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四国の軽井沢?日本のスイス?上浮穴郡久万高原町ってなんて読む?

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「四国の軽井沢」「日本のスイス」どうやら愛媛県にはこんな呼称を持つ場所があるらしい。イメージされるのは避暑地や大草原…その名は上浮穴郡久万高原町。なるほど確かに町の名前に「高原」が入っているが、初見では読めない(笑)正解は「かみうけなぐんくまこうげんちょう」だ。平成の合併では多くの町村、そしてそれを束ねる郡が消滅したが、現存307の郡のうちのひとつ上浮穴郡の、これまた現存743町のひとつ、久万高原町である。柑橘栽培や穏やかな瀬戸内海のイメージから温暖な印象のある愛媛だが、軽井沢やスイスに例えられる町とはどんな場所なのだろう。詳しく話を聞いた。

目次

2004年に誕生した久万高原町は大自然が広がる町

我が国では平成10年代に推進された「平成の合併」を経て多くの町村、そして町村が属していた郡が消滅し、一方新たな市町村が誕生した。

今回の主役、久万高原町もその一つ。

2004年に上浮穴郡の久万町、面河村、美川村、柳谷村が合併してできた町だ。

愛媛県で一番大きな面積を持つ町のほとんどは森林と高原で、平均標高は800m。

県庁所在地・松山市内から車で50分で行ける避暑地・行楽地、「四国の軽井沢」として昔から人気のあった地域だった。

近年はインバウンドも多く、特に日本三大カルストの一つで高知県との県境に位置する「四国カルスト」には若者人気も集中している。

四国カルスト
「日本のスイス」こと四国カルスト (C)ソラヤマいしづち

青空の下、カルスト台地で放牧された牛がゆったりと過ごす絶景を久万高原町役場は「日本のスイス」と胸を張る。

久万高原町移住・定住サイト 高原生活(四国カルスト紹介ページ)
https://www.kumakogen.jp/site/iju/5811.html

また西日本最高峰・石鎚山(1982m)のお膝元としても登山愛好家には知られている。

西日本最高峰・石鎚山 (C)ソラヤマいしづち
西日本最高峰・石鎚山 頂上からの眺め (C)ソラヤマいしづち

石鎚山を背景に伸びる四国山地の尾根を走る「UFOライン」は絶景を味わえるドライブコースで、最近車のCMのロケ地にもなったとあって、四国カルストとセットで訪れる観光客も多い。

UFOラインこと瓶ヶ森林道 (C)ソラヤマいしづち
UFOラインこと瓶ヶ森林道 (C)ソラヤマいしづち

ちなみに町内にある四国最大の渓谷である「面河渓(おもごけい)」は旅行業関係者の試験にも出る難読地名とか。

面河渓(おもごけい) (C)ソラヤマいしづち
面河渓(おもごけい) (C)ソラヤマいしづち

今回久万高原町を含むいしづちエリア(※)石鎚山周辺の観光サービスを手がける株式会社ソラヤマいしづち(愛媛県西条市)の松本勝さんと寺田真理子さんに話を聞いた。

(※いしづちエリアとは、西日本最高峰 石鎚山を中心とした石鎚山系を有する愛媛県西条市・久万高原町、高知県いの町・大川村を指します。)

四国の別世界・久万高原町

株式会社ソラヤマいしづち 営業部 松本勝さん(以下、松本さん)「久万高原は一言で言うと四国の中でも特に別世界。町全体が自然を生かしたネイチャーテーマパークですね。外国人にも刺さるコンテンツを提供できます。とにかく非日常を味わえますよ」

観光業に長く携わる松本さん。久万高原町には国民宿舎に勤めながら10年間を過ごした。

いしづちエリアのひとつ「久万高原町」 (C)ソラヤマいしづち
いしづちエリアのひとつ「久万高原町」はここにある (C)ソラヤマいしづち

松本さん「松山から観光に来る人が多いんですけど『気温が5度くらい低いと思って服装を準備して』とお願いしてましたね。冬場などは天気予報も島根の情報を参考にするときもありました。冬は路面が凍ったり積雪があるのでスタッドレスタイヤが無いと生活できませんでした」

