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ソトコトペンクラブ

学校の中に会社がある話・中編

佐藤恒平

佐藤恒平

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僕の会社まよひが企画は、山形県朝日町の公立中学校の空き教室をオフィスとして借りています。普段の仕事(デザインや地域振興コンサルティング)の他に、生徒に自習室としてのフリー開放や、先生の相談なども受けているこの場所は「スキマクラス2.5組」と呼ばれています

前回の記事ではスキマクラス2.5組の生まれるきっかけとなった「コミュニティ・スクール」についてと、全国でも珍しい公立中学校内に民間企業のオフィスを移設するまでの経緯を記しました。今回はその続編で、このスキマクラスにある仕掛け家具のデザイン解説していきます。

目次

空き教室リノベーションのポイント

2021年の9月、朝日町の教育委員会より空き教室の利用許可が出ると、さっそく貸してもらえる部屋の考えはじめました。この場所でやることは大きく2つあり、通常のデザインや相談受付といった通常業務、放課後に生徒が自習室として自由に使うためのフリー開放です。

通常業務は打ち合わせができるデスクが1台あればいいのですが、フリー開放で中学生たちが自由に使いたくなる場にするには、ただ広いスペースを用意するだけでは足りません。

入りやすくなる(入ってみたくなる)空間づくり

が、まずは求められます。そこでまず手掛けたのは、入口扉の改装からでした。

大窓が決め手の入口扉改装

改装前のスキマクラス2.5組(当時のパソコン室)の入口扉がこちらです。

すりガラスに重い引き戸でした。

この教室の中に入ってもらために、最初の障壁となるのは「何をやっているかわからない不安」です。なので、室内が見渡せるように扉いっぱいの大きな窓と、手をかけやすい大きな取手がついた扉を自作しました。

扉を自作しているところ。角材とベニヤ板で比較的軽い扉を作成しました。作っている最中も、周りでは中学校の授業が行われています。

中を見渡しやすい大きな扉窓は、ガラスではなくアクリル板になっています(こちらも軽量で扱いやすいのが理由)。見通しの良さと軽量化が扉づくりでは重要視したポイントです。

模様替え簡単、室内を仕切る回転本棚

次に室内の改装ですが、改装前の教室はこんな感じでした。※元パソコン室なので、コンセントは各所にあります。

机は片付けたものの、ただ広い空間では生徒たちが気軽に入ってこれる雰囲気ではなく、さらには小さな仲良しグループ単位で集まることもし難いです。そこで新設したのが、部屋を4分割に区切るパーテーションの役割を果たす本棚です。

あえてパーテーションで区切らなかったのは、本棚のようなちょっとだけ向こう側も見えるような家具の方が、分けながらも、隣の存在やにぎわいがうっすら伝わる状態を作りたかったからです。

さらにこの本棚は、中央の柱を軸に回転します。これは部屋の模様替えを簡単にすることができようにと拵えた仕組みで、月に一回、45度くらい回転させることで、いろんな場所に、生徒の溜まり場を作っていくという意図が込められています。

入口から見通せる雰囲気はこんな感じです。入口横のデジタル掲示板は、スマートフォンで操作可能なデジタルフォトフレームを使用。これによって、今日の解放予定や、今どんな仕事をしているかなど、廊下を歩く中学生にも見えるようにしています。

扉で中を見やすく、覗いた室内は居場所になりそうな雰囲気の家具がある。これがスキマクラス2.5組のオープン前に用意した2つの仕掛け家具です。ここに買ってきたソファーやテーブル、椅子などを配置し、興味をひきそうな書籍やボードゲームを配置して、2021年11月にプレオープンしました。

こんな感じで、一緒に遊びたいグループがいくつか室内で別れて楽しめるようにする空間づくりが、スキマクラスのリノベーションのポイントとなります。

また、これらの家具の造作は1人で行いました。ホームセンターで売っていた材料とカットサービスを利用して、あとは電動ドリルで組み立てていく感じで、大きな回転本棚も1個ずつなら1人で作っていくこともできます。

こだわりの仕掛け家具を手作りで仕上げたスキマクラス2.5組。次回は完結編として、この場所から新しく生まれた学校の授業の様子などを紹介します。

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