2025年12月17日、一般社団法人日本関係人口協会によるウェビナー『オン・ザ・ロード 2 スーパーウェルビーイング出版記念ウェビナー』が開催されました。登壇したのは、ソトコト編集長であり同協会理事の指出一正と、アートディレクターの在原祥夫。前作から約1年、「関係人口」のその先にある「ウェルビーイング」をテーマにした新刊の制作秘話や、AI時代にあえて「ローデータ(ありのままのデータ)」を採用したことについてトークが繰り広げられました。
テーマは「二拠点」から「ウェルビーイング」へ。文体は“ジャズ”のように。
指出氏の新刊『オン・ザ・ロード 2 スーパーウェルビーイング出版記念ウェビナー』。白い表紙で「二拠点居住」をテーマにした前作に対し、今作は鮮やかな「青」が特徴です。指出は、今回の執筆スタイルを「ジャズ」と表現しました。
「1970〜80年代から2025年までの時間軸が、時々ホップして交差するような書き方をしています。過去と未来と現在がクロスすることで、読者の気持ちが良い意味で『揺らぐ』。そんな感覚を楽しんでほしいです」(指出)
また、文体にもこだわりが。「話しているように書く」ことを意識し、あえて改行を多くしたり、重要な結論をループさせて重ねたりするなど、読み手がリズムよく没入できる工夫が凝らされています。
iPhoneで撮った「ローデータ」こそが、2025年のリアル。
デザインを担当したアートディレクターの在原とともに語られたのは、ビジュアルへの徹底したこだわりです。表紙の深い青色は、指出がイメージする「夏の真ん中」の色であり、ジャパンブルー(藍色)にも通じる落ち着きのある色味が採用されました。そして、写真は「すべてiPhone(スマホ)で撮ったもの」という事実。
「一眼レフで構えて撮るのではなく、見たままの風景を記録する。加工して美しくするのではなく、目の前の光景をそのまま『ローデータ』として残すことが、今の時代一番伝わるんじゃないかと思いました」(指出)
実家徒歩20秒の「町中華」も登場!
その「ローデータ」の象徴として紹介されたのが、帯にも採用されているラーメンの写真。実はこれ、群馬県高崎市にある指出の実家から徒歩20秒の町中華「久坂」のラーメンなのです。「子供の頃から食べてきた味。取材をほとんど受けないお店ですが、特別に出前してもらいました」と笑う指出。在原も「この透き通ったスープの感じが一番良かった」と太鼓判を押す一枚です。
会議中の「裏紙の落書き」が採用? “町工場”スタイルの本づくり。
制作プロセスは、まさに「町工場(まちこうば)」。大手出版社のような分業制ではなく、指出と在原が膝を突き合わせ、その場でアイデアを形にしていくスタイルが採られました。
イラストは、指出が気合を入れて高級な筆ペンで描いたものは不採用に。代わりに採用されたのは、会議中にコピー用紙の裏紙にボールペン(フリクション0.5)で描いた「タナゴ」のラフスケッチでした。
「スケッチブックに描いたものより、裏紙にサッと描いたものの方が力が抜けていて良いんですよね」(在原)
「一番ミニマルで、情熱的なチーム編成で作りました。この熱量こそが、地域の魅力を伝えるヒントになるはず」(指出)
編集とは「集めて編む」こと。地域と本の幸福な関係。
ウェビナー後半、視聴者からの「編集とは何か?」という質問に対し、指出はこう答えました。
「編集とは『集めて編む』こと。膨大な地域の魅力の中から、誰に何を届けたいかを明確にし、隣に寄り添って形にする仕事です」(指出)
日本関係人口協会が版元となることで、行政や地域のNPOが持つ熱い想いを、プロの編集力で一冊の本にする。指出は、この本を一つのショーケースとして、今後多くの地域の「本づくり」を支援していきたいと話しました。
1月19日、渋谷でぜひお会いしましょう!
2026年1月19日(月)、渋谷キューズにて出版記念のリアルイベント&サイン会が開催されます! ゲストにはシェアリングエコノミー協会の石山アンジュ氏も登場予定です。

地域のスナックやお酒を持ち寄って、ワイワイお話ししましょう! 皆様のご参加、お待ちしています!












