「DAOとシェアハウスにはどんな可能性があるの?」「DAOを活用したシェアハウス運営とは、具体的にどのようなものなの?」と、そんな疑問や興味をお持ちではありませんか? 本記事では、DAOとシェアハウスの仕組み、具体事例として「Roopt神楽坂」の運営方法とその成果、入居者の声まで解説していきます。最後までお読みいただくことで「DAO×シェアハウス」についての知識を、深めることができるでしょう。
この連載企画は、国と地域を問わずローカルでの活動にWeb3.0の技術や思想を活用している事例を紹介するメディア『ローカルWeb3』からのコンテンツ提供でお届けしています。当記事は『ローカルWeb3.0』にて、2023年11月29日に公開されたものを再編したものです。
DAOシェアハウスとは?
DAOシェアハウスは、入居者やその他の出資者が共同で運営に関与する仕組みになっています。自律的な運営スタイルであるDAOシェアハウスは、コミュニティの強化と運営の透明性を高めるメリットもあります。
ここでは、DAOシェアハウスの仕組みと特徴、メリットに関して解説します。
DAOシェアハウスの仕組み
DAOシェアハウスは、分散型自律組織(DAO)の原則に基づいて運営されています。これはブロックチェーン技術を活用し、入居者や投資者が運営の意思決定に直接参加することを可能にする仕組みです。入居者はただの住人ではなく、物件の管理者としての一種の決定権を持つことができるのです。
例えば「敷地内にコンポストの導入を行うか」という議題が上がった際に、DAOシェアハウスではメンバー間で話し合った上で多数決で決定します。
このような取り組みは、一般的なシェアハウスの住人であれば全く関与することができないことです。
DAOシェアハウスのメリット
DAOシェアハウス最大のメリットは、コミュニティ主導の運営です。入居者が運営に参加することで、共有スペースの利用方法やイベントの企画など、住環境に直接影響を与える決定を行えます。トークノミクスを通じて、入居者は物件の価値向上に貢献することで報酬を得ることも可能です。これは、一般的な賃貸住宅にはないインセンティブモデルです。
Roopt神楽坂 DAOの成功事例
「Roopt神楽坂 DAO」は、学生起業家たちが自らの理想を形にする場として、共同で物件を運営するプラットフォームとして運営されています。成功の背景には、入居者の積極的な参加と、運営の透明性があります。ここでは「Roopt神楽坂 DAO」の運営方法とトークノミクス、支援企業の役割について掘り下げていきましょう。
Roopt神楽坂 DAOの具体的な運営方法とトークノミクス
「Roopt神楽坂 DAO」は、新しいタイプのシェアハウスで、住居者がNFTを持っていることで、シェアハウスの運営に関わることができます。
NFTを持っている人たちは、シェアハウスのルールやお金の使い道など、大切な決定への投票権を持ちます。日本の法律では、DAOとして法人格を持つことができません。実際に外部との契約やお金のやり取りは、巻組というシェアハウス運営会社が行います。
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株式会社ガイアックスと巻組の役割と協力体制
「Roopt神楽坂 DAO」は、株式会社ガイアックスと巻組(シェアハウス運営会社)がサポートを行っています。
ガイアックスはブロックチェーン技術の提供を通じて、DAOシェアハウスの基盤を支えています。一方、巻組は物件の提供と運営ノウハウを提供し、プロジェクトの実現を後押しする役割を担っている訳です。
両社の協力体制により技術と実運営の融合を可能にし、「Roopt神楽坂 DAO」が目指すコミュニティ主導のシェアハウスモデルを実現しています。この協力関係は、他のDAOシェアハウスプロジェクトにとっても参考になるモデルと言えるでしょう。
入居者の声とコミュニティの形成
ここでは、共同で物件を運営することによって生まれる他では味わえない経験と、入居者同士が築く緊密なコミュニティにスポットライトを当ててみましょう。
20代学生を中心とした入居者層とその背景
「Roopt神楽坂 DAO」には、主に20代の学生起業家たちが集まっています。集まる20代の学生たちは自らのアイデアを実現し、同じ志を持つ仲間と切磋琢磨する環境を求めています。
入居者同士の交流と協業の事例
