全国のゲストハウスを訪ねて歩き、宿を営む人に話を聞いて冊子をつくり、紹介する活動を始めて6年。なかには知り合った当初は宿でアルバイトしていたのに、今では経営者になった人もいる。神戸市灘区の『ゲストハウス萬家(MAYA)』を営む朴徹雄さんも夢を叶えたひとり。今では5人のスタッフとともに毎日、「神戸のふつう」を届ける仕事をがんばっている。
ゲストハウスに泊まる醍醐味は、そこで出会う人との小さな交流だと私は思う。おすすめの夕食処を聞いたり、たまたまラウンジのソファで一緒になった人に軽く会釈したり、その場を共有している人たちの他愛のない会話を聞くのが心地よかったり。
実のところ、旅先の記憶の多くは、こうした交流とも呼べない小さな瞬間のことが多い気さえする。日帰りできる距離でも、馴染みのゲストハウスに来れば、仲間に会えて落ち着ける。旅先と日常が近くなるゲストハウスは、実は最高のサードプレイスにもなれる場所なのだ。