思わず手に取ってしまう、レトロで可愛いパッケージ。キリンのイラストが描かれた「キリマルラーメン」といえば、愛知県西三河地方では知らない人はいないほど有名な、ご当地即席麺だ。地元のスーパーを訪れると、売り場にずらりと並ぶ光景がよく見られる。全国には見た目も味わいも個性的な麺グルメが存在するが、その真逆を行くのがキリマルラーメン。パッケージはカラフルでありながら、麺やスープはいたってシンプルだ。強烈なインパクトがあるわけでもない。とことん素朴。でも、なぜだか、また食べたくなる…。
そんな西三河のソウルフードが、実は公式オンラインショップでも入手できる!というわけで、自宅にお取り寄せしてみることに。
キリマルラーメンを製造・販売しているのは、愛知県碧南市にある小笠原製粉株式会社。明治40年の創業以来、長年にわたって製粉と製麺に取り組んできた老舗企業だ。
碧南市は、海(三河湾)・河川(矢作川)・湖沼(油ヶ淵)に囲まれたまち。温暖な気候と風土に恵まれ、昔から農業や漁業が盛んなことで知られる。人参や玉ねぎなどの露地野菜のほか、麺の原料となる小麦・大豆・米も多く栽培されているという。
小笠原製粉がキリマルラーメンを発売したのは、昭和40年のこと。平成10年に一時生産を中止したものの、地元ファンの熱い要望によって復活した。商品名は「キリマルラーメン」と変更されたが、印象的なパッケージデザインは変わらずそのままだ。
ただ、復活後にひとつ変わった点がある。それは、原材料の産地だ。小笠原製粉の代表・小笠原充勇さんに詳細を聞いた。
「復活を助けてくれた地元の方々に恩返しをしたい!と、麺の原材料の大半に地元産の農作物を使用することに。小麦はもちろんのこと、地元農家が育てた大豆や米を活かそうと、麺に豆乳・米粉を配合するようになったのです」
豆乳と米粉を用いたことで、まろやかな風味ともっちりとした食感がプラス。さらに優しい味わいに生まれ変わった。気がつけば、碧南市のみならず西三河全域で愛される名物商品となったのだ。
今回取り寄せたのは、キリマルラーメン定番のしょうゆ味。麺を茹で、スープを加え、お好みのトッピングを盛り付けて…と調理方法は一般的な即席麺と変わらない。
小笠原さんによると「しょうゆ味には、シンプルに卵・ねぎ・チャーシュー・メンマなどのトッピングがおすすめです。ごま油を数滴垂らすと風味が増し、よりおいしく召し上がっていただけます」とのこと。
あっさりとしたスープともちもちの麺をすすれば、しょうゆの香りがほのかに鼻に抜ける。初めて食べたとしても、どこからか懐かしさが込み上げるような一杯だ。そして、コク深さを加えるごま油の“ちょい足し”は、絶対正義な味変である。
今回は味玉をのせたが、生卵を落として麺に絡めながら食べるのも間違いないおいしさだろう。冷蔵庫にある余り物の野菜を添えるなど、トッピングの工夫次第でバリエーションが広がりそうだ。
「ラーメンとして食べるだけでなく、焼きそばにしたり、鍋のシメに入れたり、おでんの残り汁で煮たり…思い思いの調理方法で楽しんでみてください」と小笠原さん。
小笠原製粉の商品には、キリマルラーメン(しょうゆ・みそ・しお味)のほかにも、カレイラーメン(カレー味)、イルカラーメン(塩とんこつ味)といった、多彩な味のラインナップが揃う。トムニャムラーメン(トムヤムクン風味)などの変わり種も人気だ。カラフルなパッケージを眺めていると、思わずまとめて“パケ買い”したくなってしまいそう。
ちなみに、キリマルラーメン1食タイプ(しょうゆ・みそ・しお味)は化学調味料・着色料・保存料不使用。子どもや年配の方にも安心だ。
キリンのキャラクターやパッケージデザインが好評なことから、グッズ展開も豊富。どんぶりとれんげのセットは、ラーメンと一緒に誰かに贈りたくなる。
特別じゃない、いつものラーメン。インスタントなのに、罪悪感なく食べられるのもありがたい。ひとまず、キッチンの棚に何食かストックしておこう…。そう思いながらスープを飲み干し、箸を置いた。
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