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地域の課題を「参加したくなる体験」に。外の人の目線で企画を磨いた、いしかわ関係人口塾Day2レポート

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好きな地域はあるけれど、移住まではちょっとハードルが高い。地元を盛り上げたいけれど、外の人とどうつながればいいかわからない。
そんな想いを持つ人たちが集まる体験型講座「いしかわ関係人口塾」(主催:石川地域づくり協会 / 運営:日本関係人口協会、雨風太陽)のDay2(第2回目)が、2026年9月12日に開催されました。

Day1では「地域の目線」で、地域の困りごとや資源から外の人と一緒にできることを探しました。Day2はその視点をくるりと反転。「外の人から見たら、その企画はどう映る?」という関係人口の目線で、アイデアを具体的なプログラムへと磨き上げていきました。「村がまるごと学校だったら?」という白峰地区の挑戦や、能登の伝統漁法になぞらえた「人材の定置網モデル」など、移住しなくても地域と関われるヒントが詰まった一日をレポートします。

目次

めざすのは「実践」!Day2は「関係人口目線」へのスイッチ

「いしかわ関係人口塾」は、地域の取り組みに外の人が関わっていける「関わりしろ」をつくり、ポータルサイト「いしかわのWa!」などを活用して実際に動かしてみるプロジェクトです。会場には金沢をはじめ石川県内の各地から、さらに石川と日頃から関わっている県外の方も集まりました。

冒頭ではDay1の振り返りとして、講師のお二人からのメッセージも紹介されました。指出一正さんからは「課題を“お題”と言い換えて捉え直すと、面白く、たくさんの関わりしろが見えてくる」、上田昌子さんからは「まずは実践。どんなふうに大きくなっていくのか楽しみです」というエールが届いています。

Day1のレポートはこちら▼

講座ダイジェスト:外の人が「関わりたくなる」地域のつくり方

Day2の講師は、石川地域づくり協会の関係人口コーディネーターでもあるお二人。現場で地域と外の人をつなぎ続けてきた実践者ならではのお話が続きました。

1. 地域の課題を魅力ある取り組みに変える「見立て」の力

(講師:金沢工業大学 産学連携局 次長 / 石川地域づくり協会 関係人口コーディネーター 福田崇之 氏)

大学の研究・教育を企業や地域社会とつなぐ「産学連携」を担う福田さん。フィールドとしているのは、石川県で最も広い面積をもつ白山市の中山間地域です。

合併で村役場がなくなり、少子高齢化、スキー場の閉鎖、日帰り化する登山、高校がないため子育て世代が町へ出てしまう…と課題が重なっていた白峰地区。福田さんたちはまず、地元のおじいちゃん・おばあちゃん、学生、企業、そして東京のクリエイターやアーティストまで巻き込んで、閉校した中学校で「10年先の未来」を面白おかしく描くことから始めました。

そこで生まれたのが、「村がまるごと学校だったら?」というビジョン。課題を直接解決しようとするのではなく、地域が新しい機能を持つことで、都会の人にとって価値ある場所になろうという発想の転換です。

  • 空き家は「教室」、道路は「廊下」、商店の店主は「先生」:お寺を都会の小学校の授業の教室にしたり、地域全体をフィールドにした企業研修を行ったり。
  • 契約なしで、勝手に動き出す:「面白いことやってるね」と企業が自然に集まり、囲炉裏を囲んだ飲み会で次の一手が決まる。空き家のリノベーションも5件ほど進み、地元と企業の出資でまちづくり会社も生まれました。
  • ひとつの資源に、たくさんの「フック」を:長野県飯綱町の事例では、雪国なのに屋根が平らな古いペンションも、「新しいことに挑戦したい学生」「DIYが趣味の人」「汗をかくチームビルディングがしたい企業」から見れば“宝”や“教材”に。結果的にお祭りの神輿の担い手が生まれ、オフシーズンの宿泊も増えたそうです。

「“見立て”は茶の湯の世界にもある、日本人が得意なこと。ひとつのリソースを多義的な視点で見て、いろいろなフック(文脈)を出していく。そこに引き寄せられた人同士がまた新しい関係をつくり、生態系が生まれていくんです」と福田さん。うまくいかないこともあるけれど、続けることがいちばん大事、という言葉も印象的でした。

質疑では、手取川ジオパークや高山植物といった地域の宝について、「専門家や登山好きのものだと思われた時点で、宝は部分的なものになってしまう。違う立場の人と対話して、価値をみんなで見つけることが大事」という話も。大学との連携については、「お願い」ではなく企画段階から学生に入ってもらうこと、先生個人だけでなく組織として関わる窓口をつくることが長続きのコツだと語られました。

2. いきなり移住じゃない!「人材の定置網モデル」

(講師:株式会社御祓川 代表取締役 / 石川地域づくり協会 関係人口コーディネーター 森山奈美 氏)

七尾市で「小さな世界都市」の実現を目指すまちづくり会社・御祓川を率いる森山さん。長期実践型インターンシップ「能登留学」では、これまでに263名の学生を受け入れてきました。

講演は、会場への問いかけからスタート。「なぜこの塾に学びに来たんですか?」――聞いてみると、答えは人それぞれ。「同じ場にいても、何を求めて来たのかは聞かないと分からない。“あなたはなぜここに来たの?”を知ること、そして自分のことも知ってもらい、一緒に何かすること。これが関係をつくる基本です」。