平均標高800mはやはり伊達じゃ無い。山の天気は変わりやすいと言うが、より標高の高い四国カルストのある旧柳谷(やなだに)村エリアはまた特別だそう。

松本さん「古岩屋(ふるいわや)あたりで雨が全然降っていなくても柳谷では総雨量1000mmの雨が降っていることもありましたね。山や田んぼ、畑などを持っている人が多いので地域によっては一家に一台草刈機やチェーンソーがある珍しい町だと思います(笑)」

愛媛県内トップの林野面積を誇り、林業が盛んな久万高原町らしいエピソードだ。一方農業はどうか。

同社 企画管理部 寺田真理子さん(以下、寺田さん)「久万高原は愛媛で唯一みかんが採れない代わりに、高原の気候を活かしたリンゴの栽培が盛んです」

愛媛=みかんのイメージはここでは通用しないが、リンゴの他寒冷な気候を生かしてブランド米やトマト、ピーマンなどが栽培されている。

また人工の灯りが少なく天体観測に最適で、星を明るくきれいに観ることができる、日本でも有数な場所だ。

松本さん「流れ星の流れ方がビューっと”長い”ですからね。あれなら願い事も叶うんじゃないかな(笑)市街地で見るモノとはサイズがあまりにも違う。大きく見える星座も圧巻です(笑)」

寺田さん「個人の方が毎年植え続けた花桃が600本近くになっているスポットもあって、咲き誇る姿はまさしく桃源郷のようです」

久万高原町の自然の魅力について余すことなく書くにはとても枚挙にいとまがない。

久万高原イチオシの体験プログラム

現在久万高原町の観光協会では、定番の四国カルストでのハイキングやサイクリングだけではなく、キャンプはもちろん、満点の星空の元でのバーのオープンや、川床で清流をイメージしたサイダーを飲むなど工夫をこらした体験プログラムが目白押しだ。

女性や若者をメインターゲットにしたサイトも見やすく便利なので是非覗いてみて欲しい。

GOGO久万高原
https://gogokumakogen.jp

コロナ禍以前から、キャンプや星空観察などで四国カルストを訪れる観光客は増加傾向にあったが、昨年来、さらに需要が高まったのが、密を避けて楽しめるアウトドアサービスだ。

久万高原町の美しい自然が、人々を惹きつけている。

松本さん「自然を安全に楽しんでいただくためには、自然との共生が必要です。いしづちエリアの観光は、自然を愛する数多くのみなさんに支えられています。古岩屋での「名勝古岩屋を守り育てる会」の活動は、今年 10 年目を迎えました。『またここで遊びたい』 と思っていただけるような環境づくりを目指し続けています。

弊社では今年の夏“ザ・子供の夏休み”を一泊二日で丸々体験できるメニューを用意しました。
ぜひ、家族や仲間たちと楽しんでいただきたいプランです」

ソラヤマいしづちが提案する、夏休みの感動体験「久万高原満喫プラン」。詳しくは同社が運営するいしづちエリアに特化した観光情報サイト「ISHIZUCHI JOURNEY」をチェックして欲しい。

ISHIZUCHI JOURNEY(いしづちジャーニー)
https://ishizuchijourney.com

色んな意味の「別世界」

さて先述の寺田さんの言葉に「桃源郷」とあった。桃源郷とは俗界を離れた別世界、理想郷などの意味を持つが、喧騒を忘れ非日常を満喫できるという意味では、まさに久万高原町にふさわしい呼び名のひとつでは無いだろうか。

あるいは久万高原町は「四国の軽井沢」「日本のスイス」が表す自然環境に囲まれた現在進行形のネイチャーテーマパークである。と同時に、数々の体験プログラムでかつて自身の自然との触れ合いを子供ら家族とまた再び楽しめる、言わば過去にタイムスリップできる場所でもあるのではないだろうか。

著者は取材を終えてそのような感想を持った。

愛媛県久万高原町。松本さんの冒頭の言葉通り、そこは四国の「別世界」のようだ。

何が自分の住む世界と「別」なのか。人ぞれぞれの意味があるだろう。折を見て確かめに訪れたい。

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