「えっ、エントランスでレタスが育ってる……?」そんな不思議な光景が、東京・墨田区の賃貸マンションで現実になろうとしています。東急不動産、千葉大学、そしてリノベる。という異色のタッグが仕掛けたのは、なんと共有スペースを「街中植物工場」に変えてしまうという大胆なプロジェクト。ただ住むだけじゃない、レタスを通じて隣人と繋がる“令和の長屋”とも言える新しい暮らしのカタチに迫ります。
「食」と「植」が縁を繋ぐ。共有スペース「GardEN」の正体
墨田区墨田三丁目にある築30年の賃貸レジデンス。 単なる内装のバリューアップではなく、地域交流の拠点として再生させる「共同研究」がスタートしました。

注目すべきは、千葉大学デザイン・リサーチ・インスティテュート(dri)が監修した共有スペース「GardEN(ガーデン)」。 ここは庭(Garden)と縁(EN)を掛け合わせた造語で、未活用だった集会室が、キッズスペースやワークコーナーを備えた可変型シェアスペースへと激変。 さらに、家具と一体化した水耕栽培ユニットが設置され、入居者や地域住民が日常的に植物と触れ合える環境が整いました。

6週に1度の「レタス会」!?収穫と試食がもたらす心のインフラ
「街中植物工場」では、レタスやハーブがすくすくと育ちます。 最大の見せ場は、6週間に1度開催される「レタス会」。

収穫したばかりのみずみずしいレタスをその場でサンドイッチなどにして味わうこのイベントは、孤食や近隣トラブルといった現代の社会課題に対する一つの回答です。 12月には「こども食堂」とのコラボイベントも実施され、多世代、さらには外国籍の家庭も含めた地域包摂の場として機能し始めています。 「一緒に植物を育てる」という共同作業が、災害時の助け合いにも繋がる強固なコミュニティを育んでいます。

「東京こどもすくすく住宅」最高ランク!子育て世帯に優しい仕掛け
専有部のデザインを担当したのは、リノベーションのプロ集団「リノベる。」。 子育てを快適にする広々とした玄関土間や、廃材をアップサイクルしたおもちゃなど、細部にまでSDGsの精神が宿っています。

こうしたハード・ソフト両面の取り組みが評価され、最高ランクの「アドバンストモデル」を取得。 1階にはコインランドリーも併設され、家事の負担を減らす「便利さ」と、植物と触れ合う「心のゆとり」が見事に両立されています。 2026年1月からは「こども食堂」も本格スタート。 墨田区の下町情緒と、最新のテクノロジーが融合した、都市型集合住宅の新たなスタンダードがここにあります。


















