長野県在住のラーメンライター、たこにわです。ラーメン食べ歩きは40年以上、北は旭川、東は根室、西は長崎、南は石垣島まで訪麺しています。47都道府県制覇完了しました。僕は、ローカル色があり地味ながら頑張っているお店をみなさんにご紹介していきます。
安曇野・豊科では誰もが知っている元肉屋の中華そば
豊科エリアは市庁舎がある同市の中心地で、トリデンは昔ながらの商店街の一角にある。
元は精肉店で、大正6年の創業。だから、地域のみんなが知っている。
そして、17年前に業態をラーメン店に替えた。
子どもからお年寄りまで楽しくラーメンを食べにやってくるお店になった。
お客さんが考えたメニュー表
筆者もそれにつられてしまった。
注文を伝えると、スープの濃さと麺の茹で具合が選択できるという。
スープの濃さに「ウルトラこてこて」とか「ウルトラの母」「ウルトラC」とある。
ウルトラというくらいだから、スープの濃さを表現していると推測はつくが、
それにしてもユニークだ。
なんと、常連さんが考えた表現だそうだ。
悩んだ挙句、ここは無難に「ややこて」と「麺かため」でお願いした。
つるつるのワンタンは「飲み物」
まず、湯気からの香りがとてもいい。
入店したときに漂っていた芳ばしい香りと同じだ。
醤油と動物系のダシの匂い。食欲を大いにそそる。
「ややこて」は、旨味がふわりと甘みへ変化していく感じを、舌で味わえるちょうどいい濃さ。
この変化は動物系スープの真骨頂ではないだろうか。
舌から口の中に広がる味の変化。思わず唸ってしまう。
主役のワンタンは口の中でとろけるほど優しい食感だ。
箸ですくうとつるんと落ちてしまうのでレンゲに乗せる。
スープと同じように飲めてしまう。
このお店では、ワンタンは「飲み物」なのか!?
中華そばと言えば、やはり中細縮れ麺
子どもの頃のごちそうだった中華そばの麺は、大体縮れていた。
なので、中細縮れ麺が出てくると、昔を思い出してしまう。
トリデンの麺も同じだった。
この麺に懐かしさを感じるお客さんが、きっと常連になっていくのだろう。
つい口ずさんでしまう「あずさ2号」の詩
あれから45年も経ってしまったのか。別れと旅情の歌だった。
あずさ2号とは、当時の新宿発松本行きの特急列車。
そして、あずさは清流「梓川」からのネーミング。
安曇野・豊科のまちを潤し、日本海まで抜ける信濃川の水系でもある。
その詩の一節に、「春まだ浅い信濃路」とある。
取材した日の安曇野は、まさにそんな感じだった。
安曇野の歴史まで感じてしまう「トリデン」
雄大なアルプスの自然にゆったりと流れる時間。加えて、そば、リンゴ、野菜、ワインなど食の宝庫でもある。
だから、住みたい気持ちがよくわかる。
その中でトリデンは肉屋からスタートして1世紀を超える老舗中の老舗。
安曇野の歩んできた歴史を見てきたお店とも言える。
スープを飲んでいるうちに、なんだか歴史まで味わっているような錯覚さえ受けた。
トリデン
住所:長野県安曇野市豊科成相4319
TEL:0263-72-2157(取材時点での情報)
営業時間:11:30~14:00(土曜、祝日11:00~)、17:30~21:00
スープ終了次第閉店、日曜定休
*店舗情報・メニュー内容は取材時点の内容でございます。