「都会のど真ん中に、ミミズやカラスの居場所なんてあるの……?」そんな問いかけに、子どもたちが夢中で答えを出しています。12月25日、新宿を拠点とするサッカークラブ「クリアソン新宿」が、驚きのプロジェクトを発表しました。なんと、新宿の自然環境をテーマにした本格カードゲーム『マイアース新宿版』が誕生。遊びながらSDGsの本質に触れる、令和の「対話型教育」の最前線をレポートします。
サッカー選手が先生!?「遊び」を「学び」に変えるプロの技
今回、新宿区立柏木小学校の教壇に立ったのは、JFL所属のサッカークラブ「クリアソン新宿」の西山大輝選手たち。「柏木ライブ」と名付けられた起業型探究プロジェクトの一環として、3年生から6年生の児童たちが新感覚のカードゲームに挑戦しました。「地球温暖化チーム」と「生物多様性チーム」に分かれて対戦。単なるゲームではなく、新宿に生息する生き物や食物連鎖、そして人間の活動が環境に与える影響を、熱狂的なプレイの中で体感していきます。

ミミズも主役!「自分だけのカード」作りで爆発する創造力
授業の後半では、児童たちが自ら新宿の生き物を調べ、オリジナルカードを制作。ある子はミミズを、ある子はカラスを題材に選び、その生態的特徴から「攻撃力」や「連鎖の組み合わせ」を考え出しました。「世界で何が起きているかを知る機会はあっても、身近な自然に目を向ける機会は少ない」と語るのは、同校の菅野海都教諭。教科書では得られない、自分が住む街への「解像度」が劇的に上がる瞬間がそこにありました。

産・学・官・公が異色のタッグ!2026年春、いよいよ完成へ
このプロジェクトの凄さは、その協力体制にもあります。クリアソン新宿に加え、宝塚大学 東京メディア芸術学部(新宿区)、成女高等学校(新宿区)、NPO法人SoELa(神奈川県川崎市)、そして新宿区が連携。高校生が生物調査を行い、大学生がデザインを監修、プロアスリートが教育現場へ届ける。各分野のプロが本気で関わることで、ゲームの完成度は一過性のイベントレベルを超越しています。

新宿発、日本を変える「新しい環境学習」の形
『マイアース新宿版』は現在、トライアルを経て最終版の制作が進行中。2026年2月から3月にかけての完成を予定しています。「都会には何もない」と思い込んでいた子どもたちが、カード一枚を通して足元の自然の豊かさに気づく。この小さな気づきこそが、持続可能な未来を創るための、最も確かな第一歩になるはずです。


















