「もうすぐ生理が始まるな」という頃になると、下腹部がじんわり痛くなったり、身体がだるくなったり、朝起きるのが辛かったり……。あるいは、友達や同僚の何気ない一言にいつもよりイライラしたり、悲しくなったり。月経前のこんな症状に悩まされている女性は少なくないのではないでしょうか?
このような症状はPMS(月経前症候群)と呼ばれ、月経前の数日間だけつづく精神的あるいは身体的な症状のことをいいます。生殖に適した年齢(18~45歳)の女性特有の症状で、月経の開始とともに自然におさまるのが特徴です。原因ははっきりとは分かっていませんが、女性ホルモンの変動が影響しているのではないかと考えられています。
PMSの症状緩和に効果が期待できる食材とは?
「人知れずPMSの辛い症状に悩む女性も少なくないと思うのですが、そもそもなぜ月経前の数日間に腹痛や腰痛、頭痛など、身体にさまざまな痛みが出るのか、そのメカニズムをご存じでしょうか? 実は女性の身体では、この時期になると『プロスタグランジン』というホルモンの分泌が急激に増加し、それがさまざまな痛みを引き起こす一因になっていると考えられているのです」
と話してくれたのは、管理栄養士で公認スポーツ栄養士の高須希代さん。そこで今回は、PMSの症状のひとつ、さまざまな部位に現れる痛みを穏やかにするための食事に関して、高須さんにお話を伺いました。
ホルモンの過剰分泌が痛みの一因に
PMSのさまざまな症状は、こういった大切なホルモンがきちんと身体のなかで作用をしている証でもあります。ただ、それらがあまりに過剰になってしまうと、さまざまな苦痛を生み出してしまうのです」
––––では、そもそもなぜホルモンの過剰分泌が起こるのでしょう?
「一番の原因は身体の冷えですね。筋肉はそもそも冷えると弾力性を失い、収縮性が弱くなります。冷蔵庫から出してすぐの肉の塊は、冷たく固いですよね? でもしばらく常温でもどすと、柔らかく伸びがよくなるのをイメージしてもらえばよいかと思います。
人間の筋肉も同じこと。冷えてしなやかさを失った筋肉は弾力性が弱くなるため、子宮の収縮を促すための『プロスタグランジン』が必要以上に多く輩出され、筋肉の収縮も通常よりも強く起こってしまうのです。それが月経前の腹痛や腰痛の一因です。
また、『プロスタグランジン』は末梢組織の痛みを強める作用もあると言われているため、頭痛の原因になってしまうことも。さらには、胃や腸の筋肉の収縮が激しくなることで、月経前の時期に胃もたれや吐き気などの症状を感じる人もいます」
身体を温める食材を意識してみよう
「ホルモンの過剰分泌を抑えるために、柔らかでしなやかな筋肉を保つことを心がけてみてください。そのためには、身体を冷やさないことが大切です。PMSの症状のなかでも特に、腹痛や腰痛、頭痛などの痛みを伴う症状が現れる人や、胃もたれや吐き気、食欲不振の症状がある人は、日ごろから身体をあたためる食材を摂取することを意識してみましょう。
おすすめの食材は、タマネギや長ネギ、ニンニクなどネギ系の野菜です。また、生姜やシナモン、カモミール、ローズマリーなどのハーブティも積極的に摂取してほしいですね。これらはすべて体を内側から温める手助けをしてくれる食材です。
また、これらの食材は身体を温めるだけでなく、香りによる沈静効果も。香りは人間の脳にダイレクトに影響を及ぼすので、リラックス効果も大きいと言われています。脳がリラックスすることで、痛みが穏やかになることも期待できます」
––––逆にPMSの辛い症状が現れる時期にあまり口にしないほうがよいものはありますか?
「カフェインはなるべく控えたほうがいいですね。カフェインの過剰摂取は、PMSの症状悪化を招くとも言われています。コーヒーや紅茶が大好きで1日に何度も飲む習慣のある人は、辛い症状が現れる時期だけでも、せめてそれらの代わりに温かいハーブティを飲むように心がけてみてください。ノンカフェインの紅茶に生姜やシナモンと少しのハチミツを加えて飲むのもおすすめですよ」
http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=13
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●管理栄養士、公認スポーツ栄養士 。東京都内の心療内科クリニックで15年間にわたり食事カウンセリングを行う。5000通り以上の食事記録をもとにアスリートへの食事指導も。現在はフリーランスの栄養士として、スポーツ栄養サポート、各種学校での指導、講演、レシピ開発等などに携わる。