横浜国立大学の藤原徹平(建築家)・平倉圭(芸術学研究者)が
ゲストアーティストに三宅唱(映画監督)と柴崎友香(小説家)ほかを迎え、
オンラインプログラム第二期を開始。4/22(木)よりメンバー募集開始。
横浜国立大学は、都市空間に創造的に応答していく視点を持ったアートマネジメント人材育成プログラム、「都市と芸術の応答体2021」(略称:RAU2021)を、2021年5月にスタートします。文化庁による令和3年度「大学における文化芸術推進事業」の採択を受け運営する本事業は、2年目を迎えます。
1年目は都市と芸術の関係を根底から問い直すために、「土木と詩」というテーマを掲げ、さまざまな対話と作品の制作を行いました。本年は、「身体と場所」ということをテーマに加え、都市と芸術を考えていく上で、我々自身の身体性、身体と場所との関係を捉えなおしていきます。
藤原徹平・平倉圭 両氏よりごあいさつ
2020年からスタートした『都市と芸術の応答体』の試みを、2021年も継続していきます。
私たちの生きる都市は、少子高齢化、人口減少、多国籍化、都心への一極集中、産業構造の転換、大災害、パンデミックなど、その様相は21世紀に入り変化しつづけています。社会を拘束する文脈が大きく強く速くなりつづけていて、都市とは何なのかをとらえることすら簡単ではありません。
そのような都市に生まれる芸術とはどのようなものでしょうか。私たちはここで芸術を、美術館や劇場のなかにあるものだけではなく、人を触発する形を制作する技術とその技術の産物として広く捉えてみたいと思います。都市に応答する芸術を考え、実践することを通じて、都市そのものを深く理解し、芸術を為す感覚で都市そのものを創造していくような地点にたどり着きたいと考えています。そのために私たちは『都市と芸術の応答体』という場を立ち上げました。
この場では、私たちに気づきを与えてくれるゲストアーティストたちとの深い対話を軸に、都市と芸術に関わる新しい論点を探っていきます。集団的なリサーチを行うかもしれませんし、実験的なアートプロジェクトをつくることになるかもしれません。
昨年度は「土木と詩」というコンセプトを議論の中から生み出し、都市を映像で捉えていく理論と方法を構築していきました。「都市」や「芸術」の捉え方を創造的に拡張していくために、昨年度に引き続き多様な専門性のバックグラウンドの方の参加を期待します。
また、オンラインという状況を活かし、世界の多様な場所から参加ができる場としたいと考えています。互いの対話から、言葉を鍛え、眼を鍛え、さまざまな芸術の制作実験をしていく、集団的試行の場をみなで育てあげていきたいと思います。
概要
下記4つのプログラムを通じて、都市と芸術のより深い関係を試行していくメンバーを、年齢や経験や活動拠
点や所属を問わず幅広く募集します。
プログラム1|連続セミナー(オンライン)
ゲスト:多様なゲスト講師
連続セミナーでは、本事業の各活動を深めるための視座と技術を持った複数のゲスト講師を招きます。年間
で全10回を予定し、オンラインで開催致します。連続セミナーでは毎回、ディレクターによるテーマの掘り下
げと参加者全員による議論を行うことで、多分野の知見を統合していきます。
プログラム2|フィールド・ワークショップ1「私はどこにいるのか」(オンサイトMTGあり)
ゲスト講師:三宅唱
前年度に引き続き映画監督・三宅唱氏の指導のもと、まず「土木と詩」というテーマの振り返りを行います。
その上で、「身体と場所」という本年度に加えられたキーワードについて、三宅氏とディレクターとの対話か
ら思考を掘り下げていきます。並行して、映像制作のワークショップを行い、映像を撮る、映像を撮るまな
ざしで都市を観るということの実践を通して、新たな身体感覚や都市への新しい理解を獲得していきます。
最終的には参加者全員が、「身体と場所」に関わる映像作品を制作します。
プログラム3|フィールド・ワークショップ2「土地と身振り」(オンサイトMTGあり)
ゲスト講師:柴崎友香 三宅唱
フィールド・ワークショップ2では、ゲスト講師に小説家の柴崎友香氏を招き、「土地と身振り」をテーマに、都市の物
語を観察し、何かの形に記述することを試みます。テキストや詩、写真や映像、ドローイング等さまざまなメディアを用
いた記述の実験を行うことで、都市と芸術に関わる新しい表現の在り方を模索します。プログラム②に引き続き三宅唱
氏にも参加してもらい、アドバイスをもらうことで映像表現の新しい展開も探っていきます。
プログラム4|「新しい芸術祭」を考えるワークショップ・メンタリング(オンライン)
メンター :武田侑子(パフォーミングアーツマネージャー)
「土地に根ざした芸術は現代の都市においてどのように可能なのか」
