「この事件の報道、なんだか偏っている気がする……」日々流れるニュースを見て、そう思ったことはありませんか? そんなあなたに、今、見てほしいドキュメンタリー映画があります。冤罪事件の代名詞とも言われる「揺さぶられっ子症候群」の事件を追った『揺さぶられる正義』。弁護士から記者に転身した監督が、8年もの歳月をかけて描いた、この国の司法とメディアのあり方に真正面から向き合った渾身の一作です。
フィクションではたどりつけない境地!『揺さぶられる正義』が劇場公開。
弁護士から記者に転身した上田大輔監督が、長年の調査報道の末に作り上げたドキュメンタリー映画『揺さぶられる正義』が、9月20日(土)より東京の「ポレポレ東中野」や大阪の「第七藝術劇場」ほか全国で順次公開されます。本作は、2010年代に多くの冤罪事件を生んだ「揺さぶられっ子症候群(Shaken Baby Syndrome、通称SBS)」を追った作品。虐待をなくす正義と、冤罪をなくす正義のぶつかり合いを描く中で、実名報道やメディアスクラムといった、メディア自身の暴力性にも向き合っています。

日々流れるニュースのその先を、私たちは知らない。
2010年代、赤ちゃんを揺さぶって虐待したと疑われ、親などが逮捕・起訴される事件が相次ぎ、マスコミにより報じられてきました。SBSは子ども虐待対応のための厚労省のマニュアルや診断ガイドにも掲載され、幼き命を守るという強い使命感を持って診断にあたる医師たち。その一方で、刑事弁護人と法学研究者たちによる「SBS検証プロジェクト」が立ち上がりました。チームは無実を訴える被告と家族たちに寄り添い、事故や病気の可能性を徹底的に調べていきます。虐待をなくす正義と冤罪をなくす正義が激しく衝突し合い、やがて、無罪判決が続出する前代未聞の事態が巻き起こっていきます。

実名、顔を晒され、センセーショナルに報じられる刑事事件。逮捕報道に比べ、その後の裁判の扱いは小さいものです。無罪判決が出たとしても、一度貼られた“犯人”のレッテルはネット空間から消え去ることはなく、長期勾留によって奪われた時間も戻ってはきません。SBS事件の加害者とされた人や家族との対話を重ねた上田は、報じる側の暴力性を自覚しジレンマに苛まれながら、かれらの埋もれていた声を届け、司法とメディアのあり方を問う報道に挑みます。
刑事司法の現実に絶望し、記者になった監督の8年間の記録。
監督の上田大輔氏は、もともとテレビ局の社内弁護士という立場でした。しかし、有罪率99.8%の刑事司法の現実に絶望し、記者に転身。記者1年目からSBSの取材を始め、8年間もの歳月をかけてこの映画を完成させました。この映画は、記者として、弁護士として、そして一人の人間として悩み続けた、彼の8年間の記録です。

予告編
映画『揺さぶられる正義』の予告編はこちら。
劇場公開は9月20日(土)。ぜひあなたの目で、“ニュースのその先”を確かめてみてください。
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9月20日(土)より[東京]ポレポレ東中野、[大阪]第七藝術劇場、[京都]京都シネマ、[兵庫]元町映画館にて公開、ほか全国順次公開