メンバーの多くがDAOやNFT、web3などに興味があるITリテラシーの高い学生であるため、協業して事業を起こす事例も出てきました。例えば、実際に自分たちでシェアハウスビジネスに取り組むなどの動きもあり、第二・第三のDAOシェアハウス設立を目指す学生もいます。
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DAOシェアハウスが提供するユニークなコミュニティ体験
従来のシェアハウスとは異なり、自分たちの手で運営にも関われるのが「Roopt神楽坂 DAO」の大きな特徴です。
「Roopt神楽坂 DAO」のNFT購入後に選べる権利
(出典:Roopt神楽坂 DAO 公式サイト)
- 対象となるシェアハウスの入居権利:1ヶ月間の賃貸住居
- ワーケーション権利(Roopt全物件対象):7泊8日の宿泊滞在
- Roopt神楽坂母屋のコワーキングルームの利用権利
「Roopt神楽坂 DAO」が掲げているターゲット層は、以下の通りです。
- 起業家として誰かと刺激を与え合いたい人
- 学生起業家と出会いたい人
- 学生起業家をサポートしたい人
- DAO運営に関わってみたい人
- DAO×シェアハウスの展開が気になる人
全国展開への展望と今後の可能性
「Roopt神楽坂 DAO」の成功モデルが全国に広がることで、私たちの住まい方に新たな可能性が生まれるかもしれません。ここでは、その展望と可能性について考えてみたいと思います。
Roopt神楽坂 DAOの成功を受けた全国展開の計画
Rooptでは「Roopt神楽坂 DAO」意外にも、9つのシェアハウスを全国で運営されています。(※2023年11月時点)
- Roopt石巻駅前 -Oli-
- Roopt奥松島
- Roopt塩竈海岸通
- Roopt石巻中央 -COMICHI-
- Roopt石巻日和が丘 201号室
- Roopt石巻日和が丘 101号室
- Roopt墨田京島 -サボテンの家-
- Roopt石巻日和が丘
- Roopt東松島新東名
「Roopt神楽坂 DAO」が提供しているNFT(Roopt NFT Kagurazaka)を保有している人であれば、特典を活用してどこでも7泊8日の無料滞在が可能です。今後も地方を中心にシェアハウスの拠点は増えていくようなので、他拠点生活を行いたい方にはとてもおすすめです。
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DAOシェアハウスのビジネスモデルとしての可能性
DAOシェアハウスのビジネスモデルの可能性は、大きいといえるでしょう。なぜなら、住居者が自分たちの住む場所にもっと関心を持ち、もっと良くしようとするからです。それに住居者が運営に参加することで、コミュニティが強くなり、人々が助け合ったり、新しいアイデアを出し合ったりする文化が育ちます。
住居者はシェアハウス内でのサービスや商品をトークンで交換することができ、お金を使わずに必要なものを手に入れることも将来的には実現されるかも知れません。DAOシェアハウスはただの住まいの場を提供するだけでなく、住居者が積極的に参加し、コミュニティを形成し、新しい価値を生み出す場としての可能性を秘めています。
空き家問題への新たな解決策としての期待
国土交通省の調べによると日本では、2013年の段階で既に全国で約820万戸の空き家物件が存在しています。空き家の数は年々地方を中心に増えてきており、場所によっては無料で売りに出されている物件も珍しくありません。
DAOシェアハウスは、空き家問題に対する新しい解決策の一つとして期待されています。DAOシェアハウスは、住む人たちが自分たちで家の管理や運営をするシステムです。
このシステムを使えば、空き家をただの住まいではなく、住む人たちが協力していろいろな活動をする場所に変えることができます。例えば、共同でアトリエを作ったり、カフェを運営したり、地域のイベントを開催したりすることが可能です。地域に新しいエネルギーが生まれたり、人々が集まる場所ができたりすることでしょう。家が使われることで、街の景観も良くなり、地域全体の活性化に繋がるはずです。
つまり、DAOシェアハウスは空き家をただ埋めるだけでなく、新しいコミュニティの形成や地域活性化にも貢献するかもしれない、とても期待されるアイデアなのです。