのキャラクターが漫才師として町をPRするのは日本初かも? ローカル×エンタメの最前線が北海道・下川町にあります。
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たのしく、おもしろく、心地のよい未来をつくる。
「そんな気持ちで立派なトマトなれるか? 甘すぎんねん」「マジで! 良かった!」「糖度が高いゆう意味ちゃうねん」。『しもかわ観光協会』のTwitterで更新されている4コマ漫画、「トマト漫才師 下川はるかエイト」をご存知だろうか。真っ赤にれる(売れる)ことを夢見る「はるか」と「エイト」が、下川町やフルーツトマトの情報をさりげなく織り交ぜた漫才を披露し、話題を呼んでいる。
下川町は北海道の北部に位置する人口3300人ほどの町。エンターテインメントの力で地域の魅力を発信していくため、2018年に『吉本興業』とSDGs推進における包括連携協定を締結した。町民みんなで「オリジナル吉本新喜劇」をつくり上げる「しもかわ森喜劇」や、下川町を舞台にした品川ヒロシ監督の映画『リスタート』など、吉本らしい方法で下川町のプロモーションを進めている。
「下川はるかエイト」はその第3弾となる企画。下川町は日本でもっとも寒暖差が激しい地域で、年較差(1年間に観測された最高温度と最低温度の差)はなんと60度以上。朝晩の気温差が20度前後開くことも珍しくない。こうした厳しい環境に育まれるのが、豊かな甘みと旨みを持つフルーツトマトだ。そのなかでも糖度8以上のものを「はるかエイト」という商品名で販売している。下川町の特産品として都市部の百貨店などで販売されているが、コロナ禍で市場価格の下落が危惧されたため、新たな販路を模索することに。ECサイトでの販売に向けて知名度を高めようと本プロジェクトが始動した。「フルーツトマトを擬人化しておもしろ漫才にすることで、多くの人に見てもらえるのではと考えました」と吉本興業の担当者・宮本さん。農家へのヒアリングや栽培マニュアルをもとにネタを考え、マンガに落とし込んでいったという。
そんな「下川はるかエイト」だが、町内ではどう受け止められているのだろうか。『下川町役場』農務課の倉澤晋平さんは、「北海道にはお笑いの文化がないので新鮮でした。4コマ漫画を通してフルーツトマトや生産者・生産地にも愛着を持ってもらい、SDGsの目標である『持続可能な地域農業の実現』『食品ロスの減少』につなげていけたら」と期待を込める。フルーツトマト農家の吉田公司さんは「『はるかエイト』は子どもにも人気で、一度味を覚えてしまうとほかのトマトを食べなくなってしまうほど。多世代に知ってもらえるきっかけになればいいなと思います」と、同じく農家の蒲原聡さんは「普段僕らの生活にお笑いの要素はないので、一体どうなるのかとワクワクしていました。これを見て興味を持ってくれた人がいたら、ぜひ一度食べてみてほしいです」と話す。
漫画は旬の時季に合わせた9月末まで更新予定。まだまだ青い「はるか」と「エイト」だが、茎から“すべる”ことなく、熟れっ子トマトになれるのだろうか。どんなオチが待っているのか、楽しみに見届けたい。
最新の4コマ漫画は、『しもかわ観光協会』のTwitterをcheck!
photographs by Shimokawa Haruka Eight Project text by Emiko Hida
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photographs by Shimokawa Haruka Eight Project text by Emiko Hida
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企画:北海道・下川町×吉本興業
作:遠藤 敬
漫画:新星エビマヨネーズ
監修:石田 明(NON STYLE)
「下川はるかエイト」公式ホームページ:https://www.town.shimokawa.hokkaido.jp/fruit_tomato/
作:遠藤 敬
漫画:新星エビマヨネーズ
監修:石田 明(NON STYLE)
「下川はるかエイト」公式ホームページ:https://www.town.shimokawa.hokkaido.jp/fruit_tomato/
記事は雑誌ソトコト2021年9月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。