【ソトコト×ヤモリの空き家エコノミー連載】日本の各地域を再生して、地域を活性化。関係人口を推進していくプロジェクトが「ソトコト×ヤモリの空き家エコノミー」。毎回ゲストを迎えてソトコトと一緒に対談。
日本の築古戸建ての再生賃貸事業を手掛ける株式会社ヤモリ代表の藤澤正太郎さんが毎回、ソトコトと一緒にゲストを招いて、日本の各地域の空き家から推進する地域活性化、関係人口作りの対談。
第3回目(前編)。第3回目は前、中、後編に渡り、函館市ロケを敢行。今回、前編では、函館市で空き家再生会社をヤモリと立ち上げた「はこだて西部まちづくRe-Design」代表の北山さんと対談。函館市の行政×民間で取り組む、空き家問題解決の最前線について迫ります。

各地域での深刻な空き家問題と、函館市の空き家率増加問題
藤澤 日本全国で社会問題となっている空き家ですが、2023年には900万戸を超えました。特に、築年数の古い空き家は売買や賃貸が難しく、需要の少ない地方都市では、この問題がより深刻化しています。
北山 私がまちづくりに取り組んできた北海道函館市も例外ではありません。2023年時点で函館市内の空き家は2万8210戸に上り、空き家率は19.3%。北海道の主要都市の中でも特に高い水準です。

函館の空き家問題に挑むには、地域に根ざした合弁会社が必要!
北山 私が代表を務めるまちづくり会社の「はこだて西部まちづくRe-Design(以下、HWeR)」は、函館市と地元企業が出資。2021年に設立された第三セクターです。これまで居住と観光が融合した街を目指してまちづくりを行ってきました。しかし、空き家という既存ストックの活用について、函館市は取り組みの優先度を下げていたという背景がありました。
藤澤 こういった背景から、函館市西部地区に根差してまちづくりをしてきた「HWeR」代表の北山さんと共同で会社を設立しました。それが「函館空き家再生賃貸株式会社(以下、函館空き家再生会社)」という合弁会社です。我々が目指すのは、「解体ができない」「大幅な修繕が必要」といった理由を解決すること。そして、市場に流通しにくい空き家を地域の資産として再生、長期運用していくことで、函館市を活性化していくこと。

お互いの知見を生かして、手つかずだった函館の空き家再生を推進
藤澤 ヤモリは空き家再生を手掛けるスタートアップ企業で、日本全国で空き家の再生、賃貸事業を展開してきました。2000名を超える不動産投資家の活動を支援。その投資家の物件購入総額は合計130億円以上です。自社でも130軒以上の空き家を取得、運用して、手つかずの空き家に新たな命を吹き込んできました。しかし、地方での物件情報収集や地域団体との連携には高いハードルがあり、課題でした。
北山 このような背景があり、お互いの強みを活かして、函館で空き家再生で地域活性化の座組みを作れると考えました。そこで、藤澤さん代表のヤモリさんと私が代表の「HWeR」で、函館の空き家再生専門の合弁会社(函館空き家再生会社)をつくろうと!
藤澤 これまでの北山さん代表の「HWeR」の函館市西部地区で培ってきた地域マネジメントの知見を、もっと広げていければと思います。さらに函館の不動産、リフォーム会社の地域ネットワークも加え…さらにさらに、ヤモリが全国で蓄積してきた空き家再生に関するデータと知見も融合。ヤモリでは空き家再生や不動産投資家の支援を通して、情報をたくさん持っています。そんなお互いの強みを融合させて、合弁会社「函館空き家再生会社」で、手つかずだった函館の空き家を再生を推進していきます。(次回、中編に続く)

中編
賃貸物件として再生!さらに函館の地元FM出演! 空き家再生で気づいたこと【空き家エコノミー⑧】
後編
函館の空き家再生に必要なのは、レバレッジを効かせたアセットファイナンスと、地域の人たちの地域愛と思い【空き家エコノミー⑨】
【北山拓プロフィール】
株式会社はこだて西部まちづくRe-Design(HWeR)代表取締役。一橋大学卒。新卒で三菱商事株式会社に入社後、2016年に地域経済活性化支援機構へ転職。長野県白馬村に常駐し、スキー場ベースタウンの活性化に取り組むなど、観光まちづくりを通じ地域活性化プロジェクトを推進。2023年8月、函館市西部地区の再整備を担う会社を設立し、代表取締役に就任。地域と連携したまちづくりに日々挑む。
【藤澤正太郎プロフィール】
株式会社ヤモリ代表取締役。2011年に慶應義塾大を卒業後、三菱商事株式会社に入社。インフラ事業の海外案件とアセットマネジメントに従事。南米チリに4年間駐在。その後、NY本社の不動産ユニコーン企業であるKnotel IncのJapan GMを務める。2018年に株式会社ヤモリを創業し、日本の中古戸建て市場の活性化を通じた地方創生を目指す。