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ソトコトペンクラブ

晩秋、特別な「いただきます」

余白の人

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数年前、東京の下町で一人暮らしをしていた。夕焼けが映える商店街、桜と蓮の花が彩る池のほど近く。勤務先は定時で帰れるような職場ではなく、食事に手間暇は掛けられない。平日は帰り道のスーパーで、処分品の惣菜や弁当を調達。玄関を開けたら2分で用意できるパックごはんは欠かせない。当時はそういう、あまり褒められたものではない食事をしていた。そんな私の食生活も、晩秋に実家から宅急便が届くと一変する。

まずは、1年間しまい込んでいた土鍋と小さなおひつを取り出し丁寧に洗う。そして週末の朝、丘をひとつ越えたところにある小さな豆腐屋さんへ。ジョギング帰りの常連さんが豆乳を一気飲みしている横で絹ごし豆腐を買い求め、商店街の干物専門店では、隣に陳列してある茨城産の大きくて立派なカレイよりも高額な“島根県浜田沖のカレイ”をチョイス。もし手に入れば“島根県宍道湖産のしじみ”で味噌汁を作りたい。後は八百屋さんで旬の野菜を購入して煮物にする。宅急便で届いたのはお米。地元“島根県飯南町産コシヒカリ”の新米だ。

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