  • 人材の定置網モデル:能登の伝統漁法・定置網は、魚が自由に出入りできる「運動場」を持つ持続可能な漁法。人材も同じで、いきなり移住を求めるのではなく、インターン、ふるさと兼業(副業)、研修、クラウドファンディングなど、出入り自由な関わり方をたくさん用意する。そこから自然と移住する人、さらに自ら事業を起こして地域をイノベートする人が育っていきます。実はこのモデル、能登留学に来た外部人材が提案したものなのだそう。
  • 一人ひとりに人生とストーリーがある:研修で来て「この後も関わりたい」とコーディネーターの名刺をもらい、二拠点生活を経て移住した人。出向中に商店街イベント「うますぎ一本杉」を立ち上げた人…。外部人材の背景に関心を持ち、聞いてみることが何より大切です。
  • 「関係人口」ではなく「名前で呼び合える関係者」へ:「関係人口」と呼ばれたい人はいないのでは?と森山さん。さらに、住んでいても地域に関わっていない人も多い。関わる人を増やすことは、外から呼ぶことだけではないという指摘にはハッとさせられました。
  • 平時のつながりが最大の防災に:能登半島地震のあと、七尾・一本杉通りでいち早く復興マルシェを開けたのは、商店街の事情をよく知る外部人材や元インターン生がすぐに動いてくれたから。お祭りが盛んで、毎年担ぎ手として帰ってくる人がいた集落では、共助が機能していたという話もありました。

また、地域づくりが陥りがちな「公平性の罠」「前年踏襲の罠」「多数決の罠」、そして“分かっている人たちだけで固まって、新しく関わろうとする人を排除してしまう”罠についても紹介。トラブルが起きたとき「誰のせい?」と犯人探しをする「批判者」ではなく、「ここから何を学べるだろう?」と問いを立てる「学習者」になれるかどうか。地域は組織ではなく、関係性が絡み合う生態系(エコシステム)だからこそ、人・情報・お金が循環し、信頼が積み重なる“土”を育てることが大切だと語られました。

質疑では、御祓川のコーディネーターから、インターン生の日報で進捗だけでなく「気持ち」まで受け止めていることや、受け入れ側が“おもてなししすぎない”ことの大切さも共有されました。

ワークショップ:外の人の「やりたい!」から企画を磨く

後半はテーブルごとのワークショップ。まずは「いしかわのWa!」への掲載も見据えた企画シートに、Day1で考えたアイデアを具体的なプログラムとして書き込みます。

続くメインのワークでは、関係人口の「ニーズ(何をしたいのか)」と「ペルソナ(どんな人なのか)」を分けて考えました。「自然の中でリフレッシュしたい」「誰かの役に立つ実感がほしい」――そんなニーズに、自分のプログラムはちゃんと刺さっている? グループのメンバーがお互いに“外の人”になりきって意見を出し合いました。

最後はグループ内で「自分が参加したいプログラム」に投票し、選ばれた企画を全体で発表しました。

  • 「まいもん収穫とごはん」(穴水町)

春は山菜、夏はサザエ、秋はキノコ、冬は牡蠣――能登の四季の恵みを自ら収穫し、地元の人に教わりながら調理して味わう体験。ターゲットは、子育てやローン返済がひと段落し、孫にとっておきの体験をさせたい50〜60代。「じいちゃん、すごい!」と言われる時間を届けます。

  • 「森の素材を使った思い出づくりワークショップ」

森で素材を拾い集め、自由におしゃべりしながらものづくり。都市に住む若者や学生が、思い出づくりや遊びの感覚で一日楽しめる場を提案しました。

  • 「湯涌カルチャークラブ コーチ 〜中学生のアフタースクールの担い手になろう〜」(金沢市湯涌)

生徒数25名ほどの小規模校で、部活動の地域移行を見据え、放課後の学びをオンラインで支えるコーチを募集。教育学部の学生や習い事スクールの運営者、地元出身者などがコーチとなり、夏休みには湯涌で3日間のリアル合宿も。地元のごはんと温泉でコーチ自身も癒やされて帰る、温かなギブ&テイクです。

  • 「キリコ祭りの力を○○の発展に」

珠洲市春日地区のキリコ祭りをまるごとパッケージにして、大学の学園祭や企業イベントへ“出張”するプログラム。太鼓演奏やキリコの運行・体験、交流を通じて能登の今と祭り文化を伝えます。

地域の困りごとから出発したアイデアが、「外の人が参加したくなる関わりしろ」へと形を変えていく――そんな手応えを感じる発表が続きました。

講師講評:関係のつくり方は無限大

福田さんは「こんなに多くの方が一生懸命考えている姿に、勉強会で終わるのはもったいないと感じました。もっとつながっていきたいです」とコメント。

森山さんは「外から来てもらって困りごとに参加してもらう形ばかりをイメージしていましたが、オンラインで関係をつくってからリアルに来る、お祭りが外へ出張する――関係のつくり方は本当に無限大だと、私自身も勉強になりました」と締めくくりました。

次回(Day3)に向けて

次回(Day3:10月3日開催)のテーマは「参加しやすく、続けたくなる仕組みづくり」。参加前のコミュニケーションや、参加後も関わり続けてもらうための関係づくりについて考えます。

その後、最終回(2027年2月27日)までの期間は、参加者のみなさんが実際にプログラムをトライアルしてみる期間。石川の各地からどんな新しい「関係」が動き出すのか、どうぞお楽しみに!

【いしかわ関係人口塾】

■ポータルサイト:いしかわのWa!
■主催:石川地域づくり協会
■運営:一般社団法人日本関係人口協会、株式会社雨風太陽

※本記事は、一般社団法人日本関係人口協会のWebサイトに掲載された記事を転載しています。
https://kankeijinko.jp/2026/09/29/ishikawa_d2/

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