都市の歴史的文脈が希薄化していく状況下において、どのような地域独自の芸術祭が可能なのか? その問いに具体的な形を与えるためにプログラム④では、新しい芸術祭の在り方についてさまざまなアイデアを構想していきます。本プログラムには、国内外の芸術祭のマネジメントを経験してきた武田侑子氏を迎え、来年度以降の展開をつくっていきます。
スケジュール
※ 5/12から、プログラム終了時まで隔週水曜日の19:00 – 21:00が活動日です。
下記スケジュールの詳細や、変更がある場合は、公式HPおよびSNSアカウントにて随時告知致します。
4/22(木)参加者募集開始 5/5(水)募集締切 5/8(土)選抜結果連絡 5/12(水)開講
【対象者】
- 文化芸術・文化行政・まちづくりの分野で活動する方
- 社会や都市への意識を持つアーティスト、クリエイター
- 実践を通してアートマネジメントを学びたい方
- 分野を超えて芸術を考えたい学生、研究者、社会人
- 隔週水曜日開催のオンラインミーティングに参加ができる方
【受講方法】
zoomやmiroを利用したオンライン配信 ※状況によってはオンサイトでのWSも検討
【参加費】
無料
【定員】
30名程度(人数が多い場合は、選抜を実施する可能性があります)
【募集期間】
4/22(木)から 5/5(水)23:59まで
【申込方法】
下記の項目を申込フォームへ記入してお送りください。
https://forms.gle/fnxzMN13TPLARbQc8
- 氏名・年齢・職業・性別
- 活動がわかるウェブページなどのリンク(任意)
- 「身体と場所」についてあなたが考えていることを教えてください。
- 集団的に物を考えること・作ることについてどんな興味がありますか?
- 最近かっこいいと思っているモノやコトの画像3点
- 参加可能な頻度や日程(通年で参加可能、〇月頃は参加できない、等)
ディレクター 略歴
藤原徹平 FUJIWARA Teppei 建築家
1975年横浜生まれ。横浜国立大学大学院Y-GSA准教授。フジワラテッペイアー
キテクツラボ主宰。一般社団法人ドリフターズインターナショナル理事。
横浜国立大学大学院修士課程修了。建築や都市のデザイン、芸術と都市の関係
を研究・実践している。主な作品に「クルックフィールズ」、「那須塩原市まち
なか交流センター」、「京都市立芸術大学移転設計」、「ヨコハマトリエンナーレ
2017会場デザイン」、「リボーンアートフェイスティバル2017会場デザイン」など。
受賞に横浜文化賞 文化・芸術奨励賞 日本建築学会作品選集新人賞など。
平倉圭 HIRAKURA Kei 芸術学研究者(近現代美術、パフォーマンス、映画)
1977年生まれ。横浜国立大学大学院Y-GSC准教授。
国際基督教大学卒。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(学際情報
学)。芸術の制作プロセスにはたらく物体化された思考を研究している。最近はダ
ンス研究を少しずつ。著書に『かたちは思考する―芸術制作の分析』(東京大学出版会、
2019年)、『ゴダール的方法』(インスクリプト、第二回表象文化論学会賞受賞)、『オーバー・ザ・
シネマ 映画「超」討議』(共著、フィルムアート社)ほか。
ゲストアーティスト 略歴
三宅唱 MIYAKE Sho 映画監督
1984年北海道生まれ。一橋大学社会学部卒業、映画美学校フィクションコース
初等科修了。主な長編映画に『ワイルドツアー』(2018)、『きみの鳥はうたえる』(18)
など。最新作はNetflixオリジナルドラマ『呪怨:呪いの家』(20)。他に鈴木了二
との共同監督作『物質試行58:A RETURN OF BRUNO TAUT 2016』(16)
やビデオインスタレーション作品として「ワールドツアー」(18/ 山口情報芸術センター[YCAM]
との共作)、「July 32,Sapporo Park」(19/ 札幌文化芸術交流センターSCARTSとの共作)
などを発表している。
柴崎友香 SHIBASAKI Tomoka
1973年大阪府生まれ。小説家。2000年に刊行されたデビュー作『きょうのでき
ごと』が行定勲監督により映画化され話題となる。2007年『その街の今は』で
芸術選奨文部科学大臣新人賞、織田作之助賞大賞、咲くやこの花賞、2010年
『寝ても覚めても』で野間文芸新人賞、2014年に『春の庭』で芥川賞を受賞。
小説作品に『ビリジアン』『パノララ』『わたしがいなかった街で』『週末カミング』
『千の扉』『公園へ行かないか? 火曜日に』、エッセイに『よう知らんけど日記』『よ
そ見津々』など著書多数。